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夜の海は波の形が見えない。

"海"という巨大な塊がうごめく。

だから夜の海は少し怖い。


得体の知れない水塊を描くように、音が、波打つ。


<夜は黒い 夜は深い 放送はこれでおしまい>

この歌詞を聴くと、アルバムの終わりが近いんだなと寂しくなる。

『Wether Report』には、放送を想起させる単語が登場する曲がいくつかあった。

『投擲』―カメラ 放送席

『塔(エンパイアステートメント)』―エンパイアステートビルそのものが電波塔だ。

『真夜中』―今日の放送は終了したと そっけない画面のテロップ

『新聞』―おびただしいアンテナ、それは衛星のようなかたちをしている、それは電波のようなかたちをしている

『大陸』側には、きっとそれらがあったのだろう。

黒い波に揺られて、行き先不明瞭の沖へ出航していく。いや、もしかしたら漂流していく。遭難していく。


~0:41 第一波

ギター、マラカス(?)

最初はギターのカッティングだと思ったが、マラカスを強めに振って出る音かな~と思う。(ジャッ!!ってやつ)

ギターの表現力がエグくて、右へ左へ揺れる波と、マラカス(?)音は弾ける白波に聴こえる。


~1:15 第二波

ギター、マラカス、キーボード、ギロ(?)

楽器+2だと思う。

波の表現にキーボードが加わり、第一波の時よりも沖に近づき大きな波に変わった。

「ギーッ」というノイズのような、遠くから聴こえる波のような音はギロではなかろうか?

(打楽器は詳しくないので、ギロみたいな違う楽器かもしれない。)


~1:35 第三波

ギター、ギロ、犬の遠吠え

少し波が荒くなる。

<石炭の臭いで犬が乾く>

<霧のむこうでラッパが鳴り響くのさ>

SEがラッパではなく、犬の遠吠えなのがシュールでPeopleらしい。


~1:57 第四波

ギター、ギロ、キーボード


~2:14(ラスト) 第五…波?

ギロか、砂をサーッてやる楽器(調べたら「オーシャンドラム」という楽器があるらしいです)、ペットボトルのキャップ?を落とす環境音。

第四波で船は遠い沖に出てしまったように思う。

その後ろ姿を見送り、最後はどこにいるんだろう。

波の音はもうせず、砂浜に立っていると言うには乾きすぎている。

最後の落下音が妙に現実的だから、船で沖へ出る夢でも見ていたのかなと解釈する。

砂の音は、夢がさらさらと崩れていく音。

目覚めたら、どこへ行けばいいんだろう。


『大陸』を出航した『船』だが、もしかしたら『大陸』までの曲は全て夢だったのかもしれない。

夢と現実の境目に『脱皮中』。

『脱皮後』に見る世界を現実だと仮定して、用意が出来たら歩き始めなきゃ。

終着点の21曲目にあるものを、求めて。