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【映画の中の詩】光は闇の中で輝く

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映画と詩の交歓にまつわる文章を綴ります。 〈注:引用するのは主に1930〜50年代の映画です。 字幕と翻訳者明記のない引用詩は私の勝手訳(語句の入れ替え、省略有り)であることをご…
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#ヴィヴィアン・リー

【映画の中の詩】『欲望という名の電車』(1951)

「欲望」という名の電車に乗って 「墓場」という電車に乗り換え 六つ目の角まで行くように言われたんです 「極楽」に着いたら降りるようにと―― エリア・カザン監督。原作はテネシー・ウィリアムズの同名戯曲。 主演ヴィヴィアン・リー、マーロン・ブランド。 南部の裕福な名家に生まれ職業は高校教師という未亡人ブランチ(ヴィヴィアン・リー)と粗野で暴力的な貧しい職工スタンリー(マーロン・ブランド)という分かりやすい対比。 もっともブランチの家は没落し、彼女自身も不行状(男と酒)が理

【映画の中の詩】『セント・マーティンの小径』(1938)

主演チャールズ・ロートン、ヴィヴィアン・リー。 詩を朗読する大道芸人に拾われたホームレスの女スリは才能を認められ大道芸を抜け出しスター女優となる。 一方、彼女に去られた男は物乞いにまで落ちぶれていく。彼を立ち直らせようと女は自分の主演舞台の端役のオーデションを男に受けさせるが…、というストーリー。 『風と共に去りぬ』前夜の映画ですがヴィヴィアン・リーはすでに輝きを放っています。 オープニングシーンで朗読される詩はJ・ミルトン・ヘイズの「黄色い神の緑の眼」。いわゆる「劇的モノ