#52 イチジクの選択

牛歩で近づく台風が纏う、微かな低気圧のフェロモンが私をコテンパンにメロメロにしている。もちろん、悪い意味で。

何がサンサンだ、能天気な名前しやがって……と悪態を吐きたくなるほど、身体も気分も重く、ダルい。

しかし、そんな状況下でも良いことはある。

毎朝の散歩中、普段とは違うコースを歩いていたら、地元の農家さんがやっている無人販売機に出会した。

何があるか覗いてみると、ジャガイモやモロヘイヤ、バジルなどがたっぷり入って200円程で売られている。
その中で、イチジクが大量に売られているのを見つけた。こちらも1パック200円。

イチジク大好き。
思わず財布を取り出して手持ちを確認すると、ちょうど現金で200円ピッタリ入っている。

機械にお金を入れて、目星をつけたイチジクのボタンを押すと扉が開く。無事、小ぶりなのが4つ入ったパックを手に入れた。

持ち帰ってイチジクを改めて見てみる。
皮の一部は赤くなりつつあるものの、白っぽいところがやや多いが、表面を軽く押すと少し柔らかさがある。

完熟一歩手前といったところだろうか。

私は毎朝何かしら季節の果物を食べるので、安くこうした果物が手に入ったのはありがたい。
来週は毎朝このイチジクを食べることになるだろう。

生でこのまま食べるのも良いが、赤ワインで煮込むコンポートも捨てがたい。日持ちもする。
これをヨーグルトかバニラアイスに乗せて食えば、もう最高だ。

生で食べるか、赤ワインで煮込むか……
なかなか悩ましい選択だ。

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