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のみこむ

朝露みたいにかなしさが下りてくる明け方がいちばんいい。少し薄ら明るくなってきたころに浅く眠り、数時間後に目覚ましに起こされる。

ワクチン打てるんだろうかなどと、うつらうつらかんがえている。
予約はしたけど、本当にあるのかな、わくちん。
本当にあるのかな、おりんぴっく。

こんなこと言ったらいけないけど、本当に信じられないことが多くて真剣に考えるのにも、くたびれてしまった。

今月から来月は楽しみなことが多くってうれしい。
その一端のことが今日あるので広島に向かっています。長く岡山に住んでいたのですが、中国地方の雰囲気はすごく好きです。穏やかな海にポコポコ丸い島がって、反対にはお椀みたいな山がやっぱりポコポコある。
わたしからすると異国のようであります。
東北の山はいかにも「山脈!」で、「ああ、閉じ込められてしまった、この山は越えられそうにない」と思うのですが、中国地方の山並みはそれとは全く別。おおらかな地形ですねぇといつも思う。

土地、って面白いですよね。
わたしは、ずっとここにいたいな〜、という感覚があんまりなくて、だからといってすぐにでも出ていきたい!ってわけでもないんだけど。
ただ、なんとなくぼんやりと、ずっとはここにいないんだろうな、という気持ちがいつもある。だから、次に住むならどこがいいかなぁとかよく考える。そして、ぽんっと土地を変えるタイミングが来る。皆あんまり転々としてないことを鑑みると、望んでいるから降ってくるものなのかな。
もしかしたら、まだわからないんだけども、来年にはまたポコポコに囲まれて暮らすかもしれないです。

生活の変化についてポジティブなことを「強いですね」っていわれることもあるんだけど、私はブゴウスキーみたいに荒くれな弱虫の気持ちの時もあるし、尾崎翠みたいに蘚苔類の恋を感じる繊細な強い夜もあって、でもその気持ちと生活や土地が切り離されているだけなんだよなぁと思う。

あ、そういえばうれしいニュースがありました。
愛してやまない私立恵比寿中学の安本彩花さんが悪性リンパ腫による休養から復帰したんです。THE FIRST TAKEという、アーティストのパフォーマンスを一発撮りで見せるYoutubeチャンネルで、安本さん含む6人のライブ動画が公開されました。6人が揃って笑っているだけで嬉しい。エビ中ちゃん達はほんとうに嘘のないまっすぐな歌声で泣いちゃう。

グリーンのベリーショート姿で登場した安本さんは、すごくかっこよかった。わたしよりずいぶん年下なんですけどね。生きざまに年齢は関係ないですからね。インタビューもちょろっと読んだんですけど、エビ中に早く戻りたくて、強い抗癌剤での治療を選んだそうです。強いお薬なので、身体もしんどいし髪の毛も抜けてしまったわけですけど、今回みんなの前に現れたその髪型は、復帰の象徴みたいで、惚れ惚れしました。

大森靖子ちゃん率いるZOCみたいな「やったるぜ、おら」ってアイドルもだいぶ新時代系女の子の象徴だと思うけど、まっすぐ穏やかに心を壊さず、あらゆる逆境を呑み込んでゆくエビ中も、仏のようなカッコよさのある新時代の女の子だな、と個人的には思います。危うさのない可愛さ。

戦うってことも時には必要で、でもなんか昔から苦手なんですよね。へろへろ人間なので。強い言葉や態度のひと苦手だし、戦ってるひとを見るのも苦手で。なんでそんなんなっちゃうのって出来事も呑み込みたくなっちゃうんですよ。呑み込むっていうのは、言いたいことや辛いことを自分の中に閉じ込めるって意味じゃないですよ。戦ってる人も、戦ってる理由も食べちゃおってことです。
大森靖子ちゃんの歌に「夢も憂鬱も東京も私が全部食べてあげるよ」って歌詞があるんですけど、そんな風に生きたいなとよく思うんです。『ぼのぼの』のシマリスくんのお兄さんの哲学「ゆるして忘れる」にも近いです。全人類の心を乱すもの、全部食べてあげたいって気持ちです。割と真剣に。
でもそのためにはめちゃくちゃ強くなきゃいけないんです。今世界に起こっているレベルのことを呑み込むには、だいだらぼっちくらいにならないといけないかも。果てしないです。
だいだらぼっちになる頃には人間なんかはいなくなっていて、ひとりぼっち、かもしれないですね。

でもなんとなく、新しくこんな風でいたいなっていう指針が定まったような、そんな週末の始まりでした。

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