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問題集・参考書レビューvol.05 数学I・A チェック&リピート

今回紹介する問題集・参考書は
「Z会数学基礎問題集 数学I・A チェック&リピート」
である。

【掲載問題数】 307題

 問題数は307題であり、問題・チェックチェック・解答解説の順に載っている。「チェックチェック」がいわゆる問題の考え方・方針や基本的知識の確認をする部分であり、ここを理解した上で解答を読むことが前提となる。
 解き進め方はシンプルに「解く→チェックチェックをヒントにいけるとこまで手を動かす→解答を読む→解けなかったり間違えたりした場合は何も見ないで解けるかやり直す」の繰り返しが良いだろう。特に解き直したときに「チェックチェック」の内容に類することを自分で納得しながら解けているかが重要である。

【分野の網羅具合】 I・Aの全範囲を満遍なく網羅

 数学I・Aの全ての分野が満遍なくカバーされているため、基本的考え方の抜けがないかをチェックするにはもってこいである。また、分野の中で出題分野が小分けにされているため、模試や他の問題集を解いていてわからないことが発生したとき、該当分野の内容確認にこの問題集を使うことができる。このような使い方が向いているのは、全範囲を満遍なく網羅できている問題集だけで、有名なところで行くとチャート式などがあげられる。

【問題の難易度】 教科書の章末問題〜入試の標準

 問題はほぼ全て過去の入試問題の出題によるものであり、つまり実際の入試問題が掲載されている。ただし、小問集合の一部分から抜粋したり、元の問題の改題であったり、教科書をやり終えた状態からスムーズに移行できる程度の難易度に調整されている。教科書の章末問題よりは若干難しめで、入試の標準とされるような難易度で、共通テストの対策にも利用できる問題集になっている。

【解答・解説の詳しさ】 かなりあっさり・詳しいとはいえない

 解答は必要最低限のことしか書いておらず、注釈や傍注などのコメントは皆無である。チェックチェックで方針や考え方には触れているものの、あくまで基本方針のチェックにとどまる。教科書のレベルのことがわかっている状態でないと、何をどうしているかがわかりにくいだろう。解いていてわからないことが生じたときに、どのように疑問を解決するのか事前に決めておくのが良い。
 

【特筆すべき点】 分野やテーマの詳細なカテゴライズ

 一つ一つのテーマをかなり細かく分類しているのが本著の特徴であり、結果的に「解法の道具箱」としての機能は十分に果たしていると言える。受験生であれば、模試や過去問演習を進める中でわからないテーマ・理解が不十分なテーマを見つけたとき、この問題集に帰って来ればほぼ間違いなく考え方や知識が載っている。その上、細かくカテゴライズされているおかげで、どこを参照すれば良いかがわかりやすいことも重要である。復習しやすい問題集である。

【オススメする対象】

 この問題集は、以下のような人に対してオススメできる

・教科書の章末問題まで一通り学習し終えて、ワンランク上のレベルの問題に着手したい高1・高2
・基礎固めからしっかりと勉強をしたい受験生
・共通テスト対策として数学を勉強したい人
・網羅型の問題集をもっておらず、復習に使える問題集を求めている人

【注意すべき点】

 復習に使いやすいとは言ったが、あくまでカテゴライズの詳細さを理由に復習しやすいと言っており、解説は復習しやすいと言えるほど詳しくはない。問題のテーマと考え方をさらっと確認する、模試などの問題の類題演習をするなどの使い方で見ればこの問題集で問題はない。
 また、テーマごとに解法をパターンマッチ化させすぎている傾向が見られ、応用が利きにくいことは懸念される。数をこなして定着させようという意図が若干感じられ、「なぜそうなるのか」が蔑ろにされていると感じた。この問題集を使うのであれば、一つ一つの問題を納得しながら解けることを目標にしてほしい。
 さらに、あくまでも教科書レベルと入試標準レベルの中間に位置する難易度の問題を集めているため、難関国立・私立大を目指す人は次にどの問題集にステップアップするかも考えなくてはいけないし、この問題集をいつ頃までに解き切るのか計画的に解き進めなくてはいけない。難関大を志望するなら、この問題集は受験する年度の7月までには概ね解き終えていてほしいというのが率直なところである。秋口まで使い続ける問題集とは言えないので注意しよう。

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