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ここを越える②

主人は昨日も会社で寝泊まりしていた。
喧嘩始まって、かれこれ1週間?
色んなことあったなぁ。

とか言ってる場合じゃない。

週末は警察にご厄介になったり、月曜の朝礼時には私は感情が高ぶってしまいみんなの前で声を詰まらせてしまった。
その場にもいられなくなり、悔しいことに朝礼中なのに逃げるように外へ。
今までどれだけ大喧嘩しても、社長なんか(˘^˘ )プイッてなっていても、社員さんの前では社長の考えと方向性、こう言う思いがあっての事だと、社長の声を代弁し共有してきた。
その時ばかりは、いつものような言葉が出ず、感情が溢れ出して、情けなかった。
そんなに泣くほどの事じゃないし、仕事場でオンナが泣くって事がどんだけ恥ずかしい事か、私は感動してうるうるする事はあっても、喧嘩の延長線上で感情を出すことはしてこなかったのだ。
それがなんとも情けない。
悔しい。気丈に振舞って、仕事は仕事ですから、と強気で社長へ宣戦布告するつもりだった。

社長と何かあったのかもとは絶対社員さんには知られた。泣き止んで気持ちを切り替えようと鼻をかみ、事務所へ戻った。
「皆さん、すみませんでした!」
頭を下げた。これ以上は誰も何も触れてこなかった。気まずい空気作ってしまったが、年長者の方で今は嘱託社員さんからは掃除の時に、ドンマイというように手で慰めてもらう仕草をしてくれた。
その優しさへもまた泣きそうになるのをグッと堪え、大丈夫です、と精一杯のひと絞りを声にならない声で返した。


辛いのは本人

先日の騒動で主人の父と母の家で一晩お世話になる時、義理母(はは)はそう言っていた。
その言葉が私の中で違和感だった。

苦しかったら家族に頼ればいい
苦しいのを人にぶつけて、人のやっていることや好きな事への批判、普通の主婦はそんな事出来ない、だの、社長の奥さんだから許されてることがある、だの、度を超えた罵りを浴びせられたら、本人が一番つらいから、(私が我慢すればいい)と思えるだろうか、、、。

帰宅してからも静かな家の中で、
私はいろんな人のnoteを見ていた。

そこに、ひとつの言葉が記されていた。

相手が自分のことをどう思っているかを気にする事はない
それは相手の課題なのだから


この言葉で私は、今まで抱えていた、
私へ向けられてたと思っていた数々の言葉の悩みから、一気に解放された。

そっか、
それなら私は考える必要も、思い悩む必要もないんだ。と。

そこからは、今までの悲しみや怒り、どうしてそう思うのか、とか一切頭から抜け飛んだ。
相手の課題、
これなら私が悩んでも仕方ない。

あとは自分のやるべき事を淡々とこなした。
夕飯を作り、いつものようにLINEで夕飯だよー、とぶっきらぼうに入れた。
月曜、既読無し帰宅無し。
火曜、仕事もいつも通りサクッとこなし、そんな中でも社長は変わらず会社にいる。私への言葉は一切ないが、そんな事を私が気にする必要も無い。
私は私のやることだけやればいい。

仕事があって良かった、と思う。
同じく顔を合わせている職場だから生存確認も出来るし、なんとなくの調子も伺える。
社長は今日は珍しく社員さんへいつも以上に話しかけている。

社員さんへの言葉が増えてきたのも、目が悪くなった2年ほど前から会社へ長い時間常駐しなければならない状況から、少しづつ声掛けができるようになっていった。私が言うと偉そうに聞こえるが、朝しか社にいなかった社長が今は一日中会社にいる、という事。
目の病気になる前は、もっと現場へ社長には出て欲しかったし、社員さんを育てるために技術を教えて欲しかった。当時は社長は自分のやりたい事への時間と熱量が本業そっちのけ状態だったので、ヤキモキしていたが、身動きが取れなくなってしまった今では、本業へのアドバイスも社員さんとのコミュニケーションも増え、いつも会話のきっかけを作ってくれている。
そうした流れになってきている事が、私は嬉しかった。
そして、私との喧嘩の最中でも空元気になりながらも社員さんへのツッコミを入れている。
そんな様子を横目で見ながらいい調子❣️と心で唱える。

しかし火曜も既読無し帰宅無し。
月曜は唐揚げ、火曜はトンカツ、揚げ物ばかりだがなるべく好きなものを作っておけば帰ってくるか?と期待した。
さすがに揚げ物連チャンは私も娘ももたれるねとお腹は絶不調だった。

水曜、
今日も何事もなくいつも以上に明るく振舞ってみた。

お互い無言の時間は長かったが、
明日例の話を専務にするから、とボソリ。(例の話、とは、私と会社をやっていけない旨の内容で簡単に言うと、私クビ、、専務の奥さんに会社に入ってもらう、という内容。)
まぁ、それを社長が決めたのなら仕方がないと、あまり深く考えずに、そうでしたか。よろしくお願いします。と社長へ伝える。
社長、「どうせもう専務にはこの間のメール入れたんでしょ」
私「いいえ、入れてません」

メールを私がすでに専務へ送っていたと思っていたのか、一瞬社長の表情が、勘違いだったか?と思ったであろうことが読み取れた。
私の心の声『社長のGoサイン無しで勝手に私が進めるわけないでしょうが!!』
あまり私の事をみくびらないでほしいわ、全く。と私ちょっと得意気。

それからというもの、
緊張の糸がほんの少しほぐれた様子で、社員さんへの会話の節々に、我が家の家族の話を盛り込む社長。

ようやく私への疑い?なのか怒りなのかわからないが、それまでの空気からガラッと変わった折を見て、2人になった時、今日は帰れそうですか?と聞いた。
社長「風呂入りたいから一旦戻る」と。
私「一日に2回は入る○○(下の名前)だから、お風呂にずっと入れないのきっと気持ち悪かったでしょ」と伝えた。

会社での呼び方は社長でも、夫婦の会話は下の名前を使い分けるのが私にとってのスイッチだ。
いい加減へそ曲げてないで戻ってね、の意味も込めて、会社から出る時合わせて私も一緒に出るからと、社長の運転を案じて切り出した。
暗くなってからでも良かったが、少し早めにお前が前走れ、とのGOサイン。

車で先に走ると言うのは、後続の車両が出られるタイミングや、信号の切り替わりで離れないよう気をつけて運転する技術が必要になる

私は心から「はい、喜んで〜💦」と居酒屋店員ばりに返す。

家に戻り夕飯もやっとこさ一緒に食卓を囲めた。
今夜はハンバーグ、
肉ばっかだけど、今日までくらいは彼の好きそうなものでお迎えしようと思った。

色んなことを時間が経つにつれ、
彼自身が余程の恐怖と戦っているのだな、とか、家長だから俺が家を守らなきゃならないのにそれが出来なくなるのを男としての役割を果たせなくなることへのつらさがあるのかもしれないな、とも感じるようになってきた。

私の心境の変化は言葉にもなって現れ、少しづつでもいい、彼の大きな荷物を下ろせる場所を作ってあげられるなら、プライドを傷つけないよう、そっと寄り添っていこうと決めた。

先日からの我が家の
#実は実話 エピソードにおつきあい頂きありがとうございます。
たくさんの方からの励ましや、きっと私へ向けてのメッセージなのかな、と思えるエールが本当に嬉しくて、
有難かったです🙏🙏🙏🥹🥹🥹
皆さんのおかげで、自分の気持ちを綴ってみようと思えました。

#身体の不具合と戦う旦那
#夫婦
#言わなくても伝わる不器用な2人




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