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in the forest ヘッドドレスについて

Petit écrin étoile(プチエクランエトワール)のeriと申します。ロリータファッションのヘッドドレスやアクセサリーを製作しています。

今回は in the forest ヘッドドレスについてのnoteです。

このヘッドドレスの生まれたきっかけはオーガンジーのリボン(サイドの飾りに使用)に一目惚れしてしまったことからです。
軽い素材感にこっくりした色味のギャップ、そして好みぴったりの配色にときめき、見た瞬間から「絶対使うぞ」と試行錯誤していたものになります。

配色を考えることは、素材感を選ぶことと並び現在の製作において大きな楽しみの一つです。

10年ほど前に私は色の勉強をし色彩検定を受験していました。就職活動で使えると信じていて、これを取ることで敷かれたレールから抜け出せると思って取り組んでいました。
世間知らずの私には他にやるべきことがもっともっと沢山ありました。就活はうまくいかず、レールに戻ることとなり、合格証はただの紙切れになりました。しかし、そのかわり毎日のおしゃれや日常の何かを見ることがより楽しくなったのでOK牧場!、と思いきかせるようになりました。
それ以前はベーシックな色+好きな色やワントーンコーデなどが中心でしたが、検定の勉強をきっかけに沢山の色を知り、役割を知り、配色を考える面白さを覚えました。
好きな配色が沢山できて、例えば差し色を何にしようか等考えることが今も日常の楽しみです。

色の組み合わせは緑色と何かの色を合わせることが特に楽しいと感じています。
緑×グレーや緑×ピンク、緑×黄色、それから暖かいオレンジや赤などとの組み合わせも好きです。
軽いオレンジも、こっくりとしたテラコッタも、少し青みがかった赤も、どれもあわせるのがとても楽しくときめいています。

おしゃれのものづくりをする人を現在改めて目指せる環境にあります。挑戦の結果また元の生活に戻ってしまう可能性も大きいですが、それでも今の私はとても恵まれていると感じています。
色の勉強はブランド活動とともに少しずつ再開しており、機会があればぜひ一級も目指してみたいなと考えています。

少し前にnoteに書いたwitch gemシリーズやswan lakeヘッドドレスもそうですが、2022年の秋冬は個人的にブランド活動への思いを込めたようなアイテムがなんとなく多いのかもしれません。
あの時検定の勉強をしなかった世界線の私はきっと作らなかったアイテムだと思います。現在プライベートでも特にお気に入りのヘッドドレスのため、「やっぱりあの時の私グッジョブ!」と思っています。


本アイテムは名前の通り森の中をテーマとしたヘッドドレスとなります。
カラーバリエーションは2色、ライトグリーンとディープグリーンです。"light"と"deep"表記で販売しています。

lightは森の入り口やひらけた場所。日の光が何の遮りもなく当たる場所を
deepは森の深いところ。陰っていたり水辺が近くにあるような場所をイメージし、アイテム・カラー名としました。
緑に添えられているオレンジ色やレンガ色は受け取る方それぞれによってお花や紅葉、門、洋館など好きな森の景色を想像していただけるといいなと思っています。

ヘッドドレス本体

ヘッドドレス本体は葉っぱ柄のインド刺繡リボンを使用しています。
インド刺繡リボンは今もとても流行っているため沢山の柄があり、見るのがとても楽しいです。
今回使用した葉っぱ柄のリボンは配色がメイン素材のオーガンジーリボンにぴったりでした。

地の色は"deep"は少し深いピーコックのような色、"light"は若草や若芽色と表現するのが近いかと思います。これらに葉っぱ部分はつやのある少しだけ黄みがかったような白と、輪郭はレンガ色とキャメルの間のような温かいオレンジやうすい金色で刺繍がされています。
緑ではなく、白で葉っぱが表現されているところがとても面白く、素敵な柄だと感じて選びました。

サイドの飾りを最大限に引き立たせるため、本体自体はフラットなヘッドドレスを目指しました。
フリルは薄めのドットチュールに細かくプリーツが入ったものを使用しています。
刺繡リボンやオーガンジーがいっぱいの飾りブローチに色のインパクトがあるため、引き立たせながら存在感が負けすぎないフリルを探して辿り着きました。
プリーツに陰影があるため、ほんのりと主張をしてくれるフリルになります。

