∮14 浮き足立っている?
とあるBARで
2023年1月の寒い日の夜。
僕は知り合いのおっちゃんとおばちゃんと、とあるBARにいた。
そのBARに行くと、いつもはカウンターに座るのだけれど、その時はもうすでにカウンターがいっぱいだったので、僕たちはテーブル席に座った。
僕とおっちゃんはジントニックを、おばちゃんはモスコミュールを頼んだ。
今日のマスターはいつもとは違うラフな格好をしていて、マスターの別の一面を見たような気がした。
しばらく話していると、僕のブックカフェの話になった。
おっちゃんに、
「最近浮き足立ってるんじゃない?」
と言われた。
もしかして、浮き足立ってる?
確かに、思い当たる節もある。
今いる職場での仕事を3月で辞め、4月から金沢でブックカフェを始めるのだから、そりゃフワフワしてしまうのも当然だと僕は思った。
おっちゃんからは、
「結構背伸びしたよね」
とも言われた。
でも、自分が目指しているところに到達するには、必要な挑戦だと思うし、挑戦していかないと、平行線だとも思っている。
僕の中の挑戦のイメージは、山登りだ。
一歩ずつ登っていくイメージだから、挑戦に対して「背伸び」という表現はしっくりこない。しっくりこないし、「背伸び」をしている意識もなかった。
そして、おっちゃんは続けて
「地に足つけないとね」
と言った。
僕の中での挑戦は、山登りのイメージであるから、「地に足」はついているつもりだった。気持ちはフワフワしていても、「浮き足立」っているつもらいはなかった。
どうしておっちゃんはこんな事を言うのか、僕は不思議に思った。
浮き足立っていたのだろうか?
地に足がついていないのだろうか?
僕は地に足がついているつもりだったけれど、おっちゃんから見たら全くそうではなかった可能性は大いにありうる。
けど、その言葉を発した理由について、おっちゃんが言うことはなかった。
その日のジントニックは苦くて甘かった。
おっちゃんの想い
次の日の夜、僕は中華料理屋で飯を食べながら、僕はおっちゃんが言おうとしていた事を少し考えた。そして、どうやらおっちゃんは、金沢に行った後の4月以降の僕に向けて言ってくれていたのではないかという考えに至った。
これまで、そのおっちゃんは良く僕の面倒を見てくれて、僕が困った時や悩んでいるときにアドバイスをくれたり、相談に乗ってくれたりした。
だけど、そんなおっちゃんは、4月にはもういない。
金沢で新しい仲間や師匠も見つかると思うけれど(どうぞ仲良くしてやってください🙇♂️)、基本的には自分一人の力でやっていかないといけない。
そんな時に、僕が潰れてしまわないように、檄を飛ばしてくれたのかもしれない。ただ単に、楽しそうに準備している僕に何か言いたかっただけなのかもしれない。
おっちゃんの想いが何だったのかは分からないが、記録としてここに残しておこうと思う。何年後かに僕がおっちゃんになった時に、もしかしたらおっちゃんの想いが、分かるようになるかもしれないから。
浮き足立ってる?
ネットで「浮き足立つ」の意味を調べてみると、どうやら2つの意味があるらしい。
期待や不安で地に足がついていない状態。それが浮き足という事みたいだ。
木曜日の中華料理屋には、客は僕一人しかいない。
調理場から聞こえてくるトントントンと野菜を切る包丁の音が、僕の心を不安にさせた。
僕は五目焼きそばをすすりながら考える。
僕は一人でやっていけるのだろうか…。
ではまた次回。
今日のおすすめ
今日のおすすめは、ジョセフ・M・カーリンさんの「カクテルの歴史」です!!
この本は、カクテルの歴史について分かりやすく教えてくれる本です。
アートや観光やファッションとか音楽とかもそうかもしれませんが、そのものの背景とか文脈を知ることで、楽しみが広がると思いますし、好きになるきっかけにもなると思います。僕はこの本を読んでから、お酒に興味を持ち始めました。
お酒について興味が出てきた方や、BARに行ってみたいという方にオススメです!!
35歳くらいの知人に聴いた話によると、知人も20歳くらいの時はお酒は全然好きじゃなかったらいしいのですが、25歳くらいになってからお酒に目醒めたらしいです。今はまだお酒に目醒めていなくても、諦めずに気長に待っていれば、きっと、僕やあなたにも覚醒するチャンスが巡ってはずだと思います!!
楽しみに待ちたいものですね。
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