しおり奥様ストーリー【2】
仕入れの量が減り、店売りが主な収入になっていた年が続いた。
大抵の客は大型スーパーに取られ、人生で最大の窮地に立たされる。
補助金が下りたものの、家賃の支払いに取られ、貯金を切り崩す日々。
仕事の減少による苛立ちと明日の生活をどうすればいいのかという不安。
妻も俺と同じ心境で、些細なことでも怒り出すなど神経質になっていた。
それでも耐えること三年、ようやく以前の収入に戻ってきた。
自由に使えるお金が手元にできたことで、俺は仕事以外の話し相手が欲しいと感じるようになる。
しかし、定年過ぎたおっさんに仕事以外の新しい趣味を見つけるのは難しかった。
朝は早く、日中は店の仕事、自由になるのは夜中。
夜に活動できるサークルは無く、探すのは難航した。
「なら、アレ使えばいいんじゃね?」
ある日、商店街の飲み仲間に相談したところ、そのような答えが返ってきた。
そうか、その手があったか。
俺はその日すぐに予約を入れた。
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