【解説】ペットショップで迎えてすぐ寄生虫により瀕死で入院。その訳は
このようなニュースがありました。
この告発の焦点は「どうして病気なのに販売をしたのか。」「どうして寄生虫がいるのか。」「どうして治療費を払ってくれないのか。」「なぜ犬の交換ならいいよと言ったのか」。
これらがみなさんが気になっていることでもあると思います。
しかし、「寄生虫がまったくいない子犬・子猫だけを販売する」ということは、不可能です。
どれだけ優良なブリーダーやペットショップであっても保証できるものではありません。
「検査すれば防げた」「治療を怠った」「治療費を払うべき」など色々意見がありますが、どれも難しいというのが本音です。
そして今回のケースは店員の説明不足。私はそう感じました。
今回の告発内容について元ペットショップの店長として解説します。
内部寄生虫とは
勤めていたペットショップの場合、生後2か月の子犬・子猫であれば約3割の子が症状がでていました。多すぎますよね。ただ店員からすれば日常です。
ペットショップは通常引き渡す前やお店に到着した時に駆虫をします。しかし、寄生虫への対策は厄介です。その理由とは、
①消毒の限界
寄生虫はアルコールでは消毒は太刀打ちできません。熱湯消毒が理想とされています。しかし、床や壁まで熱湯消毒はできません。駆除のためにガスバーナーで家を焼いたというブリーダーがいるほどです。
②他の子犬・子猫にうつりやすい
寄生虫は意外にも簡単にうつります。抱っこした時に触れた服を介して移ることもあります。そのためペットショップをはしごしたことがある人、抱っこをたくさんした人は、知らないうちに他の子犬・子猫に移していたかもしれません。次から次へと新しい子たちがお店にやってくるペットショップの場では、寄生虫ゼロを目指せません。
③駆虫薬の限界
駆虫薬は卵には効かない場合が多いです。孵化しないと効きません。なにより虫を殺すことができる薬です。子犬にバンバン投薬すればいいものではなく、症状がでた時やお店に来た時などタイミングを見計らって使用します。そのため完治を目指すことはありません。症状がでないように「共存」の道をペットショップは選んでいます。
④迎えた直後に発症しやすい
寄生虫は体内にいても、症状が必ずでるとは限らないことです。そして症状がでやすいタイミングというのがあります。それは免疫力の低下が起きる迎えた直後です。特に生後2~3か月の子犬がよく発症します。
このような事情があるよくある感染症の治療費を、迎えた後にペットショップが払うことはまずありません。
契約書にも書かれてあると思いますが、その内容を細かく店員は伝えなければならなかったのです。そして100%健康とは言い切れないから、ペット保険に加入しようと勧めなければならなりませんでした。
どれかがかけるとトラブルになってしまいます。
今回は引き渡す側の説明不足です。
これらの寄生虫という特性を捉えた上で、改めて今回の告発内容をみていきます。
告発内容の裏側
この時の背景としては、店員は分かっていたけど言わなかった、もしくは分からなかった、どれかに当てはまると思います。ありふれている感染症なのでわざわざ言わない店員も多いです。
おそらく治ったのは本当でしょう。駆虫薬は即効性があります。完治したという意味ではなく、「下痢がなくなった」という意味で、嘘ではないと思います。
こう思ってもしまっても仕方がないと思います。はじめて会った日「疲れてるから下痢しただけ」って言われたのですから。迎えた直後はぶり返す可能性が高いです。
残念ながら、2日も放置すればこうなってしまう可能性があります。「このような症状の時は、はやく病院へ行ってください」という説明があれば防げたと考えられます。
この交換という言葉がひどいとニュースになっていました。しかし、この飼い主さんは「亡くなったら代犬と交換する、もしくは返金する」という保証にオプションで加入しています。。おそらくその説明を店員はしたのでしょう。
しかし、治療の段階で言うべき言葉ではありません。ここが誠実さに欠け、告発されたと考えられれます。
寄生虫がいない子を迎えるためには
ペットショップは流通による感染症に罹ってしまう子が多いです。その感染症の第1位が寄生虫でしょう。ペットショップで迎えるとなると、当たり前に寄生虫はいると考えてください。実際にそうでした。(寄生虫がいる≠症状がでる)
そもそも、劣悪な環境で飼育しているブリーダーが多いという、大前提がそもそも問題ではありますが、
自然豊かな環境で母親や子犬にも大地を踏ませるいるのば、寄生虫にもかかりやすくなります。かつ、私たちがブリーダーの元へ行った時に服を介してうつしてしまうこともあります。
こういった背景を考えると「寄生虫がいる=悪」と捉えることはできません。
寄生虫には様々な事情があります。
寄生虫に感染している犬猫を根本的に減らすためには
などがあげられます。いかがでしょうか。現実的でしょうか。
ネットで優良ブリーダーの見分け方を調べると、繁殖場も見学できること、母親に会えることなど書かれていますが、私たちから見ればそれはリスクある行為のひとつです。
見学当日はペットショップやブリーダーの場所をはしごしないでねと伝えますが、守らない飼い主さんが多いです。
ペットの実家のブリーダーさんは、サービス精神で親を直接見せる方が多いですが、全くリスクのないと行為だと思っていません。
ペットショップに子犬・子猫卸すのを辞めて、ブリーダーが手売りを始めたとたんに猫風邪や寄生虫などの感染症が繁殖場内で蔓延するようになったというのはよくある話です。
飼い主さんの先住犬から移ることもあります。寄生虫を含めた感染症はブリーダーやペットショップだけの問題ではありません。飼い主さんにも協力いただかなくてはなりません。
生き物に絶対はありませんが、それは優良なブリーダーであっても、全うなペットショップであっても一緒です。
しかし、迎えるまでの飼育の仕方や管理の仕方、親への対応、ワクチンスケジュール、駆虫、流通はそれぞれ違います。
ペットの実家では、あなたと出会うまでの幸せを考えて、母親や子犬・子猫にとって素敵な環境を整えている犬猫ブリーダーさんを紹介しています。
この投稿をみて、ワンちゃん・猫ちゃんを迎えるのが怖くなったという方は、一度ペットの実家のサイトや他のYouTubeもご覧ください。
Instagramでは、質問にもお答えしています。
みなさんが素敵な家族を迎えることができますように!