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虹の根もと

今朝会社に行く時に、西の空に虹が出ていました。
山の方は雨か雪が降っていたのでしょう。

僕が小学校低学年の頃、近所に2歳上のガキ大将の光君(ひかちゃん)が住んでいました。
ひかちゃんは時々意地悪をするけど、面倒見が良く、何でも知っていました。

ある日、ひかちゃんと遊んでいると虹が出ていました。
「うわぁ、虹だ」
その虹は、歩いて10分ぐらいのところにある、神社の方に見えていました。
神社は小高いところにあります。

「お前さぁ、虹の根もとって見たことあるか?」と聞かれました。
もちろんありません。「ひかちゃんは見たことあるの?」
「ああ、1回だけな。神社の裏に行った事あるか?」
神社の裏は鬱蒼とした杉林で、柵もあり入る事はできません。
「無いけど・・・」
「神社で遊んでいたら突然雨が降ってきたんだよ。すぐに止んだんだけど、そしたら神社の裏から虹が出てたんだ。虹はすぐ消えるから、急いで林の中に入って探したんだよ。そしたら、薄暗い林の奥の方が光っててさ、近づいたらこれぐらいの」
そう言うとひかちゃんは両手を広げました。
「水たまりがあってさ、そこから虹が出てたんだよ!」

「ええー、虹って水たまりから出るの?」
「そうだよ」
「薄っぺらいんじゃないの?」
「太い木みたいに、丸かったよ」
「触るとどうなるの?」
「光だから、手は突き抜けて向こうに出るよ。きれいだったなぁ」
知らなかったぁ、水たまりからでるのか・・・

それからしばらくは、虹が出ると一生懸命自転車を漕いでいました。
それは、次の年に学校の図書館で天気の本を読んで、虹の仕組みがわかるまで続きました(笑)

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