新規事業ネタ

46件の新ビジネスアイデアを評価した感想②

前回の続きです。上がってきたテーマの中から個人的に「これは!」と感じられたものについて、NDAに抵触しない範囲で(内容を大幅に暈しつつ)書いてこうと思います。(トップの画像と内容は合わせていますが、順不同でいきます)

自社技術の応用はなるべく離れた市場を目指す

自社が保有する資産…特にコア技術や製品、特許などの知財を活かして新しい市場や用途に転用しようという発想は、新規事業のアイデアを考える上での王道の一つと言えます。今回のテーマの中ではシーリング(密閉)技術の用途開発というものがありました。

これの商売相手を、既存顧客と近い業界に設定すると面白みに欠けるのですが、意外性のある業界や、意外性のある使い方の提案が加わると一気に興味関心の度合いが高まります。特に「従来とは異なる使い方の提案」が最大のポイントとなっていました。野球用のバットを鮭を〆るのに使う、といった意外性と妙な納得感はどこの世界にも潜んでいるものだと思います。

社会トレンドに乗る場合は皆と少し視点をズラす

SDGsのような、目の前に大きく横たわっている社会課題に取り組む、というのはどの業界でも良く目にします。ここで難しいのは、理屈的には正しいけれども、これでは事業化が困難(収益性がまったく見出せない)というものが少なくないことです。

また、目立つテーマなだけに「レッドオーシャンのど真ん中に飛び込む」「既にたくさん手垢が付いている」という提案が山ほどあります。なので、こうした分野で起案する場合は、どれだけ「みんなとは異なる視点、アプローチでそのテーマに取り組むか」という点にあると思います。

今回特に惹かれたテーマでは「100%の問題解決は目指さない、あくまで70%が目標、その代わり従来コストの10分の1という圧倒的な低コストを実現する、それを従来とは全く異なる手段を持って達成させる」というものでした。クレイトン・クリステンセンが論じる破壊的イノベーションに通じるものが垣間見られました(しかも大企業から!)。とても期待できる内容です。

顧客起点での検討は取引先の「周辺」に注目する

既存事業というのは、言い換えれば「既に顧客に何らかの価値を提供している」と言えます。この価値の幅や深さを広げるためには、現在提供している価値の前後や周辺に注目し、そこを起点にビジネスを広げていく、というのが王道だと思います。

特にバリューチェーンの上流(企画や設計業務、あるいは素材メーカーなど)でビジネスをしている人は、価値の最終的な受益者から遠いため、バリューチェーンやエコシステムの全容を捉えるのは中々難しいことと思います。(つまりこそにビジネスチャンスが転がっている訳ですが)

今回も自分の取引先を起点にテーマを考えた人は多かったのですが、残念ながらその大半が「顧客が言っている困りごとに無理して対応する」という類のものでした。自社の事業ドメインを離れて無理をする、というのは余程の算段がない限り、それを専業としている企業には及びません。なぜなら顧客が発している困りごとは、その人にだけに話している訳でく、寧ろその領域の専門企業に相談すると考えるのが自然だからです。

そこで考えて頂きたいのは、「顧客に提供している価値の前後や周辺の実態や事象を良く観察・洞察し、顧客の潜在的な困りごとに気づく」という点です。顧客にとって問題とも思わないこと(それは当たり前であり当然であると認識しているもの)ほど、競争なく大きな仕事に化ける可能性を秘めています。

次回を最終回にこの話題は締めくくりたいと思います。




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