【読書note】なぜイヤな記憶は消えないのか

2022年8月12日読了。帯に書かれた「良い人生の鍵は記憶である」という言葉に惹かれて手に取りました。

内容は「そもそ記憶って何?」「どうしてイヤな記憶が生まれるのか」の解説が中心で、それらを理解した上で、どう向き合うか・どうすれば"イヤな記憶"でなくなるかが示されています。

「ネガティブな出来事にポジティブな意味を見出す能力」を私もぜひ身につけたい…。まずは、過去の出来事を丁寧に思い出すところから始めてみます。

学び

・未来の自分の姿は、過去の自分(記憶)をもとに描かれるもの。明るい未来を描くには、「過去の出来事が、前向きな意味づけをして整理されている状態」が必要。イヤな記憶しか残っていなければ、未来の自分の姿もネガティブなものになる

・自分に自信がもてるか否かの根拠も、「どのような記憶をもっているか」に依存する

・気分一致効果:記憶する人のその時の気分と一致する感情価をもつ事柄が、記憶に定着しやすいという現象。逆に、気分になじまないエピソードは記憶に刻まれにくい

・鬱々とした気持ちで過ごすことが多い人は、ネガティブな出来事を記憶しやすく、ポジティブな出来事を記憶しづらい。ネガティブな記憶ばかり残るし、鬱々とした気分と相まってネガティブな記憶を思い出しやすくなる。ネガティブな気分と記憶の無限ループに陥ってしまう

・「思うようにいかなかった過去の出来事」からどんな意味を引き出すかが、現在や未来を左右する。意味を引き出すためにも


過去の振り返りは超大事。ネガティブな意味付けばかりしてしまうと、現在の自分が置かれている状況や未来の姿にも、後ろ向きな印象をもってしまう

・過去の出来事を振り返る習慣がなく、エピソード記憶(いつどこでどんなことがあったか)が整理されていないと、過去の経験を今に活かすことができず、未来の展望まで狭めてしまう

・自伝的記憶:自分の人生史であり、存在証明のようなもの。3歳くらいから徐々にできあがっていく

自伝的記憶がぼんやりしている人は、自分の人生を受け入れていない(=エピソード記憶が整理されていない=過去の出来事を振り返っていない、振り返ることを避けている)とも言える。嫌な出来事を消化せずにいると、自伝的記憶がぼやける

・辛い経験や、嫌な出来事を振り返ることは、心を強くするために必要な行為。心が元気な時まで嫌な事を避けると、いつまでも心が強くならず、「嫌な出来事」への耐性ができずに辛いままになる

・よく思い出す出来事、苦労なく思い出せる出来事は「自分らしさをよく表しているもの」である場合が多い。記憶は「今の自分を説明するもの」として作られている

例えば、自分のことを頑張り屋だと思っている人は、さまざまながんばった出来事をよく覚えている(だから自分のことを「いっぱい頑張ることができる頑張り屋だ」と認識している)。逆もしかり

・自己評価が高い人ほど自分の過去が好きだし、自尊心の高い人ほど自分の過去に満足している。だから自分の過去の出来事を好んで想起するし、ポジティブな意味づけができる

・過去の出来事は変えられないけれど、そこから感じるや意味や印象は、ネガティブなものからポジティブなものへと十分に変えることができる。

なので、今の自分の生活がパッとしないのは生い立ち(過去の出来事)のせいではなく、生い立ちに対して自分がネガティブな意味づけを行なっているせい。その意味付けを変えていけばいい

・記憶をポジティブな意味をもつものに書き換えるために
①今の自分の視点で過去を振り返る
 懐かしい場所、モノ、人、出来事に触れてみる
②他人の視点を自分の中に取り込んで過去を振り返る
 他人と語りあったり、読書をして他人の視点を自分の中に取り込む

総評

・タイトルを見て気になると感じた方、ぜひ読んでみてください。新書版で約170ページなので、それほど時間をかけずに読了できます。

・自分が不幸だと感じたり、生き辛い・モヤモヤしてばかりいるのは、過去の出来事(変えられないこと)のせいではなく、自分がそこに与えている意味(変えられること)が原因だとわかって、私は前向きな気持ちになりました。

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