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終わりと始まりのあいだ


夏の朝帰りはたいへん気持ちいい。
思えば、朝帰りの日はいつも晴れている。


このまま目が覚めなければいい。
そんな夜が明けたら、わたしは少しだけ急いで家を出る。
誰かとの一日がまた始まってしまう前に。


ラッシュの時間帯に、空いているほうの電車に乗って、スタート地点に戻る。

雨に濡らしてしまった日傘を乾かすこと。
コンビニで支払いをすること。
大好きなひとの温もりを感じること。

昨日忘れていたことを思い出した。


日傘をゆらゆらさせながら、低いヒールでゆっくりどすどす歩く。
足早なひとたちとは反対方向に、誇らしげに。


コンビニで汗を冷やす。
朝帰りの道のりは長い。
いつも通りに戻るための、ひとりで始めるための、わたしをととのえる時間。


玄関の前に立ったら涙がこぼれた。
もう思い出せない。
あの温度、あの空気―――。


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りつかこ @ 声と文章

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女の子。ゆるゆるラジオ配信。ゆるゆる日記。等身大のわたしをここに持ってきます。□Twitter→@ukyan_kyan_kyan