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Thin Lines インタビュー

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2014年にtajima hal & TOSHIKI HAYASHIとしてデジタルリリースしたThin Lines。
内容を新たにクラウドファンディングでの10インチレコードプレスを目標に支援者の募集を開始した本プロジェクトについて、tajima hal (以下T)、TOSHIKI HAYASHI (以下H)の二人からストーリーが語られる。

インタビュアー: レジェンド石垣 (以下 L)

・Thin Lines以前にもスプリットEP「8d」やRemixワークなどで親交が深いようですが、まずは二人の出会いについて教えてください。

H: 高校の同級生の紹介で出会いました。高校2年生の頃ですね。
場所は相模川の昭和橋の下あたりかな。
制服姿でさっそうとママチャリで現れた姿がいまだに瞼の裏に焼きついています。
その時はグラフィティを観に行こうって言って集まったと思います。
その後、町田VOXというクラブに遊びにいったりして交流を深めていきました。

T: 自分のところは制服がなかったのでたぶん別の人ですね。
高校は別で住んでるところもちょっと離れてたんですが、スケートボードしたりグラフィティ見に行ったりでよく集まってました。
お互い家の外でDJを始めるのはほぼ同時期だったのでイベントとかも出演するやつはお互いのを見に行ったりしてましたね。

L: そのころにはもうビートメイクは始めてたんですか?

H: 始めていなかったですね

T: 自分もその時はまだ機材は持ってなかったです。DJ機材は先に揃えていてレコードを買ったり家で練習をしていました。


・参加しているBasho, Spycetwoについて

L: 今回二人の他に参加しているbasho, Spycetwoも同じ相模原出身とのことですが、どういったきっかけで出会ったのですか?

T: Bashoさんとの出会いも同時期ですね。
地元の公園でスケボーをやっててそれがきっかけで知り合いました。
その時はDJやってるんだ、くらいの会話で一緒に遊んだりし始めたのはもっと後だったと思います。

H: Bashoさんとの出会いは僕も同じ時期でした。

T: その二年後くらいですかね、遊び始めたのは。
イベントで一緒になる機会も多くなってきて、その頃には二人ともビートは作り始めてたんで作ったビートを聞いてもらったりしてました。
当時作った曲もあるんですがまだ発表はされてないですね (笑)

H:俺その未発表の曲のMIXやった気がするなあ
どこにいってしまったんだろう。

T: 雲の上ですかね…。

L: Spycetwoとも同時期に出会ったんでしょうか?

H: Spycetwoは高校2年生くらいの頃から存在は知っていて、当時からグラフィティとか絵を描いていて相模原では有名でしたね。
僕の通っていた高校の裏に彼のマスターピースがあったりして (笑)
出会ったのもそのくらいの時期だと思います。本厚木のクラブとかで

T: やってることは別だけど当時からめちゃくちゃ活動してて刺激的な存在でしたね。自分の場合は高校の友達が同じ地元で、という流れで紹介してもらった気がします。
4人でなにかをやったりは今までないんですが、同時期に同じ空間にいたりしたのでシンパシーを感じてます。


・Thin Linesについて

L: 2021年版Thin Linesとして内容が新しくなってるとのことですが、どういう風に変わったのですか?

T: まずジャケットをSpycetwoに描いてもらってます。せっかくレコードにするならやっぱり気に入ってるジャケットにしたかったし。オリジナルのジャケは自分が適当に作ってしまったやつなので…。
彼が今のスタイルで絵を描いてることを最近まで知らなくて。パーシーと誰に頼もうかと話してる時に教えてもらって、今回のEPの雰囲気に合いそうだなと思って依頼しました。

H: 2020年に僕がリリースした「FIND YA SELF」の映像を作ってもらって
その縁もあって今回アートワーク、デザインをお願いしました。

T: 今回はビデオもつくってもらってます。躍動感があってEPのビートにさらに動きを与えるような感じがあってすごいんですよ。
オリジナルが電車のジャケットで、ビデオにもその要素が入ってて、7年の時を経てアップデートされた感じがあって気に入ってます。

L: bashoはどういうったきっかけで参加したのですか?

