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Humpty Dumpty ヘッドドレスについて

Petit écrin étoile(プチエクランエトワール)のeriと申します。ロリータファッションのヘッドドレスやアクセサリーを製作しています。

今回はHumpty Dumpty ヘッドドレスについてのnoteです。
名前の通り"ハンプティダンプティ"の飾りがついた、全体的にはっきりとした色味のヘッドドレスです。

私はハンプティダンプティとは子供の頃に出会いました。母がミュージカルやディズニー・ジブリなどのアニメーションが大好きで、家では常になにかアニメや音楽が流れている状態で過ごしていました。
私は本名が活動名と同じ「えり」です。英語が一般的になっても自然に馴染むようにとつけられたそうです。それもあってか家では英語の歌もよく流れており、その中でハンプティダンプティの歌もよく耳にしていました(でも学生の頃は英語の成績がすごく悪かったです)。

言葉を喋れるようになったばかりの頃の私にはハンプティが何を言っているのかわからなかったのですが、絵本を見ながら歌を聴いているとたまごみたいな何かが怒っているような気がして、「怒っている人はこわいな」と少し避けるような気持ちでいました。

ハンプティダンプティは大人になって触れるとかわいく思えるのが不思議だなと感じます。怒っていようが意地悪そうに笑っていようがチャーミングに見えてしまいます。
もしかしたら心も体も強く大きくなってハンプティよりも強い存在に自分がなったからなのかも。たまごに怒られても怖くないもんな。人間のちょっと嫌で面白いところなのかもと思ったりします。

そんなハンプティダンプティのヘッドドレス、実は「ハンプティダンプティのヘッドドレスを作りました」と言ってみたくなってことが動機で企画をはじめました。奇抜なデザインのおかげかイベントではお客様との会話のきっかけになることも多く、これについて話せば話すほどどんどん愛着が大きくなるアイテムです。
カラーはターコイズとパープルの2色展開。ちょっと変わったカラーリングがコーデを考える楽しみをより大きくしてくれそう、アクセサリーや小物の組み合わせで楽しむアリスコーデも素敵だな、と思いながら取り扱っています。 

ヘッドドレス本体

ブランドの定番、フリルヘッドドレスにハンプティの刺繍飾りをつけることをまず決め、材料選びをしながら配色や素材を決めることにしました。

フリルヘッドドレスは今までいろんな生地・テーマで作ってきました。

今回メインで使用したものはフランス製のキラキラしたジャガード生地。独特の模様とビビッドな色使い、見るだけで元気になれそうな発色と光沢のラメ部分、なのに柄の細かさと曲線が繊細で上品な印象を与えてくれる不思議な布です。
出会ってしまったこの生地は今までで一番高価なものでした。2ヶ月近く迷いに迷って他の候補も探しましたが恋に落ちるとそのことしか考えられないようであのキラキラか常に頭にちらつくようになり、見事に理性に負けました。
生地の向きの関係でまとめて6個作れるだけの生地を購入しているので、初めて購入した時は心臓がバクバクでした。

購入した素敵な生地で少しランダムなたっぷりフリルを作り、今作ではこの上からきっちり規則正しいフリルリボンを重ねることにしました。夢の"フリルonフリル"です。
飾りのハンプティダンプティに蝶ネクタイをつけることは最初から決めていました。それならヘッドドレスを身につける私達もハンプティに負けないようおめかしをしたい、と考えて光沢のあるボリューミーなフリルリボンを飾っています。国内ブランド製のしっかりした発色と上品な光沢、軽い質感が魅力のフリルリボンです。

パープルの生地には赤よりも朱色に近い赤のフリル、ターコイズの生地には黄色よりも黄土色に近い黄色のフリルを合わせています。メルヘンになりすぎないようにあえて少し甘さを抑えた色をチョイスしました。フリルは中央の窪んだラインを手縫いでヘッドドレスに縫い付けており、ひらひらを縫ってしまわないようフリルをかきわけながら行っています。細長いくせになんだかお花を見ているみたいで縫い付け作業は幸せな気分で行っています。

