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No.82 2012年~2020年 社会科専科の授業 6年歴史「フランシスコ・ザビエルの肖像画」鑑賞 はてな(?)を探し、どのような意味があるか考える

 この授業も2012年からの4―4-4制での社会科専科の授業以前から、6年生を担当すると実践していたものです。6年生の毎時間の年間授業計画はエッセーNo.36 2012年~2020年 社会科専科の授業 5年・6年「年間の毎時間指導計画」を参照して下さい。
 「フランシスコ・ザビエルの肖像画」をじっくり鑑賞し、そこからひとりひとりが関心あることや疑問に思ったことなどを書き込み想像し発表しあい、考えてしていくものです。教師である私もキリスト教カトリックのこと、ザビエルの肖像画が十分理解できているわけでないので、事前に子どもたちが書き込むであろうことを予想し、書籍やネットで調べたことをまとめておきます。
 まず、A4版の紙の真ん中に「フランシスコ・ザビエルの肖像画」を印刷し、その周りに子どもが書き込むための余白をつくったものをひとりひとりに配布します。
 

「フランシスコ・ザビエルの肖像画」はWikipediaから引用

フランシスコ・ザビエルの肖像画を鑑賞し、関心のあることや疑問に思ったことなどをザビエルの肖像画の周りに書き込んでみましょう。15分ぐらいでしましょう。」と指示を出します。
 4-4-4制の専科になってから8回この授業をしましたが、前回の「東大寺の大仏」同様、どの学年でも実に丁寧に鑑賞し教師が想定していた子どもからの疑問をほぼ網羅していました。
 書き込みが終わると、「フランシスコ・ザビエル」の写真を拡大して印刷したものを黒板(当時から黒板ではなく緑板でしたが)に張り、子どもからの出された疑問の解釈を周りに書きました。


縦80㎝ 横70㎝の大きさの紙に印刷したものです

 もちろん、全ての疑問に答えられないこともあり、いつものように「先生も調べるからみんなも調べてみよう」と呼びかけます。
 私は子どもからの疑問を想定し、解釈を用意していました。
 
 エッセーをお読みいただいている方も鑑賞してみませんか。「フランシスコ・ザビエルの肖像画」のはてな(?)を探し、どのような意味があるか考えてみて下さい。

Wikipediaから引用

私は子どもからの疑問を想定し、次のような解釈を用意していました。

○ザビエルの頭の周辺の輪
 聖人の印
○口から出ている言葉
 「満ちたれり、主を満ちたれり」(ラテン語)
○十字架にはりつけられたキリスト(救世主)
磔刑(たっけい)
○INRI
 ラテン語 IESUS NAZAREN REX IUDAEORUIの頭文字「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」
○天使たち 
キリストを見守るように囲むケルビム(智天使)
○イエズス会の紋章 
 聖堂の聖ひつ、入り口上の十字架にある。
○IHS イエズスの略字 イエス=キリスト ラテン語 Ihsouz
Xristozの最初の3文字
○心臓 
神への愛を象徴する心臓。かたい信仰と布教に対する情熱が表されている。ギザギザは炎
○手を合わせるポーズ
 イエズス会の伝統的なお祈り
○黒の服
 イエズス会の宣教師が着る。
○ザビエルの下の黄色の文字
 ラテン語で「イエズス会士 聖フランシスコ=ザビエル」という文字
○その下の文字
 万葉仮名 「サンフラヌシスコ・ザベリウス、サクラメント」ザビエルがカトリックの儀式を行っている。
○ザビエルの髪の毛
 トンスラ ザビエルが属していたイエズス会ではトンスラの習慣はなく、ザビエルはトンスラをしていない。
○フランシスコ・ザビエルの本名
 フランシスコ ジャッコア アスピルクエスタ イ エチェべリア
○この肖像画
 イエズス会の布教活動の中で西洋画の手ほどきを受けた絵師が、輸入された銅版画を手本にして、ザビエルが列聖された1622年(元和8年)より後に礼拝画として制作したと推定される。1920年(大正9年)高山右近の旧領、
 千提寺(せんだいじ、大阪府茨木市)の旧邸に伝わった「開けずの箱」に隠されていたものが発見された。
○他の肖像画
 カトリック山口ザビエル記念堂に飾られていた、約200年前に描かれたスペイン・トレドの教会にあったもの。

カトリック中央協議会 特集「聖フランシスコ・ザビエル生誕500年」
https://www.cbcj.catholic.jp/catholic/saintbeato/xavier/
より
 
聖心女子学院の保護者 学院聖堂入り口にあるザビエルの肖像画
子どもたちには実際に観るよう促します。

 ザビエルもいろいろな描き方があることを学び、歴史上の人物の固定した見方を和らげる働きに繋がっていくと考えています。
 
 前回の「奈良の大仏」今回の「フランシスコ・ザビエルの肖像画」の授業は小学生の歴史で扱う範囲を超えているものです。国立・公立の学校では宗教教育は禁止されています。私立学校では宗教を基盤にする学校では宗教教育は認められています。それが、私立学校の大きな特長になっています。国際理解教育にとっても表面的なことを超えある程度宗教について学ぶことは大きな役割を果たします。
 以前、初等科の子どもたちが総合的な学習の研究で東京の代々木上原にあるイスラム教のモスク「東京ジャーミー」(東京ジャーミー・ディヤネットトルコ文化センター)を訪ねたことがあります。私も先日訪ねましたが、また行く予定です。今度は味覚の経験をする意向です。
 何歳になっても学ぶ姿勢は続けていきます。


東京ジャーミー・ディヤネットトルコ文化センター
https://tokyocamii.org/ja
 
参考
フランシスコ・ザビエルの生涯!ザビエルが日本に来た理由や本名と死因についても
歴史伝
https://rekishi-den.com/azuchi/1116/
 

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