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[未発表原稿]海外に住む話

『人生の土台となる読書』用に書いたけど使わなかった原稿です。

自分が今いる状況を客観的に見るというのはなかなか難しい。自分から近すぎるものはうまく見えないからだ。
そういうときにいい方法は、旅行をするなどして遠くに離れてみることだ。海外に行くのもいい。物理的に遠くに離れれば離れるほど、自分の普段いる場所をより客観的に見ることができる。
僕が会社をやめて無職になったのも、仕事でタイのバンコクに一年間住んだのがきっかけだった。日本にいるときは「そうは言ってもちゃんと勤めないとな」と思っていたのだけど、海外で今までと違う世界を見てみると「生き方なんていくらでもあるし、ずっと会社員をやるのもつまらないな」という気持ちになったのだ。
とはいっても、海外に行ったり住んだりするのはなかなかハードルが高い。そこで手軽に海外の体験を味わわせてくれるのが、本だ。

香山哲『ベルリンうわの空』は、作者がドイツのベルリンで暮らしている様子を描いたエッセイ漫画だ。


香山さんはとにかく「生活のよさ」を追求している人だ。
どこに住めばもっともいい生活ができるか、ということをいつも考えている。ベルリンに住んだ理由も、何か目的があったわけではなく、ただ生活を追求するためだ。
外国だから特別なことをするわけではなく、普通に寝て起きて、スーパーで買い物をしたり家事をしたりして生活している。そんな様子がマンガでは語られている。

街をよく見て
自分の気持ちにもよーく耳をすませる
普通に過ごしているだけでも、意識していなかった自分の「好き」や「嫌い」が新しく見えてきて…
そのたびに生きやすくなってる気がする

読んでいると、日本とは細かいところがいろいろ違うんだな、ということに気づく。例えばリードのついていない犬が街に多いこと。キツい広告などが少ないこと。広場や公園がとても多く、いろんなところで人がおしゃべりしていること。
社会の雰囲気というのは国や場所によって違うものだ。でも、それはいろんな場所に行ってみないとわからない。自分の生まれた場所しか知らないと、それが当たり前で普通で、どこに行ってもこんなもんだろう、と思ってしまう。
だけど、ひょっとしたら今の場所でうまく行かない場合でも、別の国に行ったら相性がよくてうまくいった、ということがあるかもしれない。
いろいろな場所を見てみると、自分が何が好きで何が嫌いかということが、はっきりわかるようになる。

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