当初はさらにその上からフリルと同色のブレードを重ねる予定でしたが(全く同じ色のものを発見してしまいました)、実際合わせてみたところブレードはない方が可愛いと感じたため、またいつか活躍してもらうことにしました。

ハンプティダンプティの飾り

このヘッドドレスの一番の肝、ハンプティダンプティで一番苦労したところは顔の図案デザインを描くことでした。
「こんな顔にしたいな」を考えてはいたものの、思い通りのものを実際描くのはやっぱり難しく、しかも元々絵に自信がないのもあり、朝から一日中顔を描き続けていました。半分諦めて本番用の方眼のノートに書き始めたら一発で思い通りの図案が書けたので「最初からこうすれば良かった」と笑ってしまった裏話です。

その日のInstagramストーリーを発掘。悪夢みたい。
投稿を見た妹から「ハンプティダンプティじゃん!お姉ちゃんらしい」とメッセージをもらいました。

また、どんな表情のハンプティにしようかも非常に悩んだポイントです。
私のイメージは意地悪で怒った・不機嫌なハンプティです。
けれどプチエクランエトワールの活動では「このヘッドドレスをつけた方には嬉しいや楽しい、幸せで前向きな気持ちになってもらいたい」と思っています。頭の中で考えを擦り合わせた結果、"真顔"の刺繍をすることでそれぞれの微妙な個体差や手に取った方の感じ方にゆだねる形をとりました。

生地はナチュラルな風合いのハーフリネンを選びました。刺繍がしやすくレースなどとの相性も良いとてもお気に入りの生地で、いくつかのシリーズで使用しています。

ナチュラル系の明るい作品で使うことが多いです。
ブラウンのヘッドドレスは紅茶染めして使っています。

この生地は肉眼でも見えるくらいの繊維のポツポツとしたものが時折混じっているのですが、この生地のポツポツがほくろのように見えてみんな違うハンプティになります。私がこのアイテムを作りながらより愛しく感じる部分です。
刺繍糸の色は黒ではなく、ブラウン~グレージュ系の色味を3色、生地とのバランスを見ながら選びました。にくたらしい顔をやさしい色味で刺繍することで「ゆるい」「可愛らしい」印象に近づけています。
ナチュラルな色・素材のハンプティの顔は、ぴりっとはっきりした色味のヘッドドレスとのギャップでアイテムに少し抜け感を出すことができたと思います。

ハンプティには蝶ネクタイを付けています。この部分のみリボン刺繍で付けており、ヘッドドレスのフリルの生地色と対応する色味で探しました。パープルは濃くよりはっきりした色の、ターコイズは生地よりも少し爽やかな色の蝶ネクタイでおしゃれさんにしています。
お洋服はストライプ柄を刺繍しています。こちらはヘッドドレスのジャガードの柄と喧嘩しないように、優しい色味のシンプルなストライプのお洋服にしました。

ハンプティのまわりにはヘッドドレスにも飾ったフリルをぐるっと縫いつけました。これでヘッドドレスの持ち主とハンプティがお揃いの飾りをつけることになるなと考えてにやけてしまいました。

今作でも飾りがブローチピンでつけ外しが出来るようにしています。ヘッドドレスの好きなところに好きな向きでハンプティを飾ってもらってお出かけを楽しんでいただきたいなと思っています。

今回はHumpty Dumpty ヘッドドレスについての記事でした。
ちょっと思いきった奇抜なヘッドドレスですが、思った以上に好評で沢山作ることができて嬉しいです。
メルヘンなアイテムはもっと作りたいです。いつになるかわかりませんがアリスのお話をテーマに何か作りたいなとも思っています。その時はぜひまた見てください。
今回もお読みいただきありがとうございました。

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