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読書感想 私家本 椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき/平岩弓枝)


1.椿説弓張月とは

作者:滝沢馬琴(現代語訳 平岩弓枝)

発行:江戸時代

主人公:源為朝(みなもとの ためとも)、別名:鎮西八郎為朝。
    源氏嫡流であるの源為義(みなもとの ためよし)の8番目の子。
    鎌倉幕府を開いた源頼朝(みなもとの よりとも)は為義の嫡男 義朝の子。
    頼朝から見て為朝は7番目の叔父にあたる。

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◆家系図画像:風に吹かれて鎌倉見聞録2021さんより引用


以前から読んでみたいと思っていましたが忙しさで忘れていました。たまたま図書館に行くことがあり、夏休みのオススメ図書で紹介されていたので手に取ったのです。
現代語訳なので2日くらいで読めました。中学生くらいの方でもファンタジー小説として楽しめると思います☆

源平合戦の少し前の時代であり受験では注目されないので、はじめて為朝の名前を聞いた方もいると思います(笑)。源義経と双璧を成す源氏の人気者です。身長約2m、弓の名手、イケメンの暴れ者。。。などの特長がある実在の武士です。

どれくらいすごいかは以下の動画もサラッとご覧ください☆



2.モテる人の条件

男女とわずモテる人(人気のある人)は共通点があると思います。本作の主人公 為朝に関して私が感じたことは以下の4点です。

・いつ何が起きても対応できるよう、自分磨きを怠らない
・他人の好意は素直に受け取る
・困難から逃げない
・恩義を忘れない


3.江戸時代における情報の豊富さに驚く

本作は江戸時代に制作されましたが、中身の情報量に驚きました。作家 滝沢馬琴が博識なのか、私が知らないだけで歴史書などを一般人も読める仕組みがあったのか。

・為朝庶子の行方
 →正式な家系図などがないが諸家に拾われたという口伝のみ
・小笠原諸島の地理、風土
 →各島の由来や気候
・琉球王国(沖縄)の伝説、風俗への見識
 →当時の琉球は薩摩藩の管轄なので他藩には情報が少なかったはず

義経や為朝は悲劇的な最期を迎えますが、後世ではそれが作品となって多く残りました。対する平家が活躍する作品は少なく、民衆を裏切って武士(平氏)から貴族(平家)になった羨望と怨みの深さを感じます。


4.なぜ為朝は恐れられたのか(騎馬武者の特異性)

鎌倉の人気ベントである「流鏑馬」に代表されるように、鎌倉時代の武士は剣術だけでなく、馬術や弓術も鍛錬していました。しかし、それは世界的にみて非常に特異な兵種なのです。
これは武士の成り立ちに秘密があるようです。以下、解説動画です。

「馬の機動力」+「弓の射程」があれば戦場では脅威になります。しかも、為朝は長身と剛腕を活かして普通より倍の大きさの弓を扱えたので、誰も近づけず、鬼神のごとき戦いぶりだったようです。

こういった戦場での活躍の反面、悲惨な最期を遂げたことが本作の物語性を際立たせているのかもしれません。
その人気の故か、為朝には生存説があり、その子供の活躍が本作でも描かれているので、歴史ファンタジー小説として楽しめると思いました。

真偽は別として、同様に義経も逃げ延びたことを示すような史跡が各地にあり、果ては大陸に渡りモンゴル帝国の祖 チンギス・ハーンになったという説も生まれました。


5.参考にしたnoterさんの記事

★たきざわまさきさんの記事紹介

★はやまゆさんの記事紹介

★DENNY喜多川さんの記事紹介


本作を現代に置き換えると、社内の派閥争いに巻き込まれ、地方に左遷された凄腕の営業マンが大逆転するというようなストーリーでしょうか。(九州・大島編)

そして、会社を去って自由に暮らすつもりが、重役が謀反を起こして乗っ取られかけた企業を助けることになりました。(琉球編)



ちょっと半沢直樹の香りがしますね(笑)

自分の特長やスキルを磨くことが活躍の原動力になること、恩義を忘れず、出合いや縁を大切にすることは現代のキャリア形成でも重要です。

歴史小説や人物伝は現代に置き換えて読んでみるのも楽しいので、オススメです♫


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