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私の好きなミルクさんの歌 Vol.1

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個人的にいいなあと思ったミルクさんの素敵な歌をまとめておくものです。
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#私の好きな短歌

私の好きなミルクさんの歌 008

今回の歌も夏を意識させるものを選びました。 ・過ぎ去った残り香だから愛おしい上がった後から匂う雨とか ただの出来事描写で終わる短歌はほんとうにたくさんあります。 「奥村晃作」さんの”ただごとうた”などが有名ですが、ミルクさんに言わせれば「短歌ですらない」とのこと。 解釈や心情、心の動きのような繊細な要素まで、まるごと読者に投げすぎているというのです。ただの出来事ならば新聞の記事となんら変わりない、どれだけ31音にのせようともそれ自体がファンタジックになったりノスタルジーを

私の好きなミルクさんの歌 007

前回に引き続き夏を題材にした歌をご紹介したいと思います。 山下達郎さんの「僕の中の少年」に着想を得た歌だとおっしゃっていました。 ・夏休みラジオをばらすときめきに勝てずにいるよ未来の僕は 女性にはなかなか理解し辛い「ラジオをばらすときめき」がキラーフレーズとなっているものですが、多くの少年がくぐってきたであろう成長のトンネルを著す言葉として、音感やリズムも心地よく、流れるように下句へ導かれます。 普段はそこまではやらないけれど、夏休みという特別な期間には普段の尺度を超え

私の好きなミルクさんの歌 006

少し季節はズレてしまいましたが、夏を題材にした歌でも素敵な歌がたくさんあります。 ・君だけの夏舞台だね夕映えに蜜柑花咲く まだ染まらずに うたよみん復帰の最初を飾った爽快な1首です。 夏を取り巻く君と蜜柑畑とそれを見ている私という、ミルクさんお得意の構図からは微かに花の匂いすら感じられそうです。詳しくお伺いすると実は色の対比や存在のスケール感を細かく考えて作られたとのこと、隠されたテーマ探しも楽しくて更に好きになりました。 君だけ ←→ 夏舞台 たった一人の君だけが立