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主人・がん・私・・その16の続き

ずいぶんと前から決まっていた大きな仕事をお断りさせていただいたことを息子にも伝えました。

私は息子の顔を見ながら言うと泣いてしまうので背中を向けて静かな部屋で朝のお化粧をしている時に息子に話を切り出しました。

東京やめておくわ。もう連絡した。パパを1人にはしておけないと思った。
私の背中の向こうから息子の小さいうん、うんと言う返事が聞こえます。
息子は成人して社会人として世の中に出ている年齢です。

一昨年の冬に主人の病気がわかり
去年の冬に誰よりも息子が一番可愛がっていたマルチーズが亡くなり
今年の冬に主人の余命を知り

それでも一度も泣いたところを見たことはありませんでした。

私がどんなに泣いていても隣で自分の洋服の端を手の色が変わるくらい握りしめて泣くことを我慢する。普段もいつも冷静に物事を聞き判断するタイプなんだなぁと息子のことを見ていました。

私が話を終えて後ろを向いて息子を見たら息子は静かに涙をポロポロ流しながら泣いていました。返事のうん、うんからは全くわからないくらい静かに泣いていました。
私が東京に行かなくなったことに泣いているんでは泣く主人のことを思い、これまでつらいのをこらえてきた気持ちがあふれたんだろうと思います。
つらい思いをずっとしてきたんだと思います。

息子は晩ごはん終わってから今日はなんか疲れてるからもう寝るわと自分の部屋に行きました。

重い1日でした。



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