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AWS試験5つに合格したので勉強方法をご紹介:CLF/SAA/SOA/DVA/DEA

ここ2ヶ月で5つのAWS認定試験に合格することができました。本noteではその勉強方法について詳細に説明します。教材とその使い方だけでなく、どんなことを考えながら勉強していたかについても紹介できればと思っています。これらの情報がこれから試験合格を目指す方の参考になれば幸いです。


試験日とスコア

試験日とスコアはこんな感じでした。以降、試験名称についてはアルファベット3文字の略称で説明していきます。

AWSの勉強を始めたきっかけ

勉強を始めたきっかけは、AWSコミュニティに対する「なんかうらやましいな」という気持ちです。

日本最大の "AWS を学ぶイベント"と言われているAWS Summit Japanが20204年は6/20・6/21の2日間で開催されました。僕は会場に行かなかったのですが、X上では仲良しのフォロワーさんなど参加者も多くて盛大に盛り上がっているお祭り感を感じていたんですね。AWSコミュニティは普段からJAWSなどでの活動も頻繁にあり、会社とは異なるオープンなコミュニティへの憧れから「僕もその仲間に入りたい!」という思いでAWSの勉強を始めました。

そして6/26に勉強を始めました。

勉強開始時点の知識量

勉強方法や期間・時間が参考になるかどうかの目安として、勉強開始時点のAWSに関する知識量を説明しておきます。

■普段の仕事について
システム開発会社でPM(プロジェクトマネージャー)を担当
・PMとしてAWSインフラ構築案件を担当した経験なし
・PM以前はアプリケーションエンジニアとしてシステム設計/構築を担当
・アプリケーションエンジニアとしてもAWS関連案件の経験なし

■プライベートでのAWS学習について
4年前の2020年に一度SAAを受験して合格(有効期限切れで現在は無効)
・4年前の合格体験記はこちら

仕事ではAWSに関わりがないのですが、4年前に勉強したSAAの知識の30%くらいが頭に残っていたので、クラウドとは何か、AWSとは何か、代表的なサービス(VPC/EC2/S3/Lambda/DynamoDB等)の名前と概要はわかっている、というのが今回の勉強開始時点の知識量になります。

勉強の計画と管理はJiraで

計画作成と勉強時間の記録などには、プロジェクト管理ツールのJiraを無料プランで使っていました。これで実績時間の集計なども楽になりますし、1チケット1時間くらいの目安でチケット作成しているので、勉強を怠けそうなときも「1チケットだけ完了させるか」みたいな気持ちで勉強を継続することができました。Jiraでのプライベートプロジェクト管理については別noteでまた詳細を説明するので、ここでは割愛します。

Jiraでの勉強プロジェクト管理イメージ


使用した教材

【参考書】AWS認定アソシエイト3資格対策

これはアソシエイト3資格対策というタイトルですが、僕はCLF対策として1周だけ読みました。4年前に一度SAAを受験しているとはいえ、この4年間でAWSでも数多くの新サービスや新機能がリリースされているため、広く浅くAWSサービスについてサービス名とその概要を把握する目的で使いました。無理に記憶しようとしたりノートにまとめたりはせず、読書感覚で前から順番に読み、各章の章末問題をやりながら最後まで読んでいきました。アソシエイト試験の対策にまた読むことになるかなとも思っていたのですが、結果としてはこの参考書には戻らず、この後に紹介するCloudLicenseとBlackBeltのみを使用しました。

【Web問題集】Cloud License

■契約プラン
Cloud Licenseは有料のWeb問題集です。プランは2つ用意されていて、違いは対象科目数のみで使える機能に違いはありません。90日間で6科目以上の取得を目指すならプロフェッショナルプランがお得ですが、5科目以内ならベーシックプランで十分です。僕は差額の500円をケチってベーシックプランにしたのですが、今となってはプロフェッショナルプランにしとけばよかったなと後悔しています。

Cloud Licenseの契約プラン

■学習モード
CloudLicenseには学習モードとAWS認定本試験モードという2つのモードが用意されています。学習モードは1問1答形式になっており、Web問題集はこちらを利用しました。PCブラウザからでもスマホからでも使えて学習履歴も残ります。1セクション7問ずつで少しの時間でも1セクションできてしまうので、移動時間や待ち時間などのすき間時間でもサクッと利用できたのがよかったと思います。

■AWS認定本試験モード
模試についてもCloud Licenseを使用しています。

AWS認定本試験モードは、どのような出題形式ですか?
実際の試験をシミュレーションした試験モードです。学習モードから実践的な問題をピックアップして出題されます。試験終了後にメールで合格判定の指標となる正解率が届きますので、試験前の理解度確認にお使いいただけます。