H: Bashoさんに参加してもらったキッカケなんだろ?
ビートテープの中に一曲ラップ入ってるのカッコいいな〜と思ってオファーしたのかも。

T: 当時自分はドイツのベルリンに住んでて、急にbashoさんのラップが乗っかった曲が送られてきてあがりましたね。

H:当時のは録音環境悪かったのでせっかくだし再録音してもらいました。

T: リリックの内容も少し変わっていてバッチリ2021年度版に仕上がってます。
あとは当時のアンリリースドの曲が2曲追加されてますね。

H:今では作れない感じのビートだね。


L: ずばり、Thin Linesのテーマはなんですか?

H: 日本とドイツでつながった細いインターネットの線を通じて作ったビート。どこにいても曲は作れるということを伝えたいです。

T: 新世代のboombapですかね。お互い90年代のHIPHOPが好きだし、その時ヨーロッパのboombapをよく聞いていて。ドラムはオールドスクールみたくざらついて荒々しいんだけど、その上にエモーショナルなサンプルのループを乗っけたり、繊細さが同居しているビートも多くて。ヨーロッパ流のboombapの解釈が新鮮でそういうものに影響を受けて作りました。


・クラウドファンディングについて

L: 今回クラウドファンディングを採用したのはなぜですか?

T: 周りのアーティストがクラウドファンディングをやっているのを見ていて興味があったんです。
プレスまでの過程でリスナーが参加するような雰囲気があってこれは新しいなと思いました。
今回は目標枚数を100枚に設定してるんですが、このdigger's factoryは残りの枚数をリアルタイムでカウントしてくれて、誰が予約してくれたかも分かるんです。ユーザーネームまでしか分からないんですけど。みんなで同じ目標に向かっていく感じが面白いですね。

H: ファンの人たちがあっての僕たちなので協力してくれている方々には感謝でいっぱいです。
みんなで目標を達成するというのは今までやったことないので楽しんでいます。

T: レコードを作るのってものすごくお金がかかって今までレーベルとかを通さないとハードルが高かったんですが、それを個人でできる時代になってきた。
スピード感もあるしみんなの反応をリリース前に知ることができるのでまた違うアプローチができます。
金銭的な面で世にフィジカルとして出てない良い音楽もたくさんあると思うので、これからクラウドファンディングを使う人も増えていくんじゃないですかね。
いままでクラウドファンディングは使ったことなかったんですが、今回使ってみて今後色んなアイデアを試せるんじゃないかと思いました。

H: 確かに、自分達でレコード をリリーするって結構難しいよね。コストも高いし。

L: 僕もお気に入りのアルバムがSpotifyにしかなくてレコードで欲しいなと思う時はたまにあるので、こういうサービスで本当に欲しいっていう人たちの手に渡るのは良いと思いますね。

・レコードの魅力
L: 最近レコード関連の良いニュースを見ることも増えてきましたがレコードの良さはなんですか?

T: 音も好きだし、音楽を探すって面では一番好きです。中古レコード屋の大海から気に入った一枚を探し当てるのは最高です。
あとは存在感が好きですね。このサイズ感だからこそ際立つアートワークもあるし部屋にあるとテンションが上がるアイテムです。

H:レコードは大きいので飾ってもいいし、聴いてもいいし楽しみ方が沢山あると思います。
欲しいレコードを探すのも楽しみの一つですね。

T: 裏ジャケの情報もやたら見ちゃうよね。昔のレコードのジャケからインスピレーション湧いたりもあるし愛おしい存在ですね。


・ビートメイクについて

L: それではビートメイクについて迫っていきたいと思います。制作は何を使ってやっていますか?

H: ABLETON LIVE 10です。

T: 自分も同じです。他にはSP-303とかAKAIのラックサンプラーをたまに使ったりしています。
もともとMPC2000を使っていてパーシーも同じものを使っていて。そのあとにパーシーがLIVEを導入したっていうんで使い方とか見せてもらっていいなと思って使い始めました。

H:僕もハードのサンプラーは持っていますけど、サンプリングしたものをパソコンの中に録り貯めておいてそこから使っています。

T: 今ではMPCだけで作るのはあんまりないけどそこから学んだことは大きいよね。ドラムをレイヤーしたりだとかスウィング機能だったりとか。

L: 二人ともハードのサンプラーからビートメイクを始めたということですが、ABELETON LIVEをメインで使っている理由はなんですか。

H:サンプリングもおり混ぜながら作るとなるとハードだけでは時間がかかってしまうのでLIVEを使うようになりました。

L: 織り交ぜながらというのはシンセサイザーを弾いたりとかですか?

