461個のおべんとう を観て昔のことを少し思い出した

こんにちは。
12月に入ってから気温が一気に下がって、寒くてあんまり動けなくなってきている。
今日も朝起きてから4〜5時間布団の中でもぞもぞしてた。
やっぱり冬眠するしかない。

先日休みの日にぬくぬくゆっくり映画を観ました。
「461個のおべんとう」


追記 ※記事の前半は主に映画の感想ですが、後半は私の個人的な話になっています。

公開は2020年の秋。

あらすじ。

メインの二人はミュージシャンの鈴本一樹(井ノ原快彦)と、その息子の虹輝(コウキ)(道枝駿佑)。一樹が妻と離婚したことで一樹とコウキの二人暮らしが始まる。
色々と環境の変化がある中、コウキは高校受験に失敗してしまう。
翌年再挑戦し、合格。高校へ通い始める。
一樹パパが、コウキくんにおべんとうを3年間作り続けると約束し、コウキくんも一樹パパに3年間休まず高校に通い続けることを約束する。
パパも息子も色々あるけどおべんとうが二人(とその周りの人達)の心を繋ぐというようなストーリー、だと思う。

ひとつ間違いなく言えるのは、空腹時に観てはいけない映画だということ。
どのお弁当もほんとうに美味しそう!
弁当箱という決められたサイズの箱の中に、色合いや栄養バランスが考えられた様々なおかず達が隙間なく詰められているおべんとうって本当に芸術品だと思う。

イノッチパパの手際がすごく良くて見惚れてしまった。
楽しそうに料理してる姿が良かった。
冷蔵庫、冷凍庫の中が綺麗に整理されてて尊敬した。

美しいおべんとうが画面に映しだされる度に、今の自分の不真面目な食生活を恥じたりもした。
限界弁当がしばらくの間続いていて、味とか見た目とか栄養は全く気にせずとりあえずお腹に何か食物が入ればいいみたいな感じだった。
今月からは仕事がぼちぼち落ち着くので、また料理らしい料理を再開したい。
今は野菜を山ほど食べたい。大量にみじん切りしたい。

冬の料理のちょっと気が乗らないところは、水道の水がとにかく冷たいのと、換気扇の下の冷気が凄まじいこと。
逆に好きなところは、出来上がった作り置き用の料理の粗熱が速攻とれるので、直ぐに冷蔵庫に入れられるところ。あと、食品が長持ちするところ。生ごみの処理が多少甘くても臭いが夏ほど気にならないところ。


映画本編の話にまた戻ります。
道枝くん演じる息子のコウキ君は、一年遅れて高校に入学しているので他のクラスメイト達はみな年下ということになる。
最初の頃は年下の同級生たちから変に気を遣われて冷やかされたり、コウキ君自体もそれほど社交的なタイプでないことも合わさって、クラスに馴染めていなかった。

「弁当」「高校」「クラスに馴染めていない主人公」
この3つが揃った時、私にはどうしたって思い出してしまう高校時代のエピソードがある。
どこにも、誰にも話していないけれど、私の頭の中に確かにこびりついている。
いつまでも記憶の片隅に陣取っているのが気に食わないのでここで昇華してしまいたい。忘れるにも忘れられず、ふわふわと漂っている記憶を成仏させて欲しい。
暗い話なので楽しい気分になりたい方、興味の無い方はここでそっと記事を閉じてほしい。ここまでありがとうございます。                                                                                            
気になるよという方は話半分で聞いてください。一緒にお茶でも飲む?あ、冷蔵庫に梨あるよ。



たかだか二十○年しか生きていませんが、今までの人生で一番辛かった時期というのが高校生の時でした。
正確には辛いというのとは少し違って、ただ感情を失くして時が過ぎ去るのを待つみたいな期間だった。
学校に行くのは「作業」で、ただ淡々と通っていた。
友人はいないし、教師陣のことも覚えていない。担任の名前も担当教科ももう忘れた。
学校の中で自分の存在が許されている場所というのが教室の自分の席だけだった。

