スローバラード 3.11
その日は星が綺麗でした
壊れた町の唯一の癒しでした
寒い車の中で毛布にくるまって
けたたましい速報に何度も起こされ
普段書かない日記に思いを綴りました
その日記もどこかへ行ってしまい
12歳が何を思っていたのか
今ではぼんやりしてしまいました
なかなか家に帰れなかったこと
小学校のグラウンドで家族を待ったこと
みんなで丸くなって座ったこと
やっと家に帰って
大好きだったモーツァルトの楽譜が
水槽の横で濡れていたこと
その上で魚が死んでいたこと
猫が臆病になったこと
あんな美しい星空を
もうこの地で見ることがありませんように
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