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体のトリセツ #4~人間の体幹はバランスボール

こんにちは、パフォーマンスビルダーの三浦千紗子です。
今回の取説ではいわゆる「体幹」についてお話できればと思います。
この10年間で体幹という言葉が専門用語から一般用語になったように感じていますが、体幹に関して私が普段大切にしていることをまとめてみますね。
スポーツを始め様々なパフォーマンス、そして日々快適な生活を送る上でも欠かせないトピックなので、すべての人にも関係があるトピックと言っても過言ではないかもしれません!


1、“人間”の体幹の役割を考える

以前の投稿で私は「手」について、ふかーーーーく考える機会があった(“「手」との出会い、その難しさとこれからの楽しみ“参照)と書きましたが、この「手」の謎を解く中で思ったことがあります。
それは「人間ならではの体の特性を活かしたい」ということです。
と言うのも、人間は進化の過程の中で二足歩行になったことで、人間らしさを確立していったんだなあと学んだからです。

進化の過程


二足歩行になることで
①手を自由に使うことができて、道具を扱うようになった
② 二足歩行になることで咽頭(のど)が下がり、口腔内にスペースが
 できることで言葉を話せるようになった

この2つの進化を得てきたと。
二足歩行になることで、道具を扱い、仲間とコミュニケーションを取りながら生きるようになった、これって人間らしさの象徴だなあと思います。
動物にはできない、人間にしかできないこと。

この事実を知った時に、それならば私たちがふだん使っている体の「人間らしい機能」を活かすことが大切なのではないかと考えたのです。

まずその中でも重要なポイントの一つが体幹です。
“人間”の体幹の役割は「体を支える」こと。

四足歩行から二足歩行になったことで、人間の体の上半身や頭を支える機能が必要になりました。
人間の生活は日々進化し、技術的にも常に新しい世代へと移行していきますが、どれだけ技術が進化しても、過去何千年、何万年の間に人間の体の構成、要は二足歩行で体幹が体を支えているという点は大きく変わっていません。

2、体幹の特性は??

ではその“人間”の体幹の特性にはどんなことがあげられるのでしょうか?
パフォーマンスビルダーの観点では、主に2つのポイントがあります。

①バランスボールのようなイメージ
「人間の体幹にはバランスボールが入っている」と私はよくお伝えしています。ボールの底は人間の骨盤の底の部分、天井は肋骨の下部に位置する横隔膜、背中やお腹をぐるっと囲むようにしてバランスボールが入っているのです。少し機能的なお話をすると、そのボールは4つの筋肉から構成されています。

インナーユニット

ただ、この4つの筋肉たちはひとつひとつが独立して働くのではなく、「インナーユニット」つまり「集団・組織」として、4つの筋肉が協調しあって一つのバランスボールを構成しています。パッチワークのようなイメージですかね!

バランスボール_s

体幹バランスボール2

体幹バランスボール3

このバランスボールはとても機能的で、多方向に動かしても体を支えてくれます。

日常生活で立ったり、座ったりしている時。
野球のバッティングやゴルフのスイングように体を捻るような時。
バレーボールのアタックやサッカーのスローインのように体を反らして縮める時。
ダンスのように激しい動きをする時。
介護の移乗(移動介助)や重い荷物を運ぶ時。

またそのボールは収縮も自在で、常に同じ形で固定されているわけではありません。
呼吸に合わせて常に少しづつ伸縮しているのです。
軽く、小さく常に動きながら、人間のしたい動作に合わせて自在に形を変えてくれる。
それが本来体幹が持っている機能だと私は考えています。

②バウムクーヘンのような構成
さらにそのバランスボールのような体幹は、お菓子のバウムクーヘンのようにいくつかの層になっています。

バームクーヘン_s

バウムクーヘンの一番芯にあたる部分が先程述べたインナーユニット。
そしてその外側、もう一つ外側に筋肉が重なり多層構造になっています。
その多層構造のおかげで、そのバランスボールに「強度」が出るんですね。

つまり、人間の体幹は多層構造のバランスボールで、人間の動きに合わせて変化する柔軟性と動きの強度に負けない強さを併せ持っているという特性があるのです。

3、「体幹を鍛える」の落とし穴

さまざまなスポーツをする際や腰痛に困っている方の中には「体幹を鍛える」という必要性を感じている方もいると思います。雑誌の見出しにもありそうなトピックです。この「鍛える」というワードの扱いが重要だと考えています。
「体幹を鍛える」と聞くと、「バキバキに割れている体幹」をイメージしがちですが、私はそこに一つの矛盾点を感じます。
以前「歌舞伎」の発声の話や、「取説~体は繋がっている」でも書きましたが、体は全て繋がっています。「バキバキに割れている=見た目が硬そう」な体幹もまあ良いのですが(何が良いって見た目が良い笑)、機能的に考えると体幹に必要なのは「バランスボールのような柔軟性」と「強さ」を併せもった体幹なのです。
バランスボールをイメージしてみるとわかりやすいですが、ボールのどこか一カ所をつまんで固めてしまうと、ボールの形はいびつになり、本来持っている均等な丸みや柔軟性が失われてしまいます。
筋肉を硬く鍛えるということは、これと同じ現象を自分で作りだしているのと同じです。それが何か痛みの原因になっていたり、スポーツなどのパフォーマンスを発揮する際に機能的な動きを阻害している原因になっていることが多分に起こっているのです。

見た目ではなく「機能」が必要な人、もしくは「腰痛や何かしらの痛みに困っている人」は、このバランスボール仕様の体幹がお勧めです。


4、おわりに

今回は「体幹」について取り上げてみました。
他の動物にはない人間としての体幹の機能。
人間の体の中心にあるものだからこそとても大切で、重要な役割を果たしていることは間違いありません。
このバランスボール仕様の体幹の機能が具体的にどのように役に立つのか、様々なパフォーマンスの観点から、そして腰痛を始めとした痛みとの関連性をこれから少しづつお話できればと思います。
生まれたての赤ちゃんから少年・成年期、大人になり、還暦を越えても尚、柔らかく、強さのある体幹を機能させて健康に、豊かな時間を過ごせる人が増えたらいいなと考えています。


画像引用:見出し「PIXABAY
     その他「photoAC」「イラストAC

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