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シュトーレンに目覚める

もうすぐクリスマスがやってくる。
毎年クリスマスにはケーキを焼くが、シュトーレンを焼いたことはなかった。
そもそもあまり馴染みがなかったし、食べた回数も片手で数えるほどなので何が正解なのかもよくわからない。 

今回それを人に教わって作ることになった。
初めて作るそのレシピにはスパイスが含まれていなかったが、逆に万人受けする味になったし、初めてのシュトーレンにしては及第点に達していたんじゃないだろうか。

だがしかし。
やっぱりスパイスは必要なんじゃないか。
スパイスとしっかりラム酒に漬け込んだドライフルーツこそがシュトーレンたる味を醸し出すんじゃないか?
正解は分からないと言ったけど、たった1日寝かせただけで我慢できず切ったシュトーレンを食べつつ次の試作への熱が止まらない。

シュトーレン熱に浮かされたわたしは何人かのプロの方に指南を頂くこととなった。
(YouTube視聴)
そしてシュトーレンの歴史について調べた。
(ネットサーフィン)

で、分かったことはこんなこと。

そもそもシュトーレンじゃない。
(えっどういうこと)
正しくはドイツ語でシュトレン。 
(シュトーレン違うかったかー)
ただし、ドイツでも中部南部の方言ではシュトーレンというらしい。
(シュトーレンやないか)

シュトーレン、といっても種類はいろいろあって、中身(ナッツやフルーツ)の重量比やら、具の内訳や、作った都市なんかでも区別されるらしい。
由緒正しきシュトーレンってのがあるのかな。
そういえば、YouTubeでみたレシピの中には真ん中にマジパンを入れるものもあったが、それも『マジパンシュトレン』といって(まんま!)ちゃんと名前があるものだった。 

歴史は古く、諸説あるけど500〜700年くらい前に(開きあるな…)原点となる食べ物ができたようで、まあ700年もあればみんな色々アレンジするよねって感じです。
納豆ご飯だってマヨネーズ入れる人やキムチを入れる人もいるもんね。(?)

作ってみて思ったのは、これはパンとクッキーの中間…みたいな感じだなということ。
実際、強力粉と薄力粉を混ぜて作ったわけだが、他の方のレシピでは準強力粉を使ってたり、中種を使ったりしてて、でもパンほど捏ねたりしなくて…まさに中間。
最初はケーキ、みたいな認識だったんだけど、イースト入れて作るからパンみたいだし、けどクッキーぽくもあり、もはやシュトーレンはシュトーレンとしか言えない!

で、謎なのはあの形。
なんですか、あれは。
今回教わった方法は、縦を麺棒の半分、横を2/3ほどの楕円形に伸ばし、真ん中よりやや片側に寄ったところに麺棒でガイドとなる線をつけ、両端を2センチほど折り曲げたあと、ガイドに沿って折りたたむ、というもの。
きっちり半分ではなく、片側の曲げた部分にずれて縁が乗っかってる感じ。

わたしの初シュトーレンは…なんか細長くなってしまった…。 
おまけにちょっとセクシーな反りが入って三日月状になり、なんだかカルツォーネみたいな状態に。 
硬さもあるし、投げたら武器になりそうです。
端的に言うと、不恰好なのだった。
こうなったのは、きっと出来上がりのイメージが頭の中にまとまっていなかったからだ。
作るのに必死で、かつて食べたシュトーレンの断面を思い出すことをしなかった、それが敗因かな、と。 
後から色んな方のシュトーレンの動画をみて、なるほど、次こそ、ナルホディウス…と復習を余念なく行った。  

どうやらあのシュトーレン独特の形(iCloudのマークみたいな…)にはちゃんと意味があるらしい。
ドイツ語でその名前のとおり『坑道』に似てるから、とか赤ちゃんだったイエスを包んだ産着に見立てて、とか諸説あるみたいだけど、なんだかどっちも後付けっぽくないか?

わたしが思うに、わたしのような不器用な人間が、本来半分に折り畳むべきところを面倒臭くなって適当な所で折ってしまったのではないかと。
さらには、この形は何?と聞かれ、苦し紛れにした言い訳から生まれたのではなかろうかと…。
(でも、この時期の贈り物に、と考えたなら坑道よりキリストの産着のほうが断然素敵だよね)

形の作り方も色々あるみたいだけど。

そういえば昔テレビ番組でシュトーレン作り、見たことがあった!
外国のおばあちゃんが、シュトーレンのためにフルーツを一年位前からラム酒に漬け込んでおくのよ、と小さいナイフでドライフルーツをカットしながら語っていた…。
成形のところは全く記憶にないし、シュトーレン作りの番組だったのか、何かのついでにたまたまシュトーレンが出てきたのかも覚えていないけれど。
あれはなんの番組だったのかなぁ。
もう一度見たいなぁ。

にしても、すごい。
なんか、すごく奥が深い。
そういう魔女的な仕業がわたしは好きなのだ。
今回、ラム酒に数日漬け込んだレーズン、オレンジピールそして砕いたアーモンドを入れたのだけど、クランベリーとかフィグとかもいれてみたい!
今年作った砂糖漬けの柚子をいれても美味しいかもしれない。
カルダモンやナツメグもいれて、大人風味に仕立てたい。

まだまだ改善の余地がありすぎて作り方は書けない。
が、何度かチャレンジして納得のいくものが作れるようになった暁にはレシピを紹介してみたいなとも思う。

だが…忘れてはいけないことがある。
シュトーレンといえば長期保存。 
クリスマスまで4週間くらい、毎日薄くカットして少しづつ食べていく…。
その為にカットするときは、まず半分に切る。そこから外側に向かってスライスしてゆき、残りは互いの切り口をぴったり合わせて保存するのがよいみたい。
(いや、端から切ってしまったよ!)
罪悪感半端ないバターの量と砂糖の量こそが1ヶ月はゆうに保存できる理由。
今回作ったシュトーレン、美味しくて4切れ一気に食べちゃったんだよね…へへ。
漫画『作りたい女と食べたい女』2巻14話で、パウンドケーキ風シュトーレンを作るシーンがあり、春日さんがもっと食べたそうにしているシーンがあったけど、その気持ち分かりすぎる…。

つまり、試作と試食を繰り返すほどにその砂糖とバターは自分に溶けて混んでいくわけで…。
キリストどころか悪魔! 
悪魔的な高カロリーフード!

おまけに本格的にやろうと思ったらフルーツの仕込みにも時間を要する。
早く復習したいのに。
や、フルーツの仕込みも楽しそうなんだけど、でもっ!

なんというジレンマ!!
シュトーレン作りの道は険しい。
きっとレシピが完成したとき、わたしは軽くみてもひとまわりはふっくらしていることでしょう。  

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