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最近読んだ本(2022年3月)

最近読んで面白かった本を紹介します。

佐藤究『テスカトリポカ』

暴力シーンがキツくて人が死にまくって面白かった。アステカ文明で生贄の心臓を捧げてた話とメキシカンマフィアの残虐な抗争と麻薬マーケットや臓器売買マーケットの話が混ざりあって日本の川崎でぐちゃぐちゃになる話。神話的なもの(この場合はアステカ)を引いてくると物語に深みが出る感じがするな。後半部分をもうちょっとじっくり見たかった気もした。


清田隆之(桃山商事)『自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと』

男性たちの自分語りを集めた本。普通に働いて社会人としてうまくやっていっているように見える男性たちも、心のなかではしょうもない劣等感や権力欲や性欲に振り回されてる、という面が赤裸々に吐露されていていい。普通でちゃんとしてる人なんて世界にはいなくて、みんなどっかおかしくてそれでいいんだな、という気持ちになる。


三宅香帆『それを読むたび思い出す』

書評家である三宅香帆さんの初エッセイ集。自伝的な内容で、誰かにその人の大事な思い出を聞かせてもらうのっていいな、という基本的なエッセイの良さを感じさせてくれて、とても面白かった。
著者は高知出身で、大学時代を京都で過ごし、今は東京で働いている。「東京が全ての中心で、それ以外は辺境に過ぎない」みたいな思想への反発として、それぞれの地方にはそれぞれのよさがある、ということを語っている部分にぐっとくる。著者と同じような地方に住む本好きの人たちへ向けてのメッセージなのだろう。ブックオフやイオンモールについて書かれた文章がよかった。


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