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【映画の中の詩】光は闇の中で輝く

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映画と詩の交歓にまつわる文章を綴ります。 〈注:引用するのは主に1930〜50年代の映画です。 字幕と翻訳者明記のない引用詩は私の勝手訳(語句の入れ替え、省略有り)であることをご…
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#ゲーリー・クーパー

【映画の中の詩】『 あゝ荒野』(1935)

ユージン・オニールの舞台劇の映画化作品です。 寺山修司の同名小説とその映画化作品(2017)とは直接関係はありません。 「寺山修司が題名だけを自分の小説にパクった」ということで、よく寺山関係の書籍などに紹介されています。 ただ私は題名だけではなく、引用されている『ルバイヤート』の〈荒野もすでに楽土かな〉が、 〈一粒の向日葵(ひまわり)の種まきしのみに荒野をわれの処女地と呼びき〉 という寺山の歌へこだましているように感じました。 オマル・ハイヤームの名は同時期に公開された

【映画の中の詩】『戦場よさらば』(1932)

でも わたしの背後からいつも聞こえてくるのは 時が翼のついた戦闘馬車で急ぎ足で近づいてくる音― 『戦場よさらば』は『武器よさらば』として知られるヘミングウェイの小説『A Farewell to Arms』の映画化です。 公開時に日本では題名が不適切ということで変更されたとのことです。 監督はフランク・ボーゼイジ、出演はゲイリー・クーパーとヘレン・ヘイズ。 アンドルー・マーヴェルは17世紀の英国「形而上詩人」と呼ばれる詩人たちの代表的な存在です。 ヘミングウェイはおなじく