本アイテムはリボンで結ぶタイプのヘッドドレスです。

最近ではクリップのタイプを作ることが多くなっていますが、ヘッドドレス自体の幅が広いこととデザインとの兼ね合いからリボンタイプとしました。
私自身は普段ヘッドドレスのリボンは後ろで結ぶ派なのですが、このヘッドドレスは顎下で結ぶことを前提にリボンを選んでいます。
幅広のリボンで、ブラウンまたはカーキ色です。肌や髪の色と近い色のため、顎下で結んでもリボンの色が浮きにくく、クラシカルで少し甘い印象になります。
ヘッドドレス本体の色味に対し甘みが少なく感じたため、顎下のリボンでシロップを足すような感覚で作りました。

人によっては結ぶことに慣れるまでが少し大変ですが、ぜひ顎下で結んでいただくのがおすすめです。

飾りのブローチ部分

このヘッドドレスは実はサイドのブローチ部分からデザインが決まっていきました。
一目惚れのオーガンジーリボンは色も幅も選び切ることができず、「全部使っちゃいたい!」と抱き抱えちゃう勢いで6種類買い込みそれをカラーバリエーションの2つに分けました。

カラバリにより異なる部分は青・緑のリボンです。
"deep"は軽い黄緑色がベースとなっているものを、逆に"light"には濃い青がベースのものを、それぞれアクセントをつけるためとして使用しています。

これらのオーガンジーをダブルリボンのような形にしてビーズ刺繍の小さな飾りをつけていきました。
このアイテムは考えるのにあまり苦労せずサクサクとデザインが決まっていきましたが、このリボンの幅とビーズ刺繍の出来上がりの大きさを揃えることに一番頭を悩ませた覚えがあります。

モチーフに使用したのは石座をつけたクリスタルガラス、ゴールドのマットなパールビーズ、チェコガラスの葉っぱ型ビーズ、楕円形のチェコガラスのカボションです。

ガラスのカボションはマーブル模様に金箔のようなきらきらがついています。お店によると職人さんが一つ一つハンドメイドで作られているそうで、カボション自体に個体差があるものとなっています。
お店では「宇宙のようなー」と表現されていて、私も見るたびに宇宙に見えてきます。高価ですがとても魅力的なのでまた使いたいと思っています。

ゴールドのパールビーズは一粒をリボンの中央に、もう少し小さい粒を先のカボションを囲むために使用しています。
このパールはほんの少しだけある「暗さ」が気に入っているポイントです。バリ取り(購入時点での塗料のはみ出しを取り除く作業)の際に判明したのですが、もともとは黒めの色のパールにゴールドの色付けをされているようです。こういう秘密がわかるのも製作中の楽しさの一つだなと感じています。
ブランド内では他に"jewelリボンクリップ"で同じものを使用しています。こちらもまた絶対使いたい材料です。

緑のビーズも気に入ったものを数種類使用しています。
中でもお気に入りは"light" "deep"共に葉っぱ型のガラスビーズを囲んでいるもので、透明なビーズの内側の、穴の部分にのみ緑色のコーティングが施されているビーズです。

(すごいわかりづらい画像ですみません、
後日入れ替えようかな)

透明感があるため、水饅頭のように一粒一粒がちゅるんとしていてとても可愛いビーズです。
こちらはビーズでとても有名な国内メーカー、TOHOさんのビーズで、この米粒みたいに小さなビーズでこんな素敵な表現ができるなんて・・・、技術すごいなぁ・・・、と思っています。

とても長くなりましたが、材料のお気に入りポイントを沢山語ってみました。
これらで作った小さなリボンたちをハート型のレースモチーフのレース部分に沿って配置していきました。

レース自体に明るい橙色のお花が少しあしらわれたデザインなのもあってか、リボンの蝶々が沢山とまっているみたいで好きなデザインとなりました。
製作者の私にとってお気に入りの宝物たちが集まっているようにも思えて、着けていると愛しさが溢れてしまいそうです。

今回は in the forest ヘッドドレスについて語ってみました。
お気に入りの材料について語りだすと止まらなくなってしまい、記事自体の構成に苦労してしまったnoteでした。
またまた長くなってしまいましたが、今回もお読みいただきありがとうございました。

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