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佐伯日菜子
2019年7月14日 03:58
ふたつだけもらったこの手ひとつは心臓を握りしめているもうひとつはお花をそっと持っているコンクリートの狭い部屋、鉄格子のついた窓からは満天の星空が見えた。触れようと心臓を握る手をはなすと目眩がした。インターホンが鳴った。この晩の訪問者はかみさまだった。かみさまは手みやげだよと微笑んで、今さっき心臓をはなしたわたしの手のひらに、小さなオルゴールを握らせてくれた。意地の悪い大人に夕食を盗