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【映画の中の詩】光は闇の中で輝く

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映画と詩の交歓にまつわる文章を綴ります。 〈注:引用するのは主に1930〜50年代の映画です。 字幕と翻訳者明記のない引用詩は私の勝手訳(語句の入れ替え、省略有り)であることをご…
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#ブラウニング

【映画の中の詩】『欲望という名の電車』(1951)

「欲望」という名の電車に乗って 「墓場」という電車に乗り換え 六つ目の角まで行くように言われたんです 「極楽」に着いたら降りるようにと―― エリア・カザン監督。原作はテネシー・ウィリアムズの同名戯曲。 主演ヴィヴィアン・リー、マーロン・ブランド。 南部の裕福な名家に生まれ職業は高校教師という未亡人ブランチ(ヴィヴィアン・リー)と粗野で暴力的な貧しい職工スタンリー(マーロン・ブランド)という分かりやすい対比。 もっともブランチの家は没落し、彼女自身も不行状(男と酒)が理

【映画の中の詩】『白い蘭』(1934)

共に年老いていこう! 最良の時はこれからだ エリザベス・バレットとロバートのブラウニング夫妻の文学史に残る愛の物語。 寝たきり同然で死を待つのみだったエリザベスがロバートとの出会いと詩の力で生命力を取り戻してゆく。 1957年にジェニファー・ジョーンズ主演でリメイク(というか原作戯曲があるので「再映画化」)されています。 当時評判を取ったという、ルドルフ・ベジアの戯曲『ウィンポール街のバレット家』が原作です。 特筆すべきは、この戯曲を観たであろう、ヴァージニア・ウル

【映画の中の詩】『ジェニーの肖像』(1948)

ジェニファー・ジョーンズ、ジョゼフ・コットン主演。 孤独な画家と「時をかける少女」ジェニーの時空をこえた真実の愛の物語。多くの映画監督、作家に影響を与えた映画。 冒頭引用されるのは「美は真理、真理は美」という、キーツの『ギリシァの古甕のオード』 美は真実で、真実は美 それがすべて Beauty is truth, truth beauty,―that is all そうすべてなのだ―あなたが知るべきことの Ye know on earth, and all ye nee