出典:Cloud LicenseのFAQ「問題集について(AWS認定本試験モード)」

この本試験モードでは、公式の説明にあるとおり学習モードの問題の中から実践的な問題が65問ピックアップされて出題されます。画面構成も本番と同じで、残り時間も画面表示されるので、本番前に本番同様の操作になれることができます。1点だけ不満を挙げるとするならば、このモードで試験を始めると途中で一時停止することができず最後までやりきらないといけないということがあります。アソシエイト試験の時間はだいたい2時間程度ありますので、まとまった時間がないと本試験モードに取り掛かれませんでした。

ただそのような点があるにしても、本試験モードでピックアップされる問題の質は非常によいという強力なメリットがあります。学習モードの問題には、「AWSサービスの概要からそのサービス名を答える」といった超基本的な問題も含まれていますが、実際、AWS認定の本番ではそのような問題は出題されません。本試験モードでピックアップされる問題は、まさにそのままAWS認定の本番でも出題されるような問題が多く、学習モードを全問やり切るよりも効率的に本番同様レベルの問題演習を行うことができます。

【その他】AWSサービス別資料(BlackBelt)

AWSの合格体験記を読んでいると必ず登場する「BlackBelt」と呼ばれているやつです。これ僕も最初は何かわからなかったんですよね。BlackBeltで検索してこのページにたどり着いても、このページのどこにもBlackBeltって記載がないし、このページが本当にBlackBeltなのかどうかわからなくて困っていました(僕だけですか?笑)。でもサービス別の資料をどれか1つ開くとちゃんと答えが載っています。これで合ってます。

BlackBeltでは過去に開催されたオンラインセミナーの動画と資料をみることができます。例えばRedshiftについて勉強したかったらsearchエリアに「Redshift」と入力して実行すると、Redshiftについての資料が複数表示されます。運用管理やアップデートを紹介した資料も出てきますが、資料のタイトルがサービス名だけのものは基本編なので、それを選んで読むようにしていました。僕は資料だけを見ることがほとんどでしたが、資料をみただけでは理解が深まらない時は動画もみたりしました。

教材を使った勉強方法

勉強方法はとってもシンプルです。

Step1:Web問題集/模試を解く

どんな問題が出題されるのか、どんな範囲が出題されるのかがわかっていないと対策も的外れになるため、何はともあれ問題を解きます。より本番に近いレベルを体感するために、最初から模試を解くのがオススメです。

Step2:解説を読みながらサービス名をメモする

解説を読みながら自分の理解が不十分なサービス、ちゃんと体系的にインプットしておいたほうがよさそうなサービスについてサービス名をメモしておきます。サービスの中の一部機能や概念だけ理解不十分だと感じた時はそのキーワードも書いておきます(下の例で言うと「Athenaワークグループ」とか「S3 Object Lambda」とか)。

DEA試験対策で模試をやった時のメモ

Step3:メモしたサービス名のBlackBelt資料を読む

メモしたサービスを上から順番にBlackBeltで検索して、出てきた資料を読み込んでいきます。ノートにまとめたりすると時間がかかってしまうため、ただひたすら読むだけです。一度で全部覚えるつもりでやらずに、忘れてしまったらまた次回の模試で間違えて同じ資料を読めばいいので、そのくらいの気楽さで読んでいきます。読んだ資料には赤線をひいて消していきます。

記憶するのではなく「便利さ」を理解する
BlackBeltの資料を読むときに重視したのは、そのサービスやその機能がどれだけ便利なのかを理解するということでした。AWSというサービスは、オンプレでサーバを用意したりいろいろ設定したりという大変さや労力を解決するために生まれました。そのためAWSのサービスには「そのサービスが生まれた背景になる課題や面倒くささ」というものが必ずあります。このサービスを使うとこんなに楽にこんなことができるのか!という驚きと感動を感じると記憶にも定着しやすくなりますしサービスを深く理解することができます。そこを目指しました。

(例)Next Generation Redshift
Redshiftのアーキテクチャ進化の歴史が、そのとき解決したかった課題と共に説明されているとてもよい資料です!

またオマケ情報ですが、模試でも本番でもわからない問題に出くわしてしまったときに、回答選択肢の中で「これができたらAWS便利だよなぁ、でも多分できちゃうんでしょ、AWSならさ」と思う選択肢を選ぶと正解になることが結構あります。何かを保証するわけではないですが、もし迷ったら思い出してください笑

数値データの分析と考察

勉強方法の紹介はここまでで、ここから先は趣味の領域です。Jiraを使って予実管理をしていたこともあり数値データが揃っていたので、プロジェクトの品質評価のごとく分析と考察をしてみました。こういうのが好きな人だけ読んでもらえればと思います。

勉強期間と勉強時間

表1:試験別の勉強期間と勉強時間
図1:試験別の勉強時間と合計時間
  • 勉強期間と勉強時間に相関はなく、スコアに結び付くのは勉強時間である

    • 「1週間で試験に合格!」という短期間を強調した歌い文句がよくあるが、これは意味がない

  • 試験別にみるとスコアと勉強時間に相関は見られない。これは試験別にみるからであるが、AWS認定試験は1つの試験で学んだ知識が他の試験で活用できる。そのため勉強時間は試験別ではなく、それ以前に受験した試験の勉強時間も合わせた合計時間で評価するのが妥当と考えられる