H: ソフトシンセを使いMIDIでBASSを打ち込んだりすることが多いですね。
UADSOUND TOYSのプラグインもかなりの頻度でついかいます。

T: 自分は素早く作業ができるっていうのもあるんですが、コンプレッサーとかEQをすぐに試したりできるっていうところが大きいですね。
MPC2000だとローパスフィルターしかなくて、低域を削るとかそういうことができないんでLIVEだと音一つ一つにエフェクトを試しながらできるので自分の理想の音に近づけやすいところが好きです。
あとは、Warpっていう機能があってサンプルをめちゃくちゃな形にもできるので、有名なサンプルネタでもめちゃくちゃにすれば全く新しくなるなと思って使っています。
慣れてる人はたぶんMPCだけでもめちゃくちゃ早く作業できるよね。ディスプレイ無しでも扱える人はいると思う (笑)

L: Thin LinesもLIVEメインで作られたということですか?ドラムの音が気持ちよく汚れていて(荒くなっていて)印象的でした。音を汚すことはよくやりますか?

T: MPCの場合、音をオーバードライブ気味に突っ込んだり、レコードを45回転でサンプリングしてMPCでピッチを落としたり往年のサンプラー技がありますよね。
テープシュミレーターのプラグインをつかったり、いい感じにダーティーなドラムにするとドラムの存在感が強くなっていい感じになりますね。

H:90年代のHIPHOP作りたいなら汚すのもありだと思います。
ただやり過ぎるとよくなくなっちゃうことが多いですね。

T: みんな秘密の技みたいのがあると思いますよ。ハードの方が秘密の技感があっていいですね。自分はPCだけで完結はあまりないので色付けとしてなんかしらのハードの音は通してます。

L: では最後にメッセージをお願いします。

T: 過去の作品ですが自分自身レコードを手にするのがめちゃくちゃ楽しみです。このアートワークも実際のレコードで見れると思うとかなり高まってます。
100枚限定一回きりなのでご支援お願いします!

H: POWPOW!

L: ありがとうございました。

クラウドファンディングはこちら

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about diggers factory

今回のプロジェクトはdiggers factoryというアメリカのクラウドファンディング形式でレコードプレスの代行をしている会社の元で進めます。
アナログレコードの再興などと言われている近年、ストリーミング最盛期のなか世代を越えてレコードの価値が見直されているものの、コストの問題からまだまだ個人が気軽にレコードプレスできる状況ではありません。
一つのハードルとなって良い面もあると考えますが、確実に作品を残しておきたいと考えるとレコードを選びます。無数の曲へストリーミングを通じて誰でもアクセスできる時代ですが、ある日突然聴けなくなってしまうなんてことも起こり得るし、20年後変わらず配信されているかも分からない。そう言った意味でレコードは音楽を保存するのに最高なメディアです。 (捨てられない限りは中古市場の大海を彷徨い、いつか誰かの手に渡る可能性だってある)
自分たちを含めてアーティストは作品をフィジカル(手に取れる物)として世に出す時に楽曲以外のアートワーク、デザインにもこだわりを持って挑んでいます。それは作品のイメージを伝える物でもあり、リスナーとアーティストのコミュニケーションの手段の一つだからです。ジャケ買いなんて言葉がありますが、あなたの体験の中にもジャケットが無ければ出会わなかった音楽もあるはずです。

部屋に飾ってもらうのもいいし、友人が来た時にランダムに流すレコードのうちの一枚であっても良いです。重くて場所もとるレコードですが、モノとして身近にある音楽を体験してもらいたい(レコードジャンキーにはコレクションの一部に加えてもらいたい)という想いからクラウドファウンディングでレコードプレスの購入者を募ります。
今回は100枚プレスを目標に予約をDigger's Factoryのウェブサイト上で募ります。30日間の期限が設定されており、それまでに目標に達さなかった場合は失敗となりレコードはプレスされません。

※プロジェクトが成功しなかった場合は返金されますのでご安心ください。
※プロジェクト成功後の手売り、通販はありません。
※不明点、質問はこちらのemailまでお願いします。
percentceeee@gmail.com


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