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犬は想像以上に血が濃い。近親交配と病気、ブリーディングについて

見出しから強烈な言葉ですが、犬を飼うなら知っておきたいブリーディング方法。親がどのような血統なのか、これは健康で元気な子を迎えるために必要なチェック項目です。

今回はブリーダーさんに血統について伺ってみました。

やっぱり、MIXって血が薄い分、健康なんですか?

「基本的にはそうね。うちにいるプードルの赤ちゃんたち、月齢ほとんど一緒なのに大きさかなり違うでしょ?血が濃い子はあまり大きくならないかな。」

「その小さい子達の母親を知り合いから譲り受けたけど、かなり血が濃い近親交配で生まれてた子なの。騙されて。」

血が濃いって、どれぐらい?

「兄弟同士で生まれた子。」

え。それって、血統書発行できるんですか?
※血統書とは、犬の戸籍のようなもの。

「できる。でも、異母兄弟ならね。父親は一緒だけど母親は別。」

なるほど、、、。


「でも、その母親同士は姉妹。」

え、、?

「犬の世界ってそういうもんよ。」
「ただそれだけならまだマシだった。さらにその上の祖父母まで辿ったらかなり悲惨で…
そこで生まれてきた子、貧弱で、歯もなかなか生えなくて。売れる状態じゃないでしょう。生まれてくる頭数も少ないし。」

「うちはその譲り受けた母親をアウトブリーディング(血縁関係のない父親で交配)して子供を作ってるから疾患はでてないけど、それでも子供たちはあまり大きくはならないかな。」

犬は私たちの想像よりはるかに血が濃い

馬が好きな方は奇跡の血量18.75%という言葉をきいたことがあるかもしれません。インブリーディング(近親交配)が盛んなサラブレッドにおいて、4世代前と3世代前(6.25%+12.5%=18.75%)の祖先が同じ場合に名馬が誕生するとする経験則的ないわれがあります。健康面での弊害が出やすくならず、そして、血統から受けついだ卓越した能力が開花しやすいとする考えです。(中略)

犬の場合で考えやすい近親交配としては、兄弟姉妹同士の交配や異母兄弟姉妹の交配では50%、祖父母と孫との交配は62.5%、親と子の交配は75%になります。インブリーディングの世界の競走馬でさえ18.75%が血の濃さの限度だという考え方があるところに、犬の場合、たとえに挙げた近親交配による血の濃さは尋常ではないということは理解していただけるかと思います。血の濃さ、すなわち染色体の一致率の高さは、非常に似通った子犬が生まれる可能性は高くはなるものの、遺伝的多様性が失われることでさまざまな欠陥があらわになりやすいことは科学的にも明らかになっていることです。

参考文献:よく分かる犬の遺伝学
尾形聡子 著 誠文堂新光社 (2014/1/20)

インブリーディングは知識と経験がなければ難しい交配ではありますが、良い特徴を継承させていくための手段として有効とされています。

しかし、インブリーディングを必要以上に続けると遺伝的多様性が失われて、近交弱勢と呼ばれる現象(不妊、子犬の死亡率の上昇、寿命の短縮など)が犬の健康問題に異常が見られることは事実です。

また良い雄犬が遺伝病を持っていた場合、人為的交配が行われる犬は瞬く間に遺伝病が広がります。

私たちが健康で元気な犬を迎えたいと考えた時、それはその子、そしてその種の血統(歴史)についても深く考えなければなりません。

ペットの実家はよりよい犬の未来のため、インブリーディング(近親交配)の子の掲載を禁じています。この基準の是非については賛否両論ありますが、一般家庭で幸せに暮らす犬のための一つの基準として設けました。

犬の遺伝がもっと多様性で豊かになるように。