12月2日(土)~7日(木) 順番には逆らえない
12月2日(土)
11時頃に目覚める。夜中に食べたお菓子のせいで体は重いけど、精神的にはスッキリした感じがある。暴食という気晴らしが必要だったのか。
最近オープンしたヤンヤンという高円寺の書店へ。はしごみたいに急な階段を登って入る、屋根裏部屋みたいな不思議な物件だった。小さな店だけど、なんだか飽きない品揃えでいい。店の人に挨拶して少し話した。
この一年で高円寺に小規模な書店がたくさんできまくっている。蟹ブックス、そぞろ書房、本の長屋、そしてヤンヤン。この集まりっぷりは何なのだろう。高円寺は神保町みたいになるのだろうか。古着と本の街として。
店に行って、自分の先月の売り上げをまとめると結構な額になっていた。自著である『おやすみ短歌』を自分で仕入れて売ったのが大きい。3週間で60冊くらい売ったようだ。多分日本で一番うちの書店が売っている。他でもこれくらい売れてたら一瞬で増刷なのにな。
書店業界全体の流れと、この店は別世界みたいですね、みたいな話をする。黒柳徹子の『窓ぎわのトットちゃん』の新刊が10月か11月に出て、30万部くらいいっているらしいのだけど、うちでは1冊も売れていないし、そもそも問い合わせ自体が来ない、とか。
雨宮まみさんの『40歳がくる!』が入荷していた。亡くなったときにウェブで連載していたもの。もう本にならないと思っていた。
装丁が、真っ赤なカバーの真ん中に四角い穴が空いていて、そこからモノクロの雨宮さんの顔写真がのぞいている。棺桶の顔の部分が開くやつみたいだ。そしてカバーを外すと、雨宮さんがいろとりどりの花に囲まれている。完全に棺桶だ。やりすぎで悪趣味ではないか、と思う。しかし、雨宮さん自身が、わりとこういう趣味が悪くてやりすぎなくらいのギラギラしたことを好む人だったので、それを考えると、とても雨宮さんにふさわしい装丁だ、とも思った。
連載の内容はウェブで読んでいたので、雨宮さんを知る10人の人が原稿を寄せている後半部分だけを読んだ。
雨宮さんって、不安定でギラギラしていて、ギリギリな感じで生きづらそうなところが魅力だったけれど、ただの不安定な人ではなくて、読者の人の人生相談に答えるのとかもうまかったし、これを雨宮さんが語るとどうなるんだろう、とか、他の人に頼りにされる人でもあったな、と思った。そういう人って、他にあまりいないかもしれない。
気づけば年上だった雨宮さんが年下になってしまった。40歳で死んでしまった雨宮さんに、40代はこんな景色だよ、ということを教えてあげたい。40代を生きていたら彼女は、どう変化して何を語っていたのだろう。
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