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パフォーマンスビルダー三浦の視点 #8バスケットボール/日本が世界で勝つために ~シュート率を上げるためのパフォーマンスビルディング

バスケットボール男子のW杯すごかったですね!
熱い戦いに熱中された方も多いのではないでしょうか。
スラムダンク愛読者の私も数々の名台詞を思い出しました笑
そして48年ぶりに自力でのオリンピック出場決定ということで、またひとつ来年のパリオリンピックの楽しみも増えましたよね!
今回のW杯でのバスケットボール男子、そして東京2020でのバスケットボール女子日代表を見ていても感じたことですが、男女問わず日本が世界で戦う、そして勝つために私が貢献できることは何かを書きたいと思います。


1. シュート率を上げるためのパフォーマンスビルディング

シュートが入るか入らないかというシンプルな点にフォーカスしてみたいと思います。
特にスリーポイントシュートやゴールから距離のあるジャンプシュートの精度をどれだけあげられるか。
シュートが入れば勝てる確率は上がり、シュートが入らなければ勝つことは難しくなる…。
その点からチームのサポートができるよう考察してみます。
もちろん日本代表選手の皆さんがトップレベルだというのは重々に承知した上で、そしてそのパフォーマンスに心の底から経緯を払った上で、でもそこからもう一歩踏み出して「世界で戦うために」というハッシュタグつきで勝手ながらに考えを述べてみたいと思います。


2. バスケットボールにおける「羽」の活かし方

ではどのようにパフォーマンスビルディングを行うか。
いくつかのステップが考えられます。

<STEP 1/体の連動性を高める>
●今あるシュートフォーム、そしてスクワット等のあらゆる基本的なトレーニング動作において、足の裏、特に小指を使って行うようにする

元々シュート率の高い選手は今の時点でもシュートフォームがとても美しく、体の連動性が高いことがわかります。ただここで大切なのは現状よりレベルアップするための体の連動性づくりで、そのためのキーワードが「足の裏」「足の小指」です。
特に足の小指の機能を活かすことで、足部(足の裏や足首)と股関節の連動性がより高まります。

※得られる効果
(1)足部(足の裏や足首)と股関節の連動性がより高まることで、体幹部の安定性が高くなる、またジャンプ時により素早く一番高いところまでジャンプできるようになる
(2)体幹部の安定性が高まり、いわゆる「体の軸」の精度が向上する

<STEP 2/肩甲帯の強化>
STEP1で体幹部の安定性を高めることと並行して、今度はその上部にある肩甲帯へアプローチします。(肩甲帯:上腕や肩甲骨、鎖骨、胸骨、肋骨周辺の機構のこと)

①    肩甲帯の動きづくり:柔軟性と動きを習得する
・腕は肩甲骨(更に言えば肩甲骨とセットで肋骨・体幹部の機能を考えること)からを一塊のものとして考えるとその機能を引き出すことができる
・バスケットボールのシュートで考えると、より自然な状態でスナップ(手首)を使い、指のかかりを活かすことができるようになる

②    肩甲帯の強度を上げる
・特にここで重要なのは「強度」を考えることで、肩甲骨と肋骨(体幹部)の接続部分がよりしなやかで、「より強く働くこと」が重要
・昨今「肩甲骨」というワードは様々な場面で注目されてきましたが、各種スポーツのパフォーマンスを考えた時にはそこに「強度」が必要になる
・ただ「動きが良い肩甲骨」だけではなく、体幹部との接続が強固であるという両輪が大事
・つまりは全身の繋がり、連動性

※得られる効果
①足から伝わってきた力をより正確にボールに伝えることができるため、ゴールからの距離に応じてボール(シュート)のコントロールがしやすくなる
②    強度があることで、体を上に引き上げてくれる力が強くなるため「跳びたい」と思った瞬間に上に跳べるようになる
③    空中で体を支える力が強くなるため、耐空時間の向上が見込める

このように、肩甲帯由来の全身の連動性を高めることで、人間の体に「羽」のような力を授けることができます。
これがパフォーマンスビルディングにおける重要なポイントであり、バスケットボールにおける羽の活かし方です。
(ちなみにもう少し突っ込んだ話をすると、羽の機能を活かすにはもう一つポイントがあります。それが体の回旋の機能を活かすこと。STEP2と並行してこの視点から体づくりをすることで、羽の力を引き出すことができます。
興味のある方はぜひこちらの記事を!)


