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血中酸素飽和度(SpO2)を常時測定してみた

上記の常時測定型パルスオキシメーターを購入したのでレビュー。
結論から言うとお値段(¥20,000)相応には有用です。

背景:
父が肺炎となり、常時酸素吸入が必要な生活となったものの、元気に動き回ってしまいダウンする、みたいなことを繰り返している。
そこで、血中酸素飽和度(以下SpO2)を可視化して「酸欠状態だから落ち着け」というのを自分で気づけるようにしたい。

課題:
病院支給のパルスオキシメーターでは、指先に装着しなければならないため、常時測定に適さない。息苦しくなってから測定するのではなく、常時測定して息苦しくなる前に気づけるようにしたい。

検討1:スマートウォッチ

SpO2を測れることを歌っているスマートウォッチが市販されているが、以下のような難点があった。
・そもそもSpO2測定は、血液に光を当て、「酸素化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの赤色光と赤外光の吸光比率からSpO2を算出」する。
(引用元:https://www.kango-roo.com/learning/8192/
このためパルスオキシメーターは、指先などの光を透過させられる箇所で測定するようになっている。
しかし、スマートウォッチで採用されているのは手首での反射光であるため、測定精度に難があるのでは?という懸念があった。実際、すべての製品で以下のように医療用ではないとの記載があった。

値が不正確になる可能性があることから、アップル、フィットビット、ガーミンなどの企業は、ウェアラブル端末から得られる測定値は医療診断での利用を意図したものではないと強調し、強く注意を促している。

https://wired.jp/2020/12/06/how-to-use-blood-oxygen-data-on-apple-watch-garmin-fitbit-samsung/

・常時測定ではないものがある。SpO2測定画面に移動し、静止しないと測定されないなど。また、就寝時のみ測定に対応したものもある。(もともと動いているときに正確な値は測定しづらいが・・・)
・規定値以下になったときに振動やアラームで知らせてくれる機能があるが、その閾値や振動設定などができるのかが詳細に記載されたマニュアルが見つけられないものが多い。
・値段がピンキリ(¥2,000~100,000)すぎて判断が付かない。

自分用であれば、多少精度を犠牲にしてでも活用の幅が広いスマートウォッチを選ぶが、今回は機能面を追求することとして却下した。

検討2:常時測定型パルスオキシメーター

医療用品から探すことを検討したが、寝たきり老人向けのものが多く、活動しながら測定することを考慮していないものが多いようだった。

手首のモニタがでかすぎるし、指先も使えない
だいぶ小型ではあるが指が使えず、¥165,000は厳しい
指輪型にしては邪魔すぎるだろ

これらの中で「リングO2」という商品が、一番理想に近かったので購入することにした。

腕時計サイズであり、測定器も邪魔にならなさそう

レビュー:リングO2

所感

・販社はニューロシューティカルズ。
Amazonで売り切れだったので問い合わせたら、すぐメールを貰えた。

・OEM元はシンセンのViatom社が売っている「CheckmeO2Max」っぽい。

・マニュアルは完全日本語で不自然な点もない。
・振動設定は初期無効。一度スマホアプリとBluetooth接続してから行う。接続時にシリアルNo.を入れる必要があると記載されていたが、特に入れなくても繋がった(iPhone)。設定した歩数を超えると振動して教えてくれる機能もあるが、まぎらわしいので使うことはないかな・・・と思う。ちなみに指のセンサ側だけが振動するので「そっちかよ」と思った。
・可視光を当てている箇所が1~2℃上がることがあるため、やけどに注意とのこと。常時測定ならではの悩みだが、たまには測定する指を変えた方がいいかもしれない。個人的には熱は全く感じなかった。シリコンのせいで少し汗ばんではいた。
・ディスプレイ表示は左手用だが、見づらさを気にしなければ右手でも 装着可能。

・ボタンは電源ボタン1個しかない。長押しでON/OFF、短押しで画面表示切替。
・測定モードには、常時SpO2画面表示/歩数測定が付いた「モニターモード」と、ボタンを押したときだけ画面表示/歩数無しの「スリープモード」がある。モードは電源ON時の2秒間しか切り替えられない。デフォルトは常にスリープモードで、なるべくスリープモードで使えということらしい。まあ別に歩数計いらないしね・・・本当は常時表示しておいてほしいんだけど。
・バッテリーは満充電で48時間ぐらい持つ。ただし、連続稼働はスリープモードで10時間。モニターモードは5時間。どうもメモリ容量のせいでこの時間制限らしい。
・スマホアプリにデータが取り込まれるタイミングがいまいちわかりづらかったが以下の仕様らしい。
 1.本体の電源を落とすことで本体メモリから本体ストレージのファイルに記録される。
 2.その後、スマホアプリを開いた段階でスマホ側にダウンロードされる。

良かった点

・想定していた常時測定が実現できた。親指~小指まで問題なく装着でき、物を持ったりするのにも支障はない(あまり力を入れて握る行為は避けた方がよいが)。
・画面がシンプルなのでSpO2表示に専念できてよい。
・振動で酸素飽和度が下がったことに気づけるのがよい。振動の強さは5段階に調節できるし、閾値も変更できる。ちゃんと呼吸を止めると反応するので、精度も問題ないと思われる。測定している指を大きく動かしても、特に値に変動はなかった。

気になった点

・本体一式が¥20,000に対し、ケーブル付きセンサーが¥12,000なので断線が怖い。一応1年間の保証付き。
・充電ケーブルとして、USB-TypeAとMicroD端子のケーブルが付いている。このMicroDという端子は一般的に販売されていないので、こちらも断線したらと思うと結構怖い(¥1,650)。また、センサーのケーブルコネクタと充電コネクタが同一なので、充電するたびにケーブルを差し替えなければいけないのがめちゃくちゃ厄介である。充電用のMicro-USBコネクタを付けるか、ワイヤレス充電に対応してほしいところ。
・閾値を切った場合にアラームが鳴る機能もあるとよかったなあと思う。年寄りには高音は聞こえづらいのだが。
・防水ではない。センサー部はシリコンなので多少の水は耐えうると思うが、コネクタ部はアウト。手洗い時はバンドごと外した方が良い。
・テスト測定しているときにちょくちょく87%などになっていた(Amazonでも低めに出ることがあると記載されていた)。その時は脈拍値も変動なく、検知し出すと97%などになるので誤検知(データ欠落)だと思う。やはり安静時でないと正確な値は測定しづらいのだろう。

総評

安価なパルスオキシメーターであれば3000円ぐらいからあるので、まあまあお高いかなーとは思うが、この利便性まで落とし込めているものは他になかったので、お値段相応の価値かなと思う。海外だと$320で売ってるっぽいので割安なのでは・・・?
グラフを見ているだけでも結構面白かったので、私用にも安物スマートウォッチでも買って、常時測定してみたい。

余談だが、血中酸素飽和度を血中「酸素濃度」と記載されている記事をいくつか見かけた。意味合い的には伝わるし、たぶんわかりやすく言い換えたつもりなんだろうけど、不正確なのでやめたほうがいいと思う。

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