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牡蠣地獄

僕は牡蠣が好きです。
以前も書いたように、火を通せば問題無いのですが、生牡蠣を食べるとかなりの率であたります。

牡蠣を好きな人は結構いるかと思います。
牡蠣なら結構食べられるよ!という人もたくさんいるかと思います。
では、50個を優に超える牡蠣を食べられますか?
僕は食べた事があります。
しかも捌いて調理するところから。
あれはもう地獄、そう牡蠣地獄です。

まだうちの子供が小さかった頃、何かの媒体で牡蠣のオーナーになりませんかというのを目にしました。
確か5,000円ぐらいでしたが、元を取るというよりも、子供に経験させてやりたいと思い申し込んでみました。

テレビなどで見たことがある方も多いと思いますが、牡蠣の養殖はロープにホタテ貝の貝殻を挟んで、そこに牡蠣の稚貝を植え付けて大きくしていくのです。

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当日は20組ぐらいの家族が来ていて、説明を受けた後、各組に撚ったロープが渡されました。
5mぐらいはあったでしょうか。二つ折りにしたロープを撚ってあり、その隙間に牡蠣の稚貝を植えたホタテの貝殻を挟んでいくのです。ホタテは6,7枚あったような気がします。
大人がやれば数分の作業ですが、殆どの組は小さい子供連れで、大体子供にやらせていました。
うちの子は思ったよりつまらなさそうでした。

その後何グループかに分かれて、小さな漁船に乗って港の中心に連れて行かれ「ここに今日皆さんが作業したロープを吊るすんですよ。そして半年後には大きくなった牡蠣を収穫します」と説明がありました。
この日はこれでおしまい。

帰りの車の中では「ホタテが7枚でしょ、牡蠣の出来不出来は運任せって言ってたけど、うまくできても牡蠣が7個って事かな。随分高い牡蠣だね」などと話していました。

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さて、秋になった頃、一通のはがきが届きました。
収穫のお知らせです。
うーん、数個の牡蠣を取りに行くのも面倒くさいなぁと思いつつ、折角お金も払ってるし、うちの子は牡蠣が好きだし、自分で牡蠣を獲る事なんて無いだろうからと行く事にしました。

牡蠣を入れる入れ物を持ってきて下さいと書いてあったので、100円ショップで発泡スチロールの入れ物を買いました。
牡蠣なら10個ぐらいは入りそうです。

当日は風が強く、気温も結構低く、コンディションはあまり良くありませんでした。
本当なら、また全員で船で海中に吊るされている牡蠣を見てから収穫の予定でしたが、波が荒いので各組代表1名という事になり、僕が乗りました。

牡蠣棚に着くと、フックのついた棒でスタッフが牡蠣のロープを引き上げていきます。
ロープの先には、組の名前を書いたタグがつけてあるので、どれがどの組のかはわかるようになっています。
それを3グループぐらいに分けて行い、収穫したロープについたままの牡蠣を大きいホースで海水をじゃぶじゃぶかけて、泥やごみを洗い流していきます。
それでも牡蠣は泥まみれで、流通しているものはよっぽどきれいに洗ってから出荷されていることがわかりました。

その後各組にロープごと牡蠣が渡され、各自牡蠣を外して入れ物に入れる作業をする事になりました。
さぁ、そこでびっくりです。
ホタテ貝1枚に牡蠣が一個だと思っていたのですが、ホタテ貝を中心に
牡蠣の上に牡蠣がくっついて、ソフトボールぐらいの大きさの岩のようになっています。
それを借りたドライバーでカンカン外していくと、一枚のホタテ貝から大小10個以上の牡蠣やムール貝、小さなホタテ貝などが取れて、とても持ってきた入れ物には入りません。
結局魚屋さんが使う発泡スチロールの箱を何箱かもらって、その中に入れました。

焼き牡蠣や味噌汁を振舞われたあと、牡蠣の捌き方のレクチャーを受けました。
専用の牡蠣ナイフがあれば、隙間に入れて牡蠣のふたを取る事ができますが、普通の家庭にそんなものは無いので、縄文人もやっていたという、殻の一部を固いもので叩いて穴を開ける方法を教わりました。縄文人は鹿の骨で穴を開けていたそうです。

帰りは遊んで帰る予定でしたが、生牡蠣を車に積んでゆっくりしているわけにもいきません。
それどころか、急いで帰って大量の牡蠣を処理しなくてはなりません。
実家や知り合いに配ろうかとも考えたのですが、処理もしていない泥だらけの殻付き牡蠣をもらっても迷惑だろうなと思い、やめました。

最初は台所で家内と二人並んで牡蠣剥きをしようとしたのですが、狭くてうまくできません。
牡蠣の入った入れ物と、剝いた後の身を入れるボールと、牡蠣殻を入れる入れ物を置くともう場所がありません。
そこで、風呂場と台所に別れて作業する事にしました。

いざ作業を始めると大変です。
牡蠣は前述したように軽く水で流したとはいえ、泥まみれです。
さっきまで海の中にいたので、小さな虫みたいなやつや、ニョロニョロしたやつがいたりするし、教わったように殻をドライバーで叩くと、細かい欠片と泥が天井まで飛び散る始末。

結局、牡蠣以外にもムール貝やホタテ貝を含めて100個以上の貝を処理しました。あたりは一面、泥と牡蠣のかけらです。
時間は18時近くになっていました。
急いで調理しなければ・・・
当初は鍋か汁物で終わりだなと思っていたのですが、それではとても食べきれません。
慌ててネットで牡蠣を使った料理を調べて、
・牡蠣の炊き込みごはん
・牡蠣汁
・牡蠣のグラタン
・焼き牡蠣
・蒸し牡蠣
・適当に炒めたやつ
これらを作りました。

もちろん炊き込みご飯は、ご飯よりも牡蠣が多く、
グラタンは牡蠣の隙間にクリームがあるような感じ、
汁はつぶつぶのブドウが入ったジュースのように、
牡蠣がびっしり入った飲み物となりました。

日持ちもしないだろうからと無理に食べて、食べきれない分は夜食として食べて、まさに牡蠣地獄。
もうしばらく牡蠣はいいやという気持ちになりました。
何事もほどほどがいいですね。

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