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近況:世は麻のように乱れる

6月の終わりで梅雨が明けて猛暑になって、耐えきれずエアコンをつけてしまう。早すぎないか。これからずっと暑いのが続くのだろうか。
暑いから涼しそうな本が読みたい、と思い、そういえば前から気になっていたスノーボールアースについての本を読むことにした。『凍った地球』。

ときどき現実逃避的に純粋な楽しみとして、自分の書く文章とは絶対に関係しなさそうな本を読みたくなって、そういうときはこういうサイエンスの本を読んでる。ブルーバックスとか。

スノーボールアースというのは、この地球は昔全部凍っていたことがある、という仮説だ。まだ仮説だけど、かなり信憑性のあるもの、という扱いのようだ。
そもそも地球は温暖な時期と氷河期を繰り返している。そのことはなんとなく知っていたけれど、その理由をはっきり把握していなかったので、とても面白かった。数十万年とか数百万年単位の気温の上下には実は、プレートテクトニクスが関わってるんだな。
気温の上下は二酸化炭素による温室効果によって変わる。二酸化炭素は火山活動によって地面から放出されてもいるけど、岩石の酸化作用で気体から固体へと固定されてもいる。
そして、二酸化炭素が増えて気温が上がると岩石の酸化が進んで二酸化炭素を減らす現象が起こり、二酸化炭素が減って気温が下がると岩石の酸化が少なくなって二酸化炭素を増やす現象が起こる、という、自動調節機能が地球には実装されているところがすごく面白かった。これをウォーカーズフィードバックという。すごい絶妙なバランスだ。
(ちなみにこのフィードバックは数万年とか数十万年単位で効果が出るものなので、最近よく言われる人類のCO2放出による地球温暖化みたいな数十年とか数百年単位の話には効かない)
この気候ジャンプの話も好き。



昼に起きると、安倍元総理が倒れたというニュースが流れていた。なんだなんだ、と思っていると、撃たれた、とか、心肺停止、などの続報が入ってくる。
その報道を聞いた瞬間、日本がめちゃくちゃになってきたし、これから先もどんどん悪くなっていく予感しかない、と思って暗い気分になった。令和になってから疫病とか戦争とか暗殺とかどうしようもないことしか起きない。今から思うと平坦だけど平和だった平成に戻りたい……。
だけど、犯人の動機がわかってくるにつれて、印象は少し変わった。
最初は、政治に不満がある人の犯行だと思った。つまり社会に対する不満が政治家の襲撃に変わるほど、社会のひずみが大きくなっているということで、今の日本はそこまでどうしようもなくなったのか、という感じ。そして、この襲撃事件によって、安倍元総理を生贄にすることでさらに右派の勢いが増し、政府による国民に対する締め付けも強くなり、さらに社会の中の分断や対立は強くなるだろう、という予想をしてしまったのだ。
しかし犯人は政治的な意見があるわけではなく、安倍元総理とつながりのあった統一教会に家庭を破壊されたという恨みがあったらしい。それだと今の時代がめちゃくちゃになってきてる、という話ではなく、むしろ昭和の頃からずっとある話で、日本が壊れてきているのではなく、もともと壊れていた、というだけだ。人生を破滅させる宗教はもっと規制してほしいけど、政治と強く結びついているからどうにもできないのか。本当にクソだな。
この件に関連して、そもそも夫婦別姓や同性婚が、国民の多くが賛成しているのに通らないのは、自民党のバックにいる統一教会や神社本庁が絶対それを認めないから、みたいな話も出てきていて、普段宗教とあまり関わらず生きているつもりでいるけれど、実は自分たちの社会に宗教は大きく関わっているのだな……。
宗教、集金しまくって人を破滅させたり政治に影響を及ぼしたりしなければ悪くないと思うけれど、それなりの規模と動員力を持つ団体が、政治と無関係でいること、って難しいのかもしれない。よっぽど厳密に取り締まらない限り。そしてそんな厳密な取り締まりは期待できそうにない、と思うと、やっぱり日本は変わらないな、と思ってやはり暗い気分になる。こんな世の中ではどこかの宗教に入ったほうがハッピーになれるだろう。

事件を受けて、増田に宗教の思い出話がいくつか投稿されていて、こういうのを読むのは結構好き。


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