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ツマグロ日記


*写真を追加しました。

2019年
黒地にオレンジの筋がある幼虫を玄関先にここ数年見かけるようになった。スミレ科の葉を猛烈に食する以外に害はないらしいので、放置していた。玄関のスミレは自然に生えてきたものだ。平均気温の上昇に伴い、ツマグロヒョウモンは生息地を北上させているらしい。

ある外出時、玄関前の道を通学路にしている二人の少女が帰り道に近寄ってきて、すれ違い様に「ここに黒い‥‥」と話す声が聞こえた。黒い大きな虫がいて気持ち悪い、とでも言ったのかは分からないが、そう思っても不思議ではない。もしかして誰かにやっつけられたことがあったかもしれない。

室内工事のタイミングで、玄関が通路になるため、家族には言わずに幼虫を葉と共に室内に移動する事にした。程なく蛹化と羽化を経、カーテンにとまった成虫を発見した。羽化の過程は見逃した。

蛹化の準備
蛹化  下に脱いだ殻
蛹の金星
羽化してた
羽を伸ばす


バイバイ また来てね



2020年
今年は、蝶が卵を産みつけるのを待っていた。6月下旬に飛来しているのを見たが、幼虫はなかなか現れなかった、のではなく葉の繁みに隠れていた。蛹化直前の幼虫はもう隠れられない大きさになっている。

様々な外敵から守るため、というか偶に見かける蛹の抜け殻に起こった事を目の当たりにしたかったので、育った幼虫達を葉ごと室内に移動した。空箱にラップで蓋をし空気穴をたくさん開け、角に竹串を斜めに刺してぶら下がれるようにした。スミレの葉は食べ切る前に摘んできて足した。

幼虫

後から産み付けられたのかやや小さ目のと合わせて2匹だったが、2日後にはもう2匹いるのを見つけて箱に移動した。

翌日、初日の一匹が蛹化した。場所を探して移動していたが、竹串は使わずに天井のラップにぶら下がっていた。羽化する時、羽を乾かす為にぶら下がっておくそうだ。更に2日後、同時に移動した、後から育った1匹は竹串に蛹化してくれた。

翌日、後釜の1匹が竹串に蛹化しようとして脱皮する際落下したようだ。縫い糸で身を縛らないように巻いてみると、蛹の先端に取っ掛かりがあるようで意外と簡単に下げる事ができた。

最後の1匹が、下がる場所を探してるのか箱の中を物凄い勢いで移動している。何度も竹串を5ミリ前に差し出してみたのだが、夜更けに箱の縁に垂直に貼り付いていた。
翌朝には4つの蛹が揃ったが、この最後の1匹も脱皮の途中で落下していた。これも糸で結えて竹串に吊り下げた。全て違う色の糸で4個体の判別ができた。

9〜10日で羽化した。4匹とも羽化直前まで、天敵から身を守る 蛹ダンスができたので羽化の期待は持てた。1頭目は朝、箱の中で羽を伸ばしていた。充分乾いたのか外に出ようと羽をばたつかせているので、ラップを開けて放出。暫し木の葉に停り、無事外界に戻った。あと3回見るのだなと思っていた。

残りの3頭が羽化したのは、3日後だった。3番目に蛹化した物が先に羽を伸ばしていた。自然界で蛹化していたら落下したまま終わっていただろう、1頭助けた事になるのか。2番目のは羽化の途中で、最後の蛹は背中から赤い液体が出ていた。

数時間後、異変が起きた、2番目は殻から出ているが羽が広がりきらず半分縮んだままだ。羽化の途中と見ていたのは、トラブルの最中だったのか。4番目は一方の羽先が伸びきっていない。羽化不全である。これは手を加えることができない範疇だ。運を天に任せて3頭共、箱を庭の石の上に置いた。

更に数時間後に見ると、箱から3番目が丁度飛び立った。まるで挨拶するのを待ってたかのように見えてしまった。
2番目は縮んだ羽を、飛ぶ気満々で何度もバタつかせている。それはもはや私が自然界で一番目視を苦手とする虫偏にワレだが、蝶だとわかっているから平気、平気。薄めた蜂蜜を綿に浸ませて近づけると乗った。4番目は箱から歩いて出て石の突端に停まっている。これにも蜜を与えた。飛べなくても数日は生きられるらしい。

翌朝、4番目は居なくなっていた、探したがいない、飛んだのだろうか。
2番目は、箱が石から落ちてしまい地面にいる。庭に出て近付いて見ると、日差しが強く当たってきたからか家庭用焼却炉の下の隙間に歩いて入ってしまった。新しく蜜をお飲み、と差し出すと現れて綿に乗った。また後から見ると、半分以下のままの羽を左右に広げて、頭をこちら側に向けてとまっている。オレンジ地に黒い淵取り、深い青色の刺しがあるのを確認した。

オス1頭メス3頭だったようだ。
半月程、様子を見に通った縁側の一角が急に無機的になってしまった。2番目はどうしたろう、飛べないと分かっていたなら取り込んでやる事もできたかと、急に悔やまれもした。

次に卵を産み付けに来た時は、見えない所で蛹化してもらおうと思う。

後から考えると、1番目の羽化後、2番目の蛹の周りの箱に赤い液体が何滴もついていた。羽を広げるために使った体液を排泄するそうだが、1番目が羽化後にお隣さんの竹串にしがみついて放出したものと思っていた。仮にその状況で、2番目が抵抗して体液を放出してしまったとしたら、自分が羽を広げる時に体液が充分になかったと考えられないだろうか。
4番目も羽化前に少し赤い液体が出ていたが、同じ理由で羽が伸びきらなかったのかと考える。

蛹の抜け殻を見ると金星の部分が穴になっていた、ここは成虫の背側か、どの部分に当たるのか気になる。

#ツマグロヒョウモン
#羽化

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