おわる
いまならこんなにはっきりと思い出せる。
あの言葉を。光を。温度を。
忘れてしまうことが、かなしい。
一度にたくさんの恋をして、すべて失くしたような。
きれいだけど、切なくてどうしようもない。
失うわけじゃない。
心の中の大きなものが、きっと小さくなっていく、という予感。
離れただけで、うそのように忘れてしまう。
守りたいものは、たくさん。
守れるものは、ほんの少し。
わたしはわたしの中で、たったいくつかの、なにを守る?
選べないから苦しいのか、苦しいから選べないのか。
ひとりを感じる朝、寒さに目が冴える。
涙もあと戻りするくらいに、乾いたわたしがいる。
いただいたサポートで元気になって文章を書きますっ。