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キャラソン日記 2023年7月編その1

こんにちは、私的音楽同好会です。

今回は、2023年7月上旬分の #キャラソン日記 をまとめました。
ぜひ皆さまも、レビューを読みながら曲を聴いてみてください!

7/1 でいなばよって☆マサリモ

歌唱:丹生谷森夏(赤崎千夏)
発表年:2012
作品名:中二病でも恋がしたい!

「クラスの温和なマドンナ」という顔と、「サディスティックな元中二病患者」という顔を併せ持つ、丹生谷森夏(通称モリサマー)のキャラソン。「でいなばよって☆マサリモ」という突飛なタイトルもさることながら、曲自体にも面白い仕掛けがなされている。1番の歌詞では「優等生」としてのモリサマーの顔が描かれ、2番では「腹黒な」モリサマーの本性が描かれるのだが、このことをメロディにも反映するべく、(作曲者たるZAQは)1番から2番に移る際、キーをB♭メジャーからB♭マイナーに同主調転調させているのである!この転調はかなり秀逸なのでぜひ聴いていただきたい。赤崎千夏の歌いわけもなかなか見事である。

7/3 トレモロ

歌唱:マヤ(CV: MAKO)
発表年:2013
作品名:蒼き鋼のアルペジオ

重心の低いドラムのビート。バックでキラキラと鳴るピアノ。そして何よりも圧倒的な物量で鳴り続ける8bitのシンセサイザーが作り出す圧倒的な広がり/開放感は、まさにヒゲドライバーのシグネチャーなサウンドであると言えよう。ごく個人的には「マイティボンジャック」を擦り切れるほど聞いていた高校時代を思い出す。

7/4 笑顔のチカラ

歌唱:羽山ミズキ(cv:後藤麻衣)
発表年:2008
作品名:ef-a tale of melodies.

シャフトの隠れた名作、『ef-a tale of melodies.』から選曲。『ef-a tale of melodies.』は全体的に暗いストーリーで、意味ありげなシャフトの作風も相まって、難解で鬱アニメなんて言われているが、この曲は唯一明るい曲なので印象に残っていた。

7/5 コンセントレイト

歌唱:三船栞子(小泉萌香)
発表年:2021
作品名:ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

それまでの三船栞子の楽曲『決意の光』『翠いカナリア』が彼女のまっすぐさ・強さを描いたようなものであった中で、突如として示された新機軸。ドジっ子的なかわいさを押し出した一曲にずっきゅんされてしまう。特に、円周率のくだりは最高だ……
また、この曲が収録されているアルバム『L!L!L! (Love the Life We Live)』の楽曲は、どれも各メンバーの新しい一面を掘り下げるような意外性のある曲になっていて、とても面白い。ラブライブ!ファンのみならず、キャラソンファンにもぜひおすすめしたい。

7/6 こがねいろハーベストムーン

歌唱:大宮忍(西明日香)
発表年:2015
作品名:ハロー!! きんいろモザイク

リズムのいいスキャットで入る、忍の不思議な収穫祭観が次々に繰り広げられる賑やかな曲。洒落た雰囲気のヴァースの後のサビでは、素敵な世界が素敵なメロディに乗ってやってくる。不思議さとおおらかさ、やさしさとを併せ持つ言葉選びが、忍の感じによくあっている。ススキもウサギも出てくる自由な世界で、何もかもがハーモニーになって響き合う。アリスやみんなも一緒にいるところが自然と浮かんでくる。後半ではサビが畳み掛けてくるのもまたポイント。う〜〜わぁお。

7/7 ゆっこはほんとにバカだなぁ

歌唱:長野原みお(CV.相沢舞)
発表年:2011
作品名:日常

『日常』のツッコミ役の長野原みおから見た、友人の相生祐子(ゆっこ)に関する一曲。このキャラソンで驚かされるのは、みお自身の話が一切登場しない点である。一般的に、キャラソンは自分自身について歌うことが定番だが、本曲ではゆっこの言動や、ゆっこに対するツッコミや感想しか歌われていない。
本曲は、何故キャラソンとして成立しているのだろうか?みお”らしさ”を表現するには、ゆっことの関係が不可欠だったのではないか。ツッコミはボケ無しには成立しないため、曲中で回想されたゆっこに対してみおがツッコミをすることで、ツッコミ役としての特徴を表現できたのでは。
自分らしさは、自己の中だけに存在しておらず、他者との関係の中にも存在することがわかる一曲。

7/8 Take Me Up Higher

歌唱:アンジェ(CV. 今村彩夏)
発表年:2017
作品名:プリンセス・プリンシパル

とにかくクール。キレッキレのピアノとギター、動き回るベースライン。少し緊張感のあるボーカルは強いだけじゃない不安げな表情も見せている気がするけど、このキャラソンにはそれだけではキャラの内面に触れられないという面白さもある。なんたってアンジェは嘘が上手いから。

