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お土産屋さんに憧れる

僕は平凡なサラリーマンで、現状にすごく満足しているわけでも無いけど大きな不満も持っていないません。向上心無さすぎだろ、自分。

特に何かなりたい職業があるわけでも無く(子供のころは運転手さんとか○○屋さんとか深く考えずに言っていたけど)、このままいつか定年を迎えるんだろうなぁと漠然と思っています。

特にやりたい事が無い僕ですが、もし神様が現れて、人生を途中から好きなようにやり直させてやろうと言われたら、お土産屋さんをリクエストします。
駅ビルに入っているようなお店では無く、古い神社やお寺や観光地によくあるお土産屋さんです。そう江戸時代から続いているような。

店構えは木造で古めかしく、店の真ん中には饅頭やせんべいのような定番の箱ものお土産が並んでいて、入り口のすぐ横には誰が買うんだ?というような刀の玩具があって、奥の棚には絵葉書やなぜか安っぽい女の子向けのままごとセットや得体のしれないぬいぐるみなんかが置いてあるような、そんなお店。

以下、完全に僕の妄想なので、お土産屋さんをされている方は気を悪くなさらないで下さい、

朝起きると散歩がてらに・・・ま、お寺としておきましょう。お寺へお参り。戻って来る途中で小学校から同じ学校だった、民芸品を扱う同業のヒロシが店の前を掃除していて「今日も暑くなりそうだね」なんて挨拶を交わす。
家に戻ると薄暗い居間で、奥さんと向かい合って朝食。下の子は部活へ、上の子はまだ寝てる。
朝食後は店の周りを掃いて、水を撒いて、店内の商品のチェックと簡単な掃除。
新聞を読んで一服したら開店。シャッターを開けて、店の前に商品を出して行きます。外国人観光客に受けのいい、日の丸と虎と桜のプリントされたTシャツがたくさんかかったハンガーや十手と手裏剣の玩具などです。

隣の漬物屋も開店です。「今晩7時から組合の集まりだからな」「おう、また組合品の値上げの話だろ」なんて会話を交わしつつ一日が始まります。

うだるような暑さの中、人出は上々ですが、数軒向こうのソフトクリームとかき氷を出している店には行列ができているのに、自分の店にはあまりお客さんが来ません。
途中で奥さんと交代でお昼を食べて、やがて夕方。そろそろ店じまいです。今日もあんまりお客さん来なかったねぇなんて言いながら、商品を片付けます。

夜は集まりに参加して、風呂に入ったら就寝。こんな生活を毎日繰り返すのです。子どもたちからはディスにーランドに行きたいだの、USJに行きたいだのと言われますが、店を休むわけにもいかず、そのうちと言いながら春夏秋冬が過ぎて行きます。

なんて生活に何故か憧れるんですよ。お土産屋さんというよりも門前町が好きなだけかも知れない。神社仏閣も好きだし、そういうのがごっちゃになって、憧れになってるのかな。自分でもよくわからないけど。

実際、本当にそんな立場になったら、僕みたいなぐうたらな人間は、もう店は東京資本のチェーン店にでも貸して遊んで暮らそう!なんて考えて、早々に5代続いた店を畳んじゃったりするかと思います。

やっぱり地道に平凡なサラリーマンを続けるのが向いているのかもしれません。


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