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薬学書ソムリエ:笹川の本のテイスティング

(本日のお勧めの1冊)同効薬おさらい帳(じほう)

 「ありそうでなかった」まず本を読み終わってそう感じた。そして、他の医療者とは違う薬のみかた(見方)、アプローチの仕方を学べる良書である。

 以前、狭間先生のお話を聞いたときに、気づかされた言葉がある。「薬剤師は薬を飲んだ後が勝負」それには、薬理学・薬物動態学・製剤学といった薬剤師の武器を使って医師とは異なった視点で患者さんに関与すべしということだ。

 この同効薬おさらい帳はその薬理学・薬物動態学・製剤学といった薬剤師の武器の利用方法が記載されている。特に笹川がお勧めするのは、受容体の働きをまとめている章である。受容体を理解すれば、薬の作用がここまで理解・復習できるのかと驚きがあった。受容体の薬理学を学ぶことで、同効薬を理解するという視点は新しい。分厚い薬理学書はなかなかとっつきにくいが、この本の章を読むことで薬の作用やその延長上で起こる副作用も予想できる。

 また同効薬を提案する場面を想定した第4章も興味深い。便秘や下痢、急な血圧上昇などに薬剤師として何を提案するか。この章から読んでも楽しい。今まで経験や何となくこれと提案していたのではないだろうか?それを選んだポイントやその後のfollowなどが明解に説明されている。医師の視点ではなく、薬剤師の視点で薬を選んでいるのが新しい。

 このおさらい帳は実は抗がん薬、抗菌薬、漢方薬とシリーズになっている。どれもお勧めできる内容である。今後もいろいろなシリーズを出していただきたい。


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