循環器受診でコルヒチン?

こんにちは、わかこと申します。

日常業務でのちょっとした疑問を個人的に解消していく

「CQ(クリニカルクエッション)スッキリメモ」第1弾です。

個人的なメモ代わりですが、見ている方もふーんと思っていただければ幸いです。また事実と異なる記載がありましたらぜひ教えてください。


今日のCQは「循環器でコルヒチン?」です。

先日応需した処方箋で、抗血栓薬などとともにコルヒチンが記載されていました。知識不足でわからず調べた結果をまとめます。

参考:日経メディカルhttps://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/202001/563813.html

この記事を簡潔にまとめると

・心筋梗塞発症から30日以内の患者で、コルヒチンを1日0.5㎎投与するとプラセボ群よりも虚血性心血管イベントを有意に減らせる

・複合イベントを構成する個々の要因のハザード比で最も値が小さかったのは、脳卒中の0.26(0.10‐0.70)であり、次いで冠動脈血行再建術を要する狭心症による緊急入院の0.50(0.31‐0.81)であった。



・アテローム性動脈硬化(粥状硬化)とは

 血管内膜に脂質や平滑筋細胞、細胞外基質などの沈着物の病的集積が起き、粥状の隆起性病変(アテローム性プラーク)を形成する反応をいう。徐々にあるいはときに急速に進行し、プラークの肥厚による血管内腔の狭窄や、その破綻に続く血栓形成による狭窄・塞栓をきたす。(1

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画像はhttps://www.okotono.net/entry/2016/02/21/023239より

①機械的刺激、化学的刺激により内皮が障害されると、防御壁としての機能が失われる→LDLコレステロールが侵入。内腔では酸化を受けやすく、酸化LDLとなる。(④)

②酸化LDLは内皮細胞を活性化し、白血球接着分子や単球遊走刺激因子を産生させる。単球、Tリンパ球は傷害部位に集まる。

③単球、Tリンパ球の接着・侵入が起こる。単球は内膜に侵入するとマクロファージに分化する。

⑤マクロファージはスカベンジャー受容体を介して酸化LDLを大量に取り込み、脂質を蓄積した泡沫細胞となる。(⑥)

⑦活性化された内皮細胞や泡沫細胞が種々のサイトカイン、遊走因子、増殖因子を産生する。これらの物質は平滑筋細胞の内膜への遊走を促進する。

⑧内膜に侵入した平滑筋細胞は増殖し、またコラーゲンなどの細胞外基質を分泌するためプラークは肥厚する。

⑨平滑筋細胞の増殖やコラーゲンの築盛などによりプラークは線維性被膜で覆われる。被膜の内部では泡沫細胞や平滑筋細胞の一部が死滅し、脂質に富んだプラークの中心(脂質コア)を形成する。

⑩細胞の死滅に加え、泡沫細胞によりコラーゲン分解酵素も産生され、線維性被膜が菲薄化する。菲薄化した部分は弱くなり、プラークが破綻すればその部位に血栓を形成する。


・コルヒチンの役割

コルヒチンはチューブリンの重合と微小管の形成を阻害するため、細胞接着や炎症性サイトカイン、インフラマソームなどに影響を与え、強力な抗炎症作用を示す。

コルヒチンを服用することで白血球、Tリンパ球の遊走・接着に影響を与え結果的に心血管イベントの抑制につながるかもしれない。

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