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謝る必要はあるのかな

3月16日深夜の地震で東北新幹線が脱線しました。

東京から仙台へ向かう下りの「やまびこ223号」で、福島駅を23:21に発車した後、23:31に白石蔵王駅に到着する予定で、白石蔵王駅まであと1km程のところで脱線しています。

やまびこ223号の車輛は「はやぶさ」と「こまち」で使われる車輛で320km/hまで出せますが、やまびことして運転している時は最高時速は275km/hとなっています。

275km/hで走行している場合、1分間に4.5kmも進みます。駅まで1kmのところだったので、スピードもかなり落ちているところだったと思います。

この事故について、昨日のテレビでJR東日本の記者会見が流れていましたが、その会見に非常に違和感を覚えました。

副社長が会見を行っていたのですが「この度は、まことに申し訳ございませんでした」とお詫びをしていました。

これ必要かな。

通常鉄道で、線路や車両の整備不良で脱線といったらそれは大変な事故で、それこそ役員一同頭を下げるのは解りますが、今回の原因は大地震によるものだと明確です。

また乗客にも軽い打撲程度の乗客はいても、大怪我や死者は出ていません。転覆もしていません。
これは偶然ではなく、地震に日頃から備えているからこそできた事なのです。

23:32に1回目の大きな揺れがありました(緊急地震速報も鳴りました)。これを受けて、変電所からの送電は止まり、新幹線も非常ブレーキが自動でかかったはずです。

さらに、中越地震の際に上越新幹線が脱線したことを受けて、JR東日本では脱線防止装置として、L型車両ガイドというものを装備していました。(ちなみに東海道新幹線では、車体真ん中の下に棒のようなものが出ていて、脱線しても棒がレールに引っ掛かって、レールの外に車体が完全に出てしまわない様にしています)

JR東日本のホームページより L型車両ガイド

これによりかなり脱線を持ちこたえる事ができたのです。
鉄道調査官も、脱線箇所の手前に脱線の痕跡は無かったと言っています。
つまり、ほぼ止まってから脱線したのです。
恐らく2回目の大きい地震で脱線したのだと思います。

これってお詫びどころか、むしろ誇ってもいい事だと思います。
「いいですか、本当ならば大事故に繋がっていたところを、我々のたゆまぬ努力と適切な対応のおかげで、軽い脱線で済んだんですよ。大地震の際の脱線は想定内です」と。

さすがにこんな言い方はしないでしょうが。

大地震の際に脱線を完全に防ぐことは困難だそうです。
そりゃそうですよね。ビルが倒れたり電柱が折れたりするような揺れの中で、300km/h近い速度で走っている電車が揺れもしないで停止できるわけがありません。

だからこそ、できるだけ早く減速して、脱線しても対向する新幹線とぶつからない、もしくは側壁を突き破って下に転落する事がないように策を講じているわけです。

まぁ一定数「今回はたまたま死者が出なかったが、もしもっと大きな揺れだったらどうしたんだ」とか文句をつける人はいるので、そういう人向けにお詫びしたのかもしれませんが、少なくとも僕はそんな事を思いませんし「ほら地震でも大した被害は出ませんよ、だから日本の新幹線を買って下さいね」と諸外国にアピールしてもいいぐらいかと思います。

いずれにせよ、早い復旧を願っています。


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