見出し画像

【大学受験】 数学 よ〜く考えてみよう!〜パスチャレ#405〜

こんにちは、とぅーです。

 みなさん、共通テストお疲れ様でした。数学が難化し平均点が低かったようですが、国立志望の方はあまり気にせず、切り替えて二次対策に全力を注いでいただきたいと個人的には思います。もちろん私立志望の方は、その大学の入試対策を頑張っていることでしょう。
 あと少しです、頑張ってください!

 それでは今日のパスチャレです。

2:1 火曜

 高校二年生に差し掛かったあたりからよく聞く「数学的帰納法」ですが、帰納法があるなら演繹法があってもいいのでは?と思ったことはありませんか。なぜ「数学的演繹法」はないのでしょうか。




2:1 火曜 解答


 実は数学は、基本的にすべて演繹法で考えられていたのです。「なんだよこの答え!」と思った方、申し訳ありませんm(_ _"m)

 そもそも、帰納法と演繹法とは、、という話ですよね。

 帰納法とは、いくつかの例から一般に成り立ちそうな法則を見つける論理展開のことです。例えば、「カラスAは黒い。」「カラスBは黒い。」「カラスCは黒い。」という事実が分かっているとして、そこから「(おそらく)すべてのカラスは黒い。」ということを考えるのです。数学的帰納法は、n=1,n=k,k+1などの一部分に論点を置いて議論を進めているので、たしかに帰納法チックであることが分かりますよね。
 対して演繹法とは、一般論から新たに法則を見出す論理展開のことです。例えば「すべての鳥はカラスである。」「すべてのカラスは黒い。」という一般的な法則が成り立っているとすると、「すべての鳥は黒い。」という一般法則が成り立つ、という具合ですね。

 では、数学はどうでしょう。数学的帰納法のような特殊な例をのぞくと、すべて一般的な法則を背景に成り立っている、と言えるのではないでしょうか。
 
 1+1=2というような簡単な式から、図形のような少しややこしいもの、関数のグラフのようなものなど、数学はさまざまな「一般に言えるルール」によって、考えを進めていきます。一般的なルールのもと、それに適用できる法則(指数法則や演算のルールなど)や定理(三平方の定理や中間地の定理など)を用いて、新たなものを発見しています。(直角三角形の斜辺の長さを求める、指数を計算するなど)

 このように、基本的に数学は演繹法で成り立っています。だから特別に帰納法チックなやり方をする時をわざわざ「数学的帰納法」と呼んでいるのです。

 ちなみに、私は先ほどから「帰納法チック」という言葉を用いていますが、それは数学的帰納法が完全な帰納法ではなく、演繹法的な要素を持っているためです。よく考えてみると、確かにはじめの項について考えるときは帰納法的な考え方をしていますが、該当の数列について一般に成り立つ法則を示して議論している点は演繹法そのものと言えます。そもそも「一般に成り立つルール」について考えないといけない数学について、「たぶん成り立つ」事しか導出できない帰納法は有効な手段とは言えませんしね。

 ということで、数学的帰納法は「演繹法だらけの数学において、帰納法チックなのが特別だから」数学的帰納法である、ということです。

 本日のパスチャレは以上です。お付き合いいただきありがとうございました。

__________________________________同志社大学 理工学部 数理システム学科 とぅー

学科名にシステムとあるが、機械にはさほど強くない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?