3. 男女差を考える

●男子の場合
・元々全身の筋力はバランスよく発達していることが多い
・ただ、フィジカルトレーニングの内容によっては体全身を繋げるような体全体のインナーマッスルよりもアウターの大きな筋肉の方が力を発揮する傾向にあり、ストップしてシュートフォームに入る、跳ぶ、ボールを放つという一連の流れの中で体の軸がぶれやすくなってしまう傾向があることが否めない
・そのためSTEP1のトレーニングを行うことで、より体の内側にある小さな筋肉、体全体を繋げるインナーマッスルに値する部分を引き出せるようになり、より高い、より繊細な制度で体の軸を高めることができる
(アウターの大きな筋肉が不要だと言っているわけではなく、全身を繋ぐインナーマッスルとのバランスを考えることが重要で、インナーマッスル、いわゆる体の軸を正確に使える状態の上に、アウターの強さを考えることがポイント)

●女子の場合
・体の構造的に上半身の筋力は男子に比べて発達していない傾向がある
・まず上半身、そして特にこの肩甲帯の機能を発達させることだけでもボールの飛距離、そのコントロールの幅は大きく変えられる


4. +αでついてくること

このように肩甲帯由来の羽の力を活かした体づくりをすることで4つおまけがついてきます。

①    緩急の精度が向上する
・体の一体感が高まる
・肩甲帯の機能を向上させると、足を挙げる、足を動かす筋肉が自然と働きやすくなる状態になるため、動きたいと思った時に動く、止まりたいと思った時に止まる、というような緩急の幅が広がる
・ドライブやカットインの際に、直線の動きはもちろん、曲線の動きに対する強さや速さも向上させることができる

②    ボールコントロールのしやすさ
・体が本来持っている機能を活かす、特に肩甲帯(手の根っこ)へアプローチし、柔軟性と強さを身に着けることでドリブルはもちろんちょっとしたハンドリングの幅を広げることができる(例えばドリブルの強弱や緩急など)

③    コンタクトに強くなる
大きなフィジカルだけでなく、インナーマッスルありきの強さを身に着けることで世界で戦う上では欠かせない地上戦、空中戦でのあたりの強さを獲得することができる
・体の軸が定まり、コンタクトにも強くなる、この面からも選手のシュートの幅を向上させることが可能

④    疲労をためにくい体をつくる
・実践的な、現実的なことを考えるとここも大きなポイント
・全日本チームの場合は、世界で戦う上では運動量は必須
・高さが不足する分、チーム全員の運動量でカバーする
それを予選ラウンドで何試合か行い、仮に上のトーナメントに進出した場合さらに強い相手と戦うことになるので、疲労をためている場合ではない
・肩甲帯の機能が向上することで、ふくらはぎや太もも(ハムストリングスも大腿部も)の負担が減り疲労をためにくい体へと進化する


5. クライミングからバスケットボールに応用できること

長年クライマーのサポートを行うことで得られたことは、体全身の機能を活かすことの重要性と難しさ、そして利点です。
クライミングはいわゆる「筋肉」的な強さだけで物事は解決しないことが多いです。
それゆえに、「手」の機能を活かすには何をすべきなのか考えた結果が、肩甲帯の機能を活用すること、そして「強度を高め全身との連動性をつくること」でした。実は、この点はまだまだ多くのアスリートが気が付いていない体の特性の一つでもあります。
クライミングとは異なりますが、バスケットボールのシュートの話も「手」の話ですね!

私は様々な競技のサポートを行ってきましたが、そのうちの一つがバスケットボールでした。お仕事として初めて関わった競技でもあります。
クライミングのサポートから得た視点でバスケットボールを見てみると、シュート力の向上に寄与できることに気づきました。


6. おわりに

ここに書いたことは本当に細かいちょっとした変化を生み出すものです。
でも世界で戦うためには、より高いレベルでバスケットボールをするためには、このちょっとした変化の積み重ねがチームとしては大きな力を生み出すものだと考えているため、このようなnoteをしたためました。

決して大きくない日本チームが、世界で戦う。
考えただけでわくわくします。
今回のW杯の結果に至るにあたって、多くの関係者の皆さん、選手の皆さん、そして選手を見守ってきた指導者の皆さん、ご家族の皆さまのご尽力あってのことと思います。
言葉で述べると簡単になってしまいますが、本当に本当にお疲れさまでした!!!
そして全日本チームの益々の発展を祈ってこのnoteを締めたいと思います。
ステキな時間をありがとうございました!






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