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【映画の中の詩】光は闇の中で輝く

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映画と詩の交歓にまつわる文章を綴ります。 〈注:引用するのは主に1930〜50年代の映画です。 字幕と翻訳者明記のない引用詩は私の勝手訳(語句の入れ替え、省略有り)であることをご…
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#シェリー

【映画の中の詩】『欲望という名の電車』(1951)

「欲望」という名の電車に乗って 「墓場」という電車に乗り換え   六つ目の角まで行くように言われたんです 「極楽」に着いたら降りるようにと―― エリア・カザン監督。原作はテネシー・ウィリアムズの同名戯曲。 主演ヴィヴィアン・リー、マーロン・ブランド。 南部の裕福な名家に生まれ職業は高校教師という未亡人ブランチ(ヴィヴィアン・リー)と粗野で暴力的な貧しい職工スタンリー(マーロン・ブランド)という分かりやすい対比。 もっともブランチの家は没落し、彼女自身も不行状(男と酒)が理

【映画の中の詩】The Romantic Age/Naughty Arlette(1949)

エドモンドT.グレビル監督の1949年のイギリス映画。アメリカ公開時に『Naughty Arlette(いたずらなアルレット)』と改題されています。 謹厳実直の妻子ある女子校教師がフランス人生徒の恋の火遊びのターゲットにされ、彼女に溺れてしまう・・・。 メガネを取ったほうが素敵よ、と言われ、「壊れてしまった」などと言い訳しつつ、掛けずに彼女の元を訪れているというシーン。 シェリーの「Love’s Philosophy」という詩が読まれるのですが、最後のところを本来〈swe

【映画の中の詩】「ローマの休日」(1953)

『ローマの休日』(1953)。ウィリアム・ワイラー監督。 主演オードリー・ヘプバーン、グレゴリー・ペック。 出会いの場面でオードリーは「この詩ご存じ?」と問いかけるが、検索しても出所は不明。脚本のダルトン・トランボ(『ジョニーは戦場へ行った』の原作、監督)の創作では、という意見が多いようです。 この後の会話で「何か声明がおありかな?」と聞かれたオードリーが暗記させられているのであろう、若者に対する提言を述べるのにつなげるために「葬られようとも その声を聞かば...」という