    • 「DVAを4.3時間の勉強時間で合格した」ではなく、「CLF、SAA、SOAの合計58時間に加えて、DVA専用の勉強を4.3時間した結果合格した」が実際の感覚に近い言い方である。

  • 合格はしたもののスコアから判断するとSOAの勉強時間はその他アソシエイト試験に比べて不十分だったと考えられる

  • 体感的な感触も含めての参考情報となるが、各試験の合格に必要な勉強時間は以下程度だと思われる

    • CLF・・・10~15時間程度

    • SAA/SOA/DVA/DEA・・・25~35時間程度

  • こちらも参考情報だが、学んだ知識をその後の試験で活用することを考慮したオススメの受験順番を記載する

    • ①CLF・・・AWS主要サービスについてサービス名と概要を広く知る

    • ②SAA・・・IAM権限管理、VPC、ACL、セキュリティグループ、ゲートウェイエンドポイント、S3、Lambda等の知識が後続試験で有用

    • ③SOA・・・Organizaition、クロスアカウント、CloudWatch、CloudTrail、SecretManager、AKM等の知識が後続試験で有用

    • ④⑤DVA or DEA・・・ここはどちらが先でも構わない


勉強時間の内訳

表2:試験別の勉強時間内訳
図2:試験別の勉強時間割合
  • 勉強時間の内訳は、CLF→SAA→SOA/DVA/DEAと進むにつれて模試中心に変化している

  • 一方で合格点に必要な点数を取るための時間は減少していることから、模試中心の勉強方法が効率的な勉強方法であったと考えられる

  • 最後に受験したDEAでは模試だけでなくWEB問題集やその他(BlackBelt資料の読み込み)の割合が増えているが、これはCloudLicenseに用意されたDEAの問題数が76問と極端に少ないことに起因している。模試を繰り返すよりもWeb問題集を100%完了させて、重要サービスのBlackBelt資料を読み込むことを優先した


Web問題集の回答数

表3:Web問題集の回答網羅率
図3:Web問題集の回答網羅率
  • CloudLicenseの学習モードに用意されている総問題数は、試験により大きく異なる

    • アソシエイト最大はSAAの1,222問

    • アソシエイト最小はDEAの76問

  • 総問題数はそのまま「その試験の試験範囲の広さ=難易度」と考えることもできる

  • 事実として、DEA試験は総問題数が76問のみだが、これを100%実施して回答について理解したうえで本番試験に臨んだところ、5~6割の問題がCloudLicenseと類似問題であり、非常に楽に回答することができた

  • その他試験においてもCloudLicenseと類似の問題が多数出題されていた。DEA以外でも回答網羅率を100%にしたうえで本番試験を受けるようにすれば、確実に合格できると考えられる。

  • ただし、効率を考えると超基礎的な問題も含まれるCloudLicense学習モードの問題を100%実施するのは時間がかかりすぎるし非効率である。実践的な(本番にも出題される)問題だけに絞った本試験モードを何度も実施するほうが効率的となる。

  • 学習モード100%か本試験モードかどちらの方法で対策を行うかは、CloudLicenseの総問題数を閾値に決めることをオススメする

    • 総問題数が300~400問未満・・・学習モードで100%やりきる

    • 総問題数が400問以上・・・本試験モードを繰り返しやる

    • この閾値だと、CLF/SAA/SOA/DVAは本試験モードが効率的、DEAは学習モード100%やるのが効率的、となる


模試スコアと本番スコア

表4:模試スコアと本番スコア
図4:模試スコアと本番スコア
  • CloudLicenseの本試験モードで受ける模試は概ね本番と同等レベルであるため、コンスタントに合格ラインを超えることができていれば、本番でも同等のスコアが取得できると思われる

  • SAAやSOAは試験範囲が広くCloudLicenseの問題数も多いため、何度か模試を繰り返しても毎回異なる問題が出題され、模試の得点が伸び悩むことがある。おそらく誰しも同じ状況になると思うので、あせらず5回以上模試を繰り返すことをオススメする

  • DVAやDEAは1回目の模試の点数が合格ラインのかなり下であるが、試験範囲が他に比べて狭いため、1回目の模試の復習をして、頻出AWSサービスについてBlackBeltの資料を読み込むだけで大きく得点が上昇する。

  • DEAについては前述したとおり、模試を複数回実施するより学習モードで76問全問を2周したほうが効率的である。テスト前の実力試しに模試を受けてみる程度でよい。


最後に

最後まで長文にお付き合いいただきありがとうございました。試験対策として自分が実施したこと、実績からわかったことなどをこれからAWS試験を受ける方向けに情報共有させていただきました。何かお役に立てる情報があれば幸いです。

もし本noteをお読みになり追加の質問や相談があればこちら(コーヒー好きのPM)のアカウントまでお知らせください。

以上、ありがとうございました!

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