7/10 恋はみずいろ

歌唱:七咲逢(ゆかな)
発表年:2011
作品名:アマガミSS

「面倒見のよいクールな後輩」、七咲逢の歌うキャラソン。何より、ゆかなの声がいい。心地よく、それでいてコケティッシュで、でもクール。短く区切られてうたわれる歌詞は、飄々とした七咲を表しているかのようで、たまらない。また、一音楽として聴いてみてお非常に完成度が高く、何回もリピートしてしまう魅力がある。

7/11 ベジータ様のお料理地獄

歌唱:堀川亮(ベジータ)
発表年:1991
作品名:ドラゴンボールZ

『ドラゴンボールZ』時代に作られた、ベジータのキャラクターソング。今ならまだしも、当時のベジータは当然料理をするようなキャラクターではなく、なぜこのような楽曲が製作されたのか、実に謎である。
ただ、この作品において、ある種のお遊びの舞台としてキャラソンという媒体が利用されていたことは確かな事実のように思われる。そして、そのお遊びは、単なるキャラクターいじりというだけでなく、音楽的な実験としての意味も帯びているのだ。

7/12 アタシ カワイイ 宣言‼︎

歌唱:姫坂乃愛(鬼頭明里)
発表年:2019
作品名:私に天使が舞い降りた!

ノアちゃんのカワイさアピールソング。それまで自分がカワイイ世界の中心だったものの、みやこ宅に足を踏み入れたら最後その中心には花ちゃんが来てしまう、ということへの動揺があるような気もする。カワイくあることに自信を持ち続けているのはさすがの強さ。強くてカワイイ。最後のらんらんらーんがほんのりさみしげに聞こえるのは気のせいか。

7/13 幻惑のスクリィン

歌唱:谷崎潤一郎(CV.豊永利行)
発表年:2016
作品名:文豪ストレイドッグス

文豪を異能者キャラ化したバトルアニメに登場する谷崎潤一郎による、妹に対する秘めた気持ちを歌ったキャラソン。ご存知の通り、キャラの谷崎潤一郎の元ネタは、小説家の谷崎潤一郎である。小説家の谷崎は、道徳よりも美を追求する耽美派であり、妻の妹との関係が題材の『痴人の愛』からも読み取れる。
アニメ内のキャラも、妹を傷つける人は仲間ですら許さない極度のシスコンとして描かれ、谷崎潤一郎の特徴がキャラクター化されている。キャラソンの中では、自分自身に関するモノローグは穏やかに歌われるものの、妹に対する思いへと内容が変化するにつれて、歌い方も神経質な雰囲気になってゆく。
曲全体でオルタナ系のクランチサウンドが使われており、谷崎が持っているであろう切迫感がよく伝わってくる。

7/14 流星ガーデン

歌唱:青山ブルーマウンテン(CV.早見沙織)
発表年:2019
作品名:ご注文はうさぎですか??

ラビットハウスは夜のバー営業タイム。ギターのカッティングとカットアップが散りばめられたクールな2ステップビートと青山先生(CV.早見沙織)の澄んだボーカルが心地良い。青春を有難がるだけではない、大人の楽しみを教えてくれる曲。
“ゆったり笑い合えば 時間の雫はとろみを増して 艶めくオフタイム そんな贅沢”
“みんなで集まるほど美味しい楽しいって 大人になっても同じですね いつかあの子たちと…そんな計画”

7/15 あの日のままで

歌唱:比良平ちさき(CV: 芽野愛衣)
発表年:2013
作品名:凪のあすから

「凪のあすから」の話中において、比良平ちさきはおふねひきの日の渦潮によって幼馴染たちと引き裂かれ、違う時間を過ごすことになる。汐鹿生が冬眠する5年間、彼女は苦しみ、涙を流しながらも前に進んでいた。そこで冬眠から目覚め5年前の姿のままの幼馴染たちと再開することとなる。
本曲ではこの本編後半での5年間の時間の差に悩み続ける比良平ちさきの心情が静かなピアノやストリングスをバックに綴られていく。
「大人になるって寂しいね 戻れない 戻りたいの わたし」という歌詞は字面を受け取ると陳腐なJ-POPのように聞こえるかもしれない。しかし比良平ちさきがこの歌詞を歌うことで、実際に自分だけが大人になってしまっている状況で5年前の自分との乖離に悩む彼女にしかない辛さを示す力を持つ。
歌唱者の私性によって曲の深みが増す、キャラソンならではの曲と言えるだろう。



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