学校に意味もなく通っているので、当時の私は当然勉強に対しても無気力で、成績は下の方だった。赤点にならなければそれでいい、くらいのモチベーションだった。
ある日、午後からの授業で小テストと呼ぶには少し似つかわしくない、中テストくらいのテストがあった。
もちろんちゃんと勉強していないので、昼休みにお弁当を食べながら最後の見直しでもするかと思っていた。
自分の席で、机の上部2/3くらいに教科書やノートを広げ、下1/3くらいのスペースにお弁当をひろげた。
弁当箱の蓋を開けると、私が比較的好きなおかずが入っていた。
テストで気が滅入っていたので少し嬉しかった。

私の前の席はクラスのカースト上位の女子の席だった。もちろん話したことは無いし話すつもりもない。
その前の席の女子を訪ねて、その女子の友人たちがクラスにやってきた。
前の席の女子は「あ!◯◯!待ってたよ〜!!」とその友人たちによく通る声で返事をして、勢いよく椅子をひいて立ち上がった。
「ガンッ!!」
という音をたてて彼女の椅子の背が私の机に当たり、その衝撃で私のお弁当は床に落ちた。まだ数口しか食べていなかったし、好きなおかずは手付かずだった。
状況の理解は遅れてやってきて、床に散らばったお弁当の中身をしばらく見つめることしかできなかった。
前の席の彼女はすぐにその友人たちの元へ駆けていったので、私のお弁当には気づいていない。
周りの席にも人がいたが、誰も声をあげる人はいなかった。
お弁当が落ちた人に対して「大丈夫?」って声をかける訳にもいかないと思うから、それはそうだと思う。

早く拾わなきゃ と思った。
袋にお弁当の中身を拾い集めてゴミ箱に捨てた。

お腹すいたな。
あ、パン、まだあるかな と思って昼休み開始数分前に出張販売でパンを売りにくるおばさんのところに行ってみた。
昼休みに入ってある程度時間が経っていたせいで売り切れてしまったのか、もう撤収されていた。
となると残り20分くらいのこの昼休みのうちに食料を確保することはできなくなった。
(学校から一番近いコンビニには昼休みの間に行くことは禁止されていたし、時間的に無理だった)
かばんの中を漁ってみたけど飴玉ひとつなかった。

昼ご飯を食べることは諦めた。
さっき起こった出来事でお腹がいっぱいになったのか、そんなにお腹が空いている感じもしなかった。

友人がいたら、誰かに頼る選択肢もあったのかもしれないけれど、当時の私はそのカードを持ち合わせていなかった。当然の報いだ。

そして昼休みが終わって、テストが始まったものの、結局昼休みも勉強できず、心ここにあらずという感じで結果は赤点だった。
まあそうだろうなという感じだった。


学校が終わって家に帰って、夜ご飯を食べた。
この日の夕飯は特別なものではなかったけれどすごく美味しかった。

お風呂に浸かっていると、気を張っていた心もほぐれて今日一日の出来事が全部降りかかってきて涙が出てきた。
悔しさと悲しさとやるせなさでわんわん声を上げて泣いてしまったけど、家族が心配して様子を見に来ても困るのでシャワーをじゃんじゃん流して声を消した。
その日は疲れて早く寝た。

その後も私は高校に通い続けた。休んでもよかったけれど、休むことはなかった。


社会人になった今の私は、毎日色々あるけど楽しく生きてる。
今がいちばん楽しい。
毎日自分でお弁当を作って、職場に行ってる。
大人になると責任はそりゃ増すし、良い行いも悪い行いも全部自分のもとに返ってくるけど、大人になって社会に出られてよかったなと心底思う。
自分次第で、社会の中で自分が居ていい場所 を好きなように持つことができる。
誰かと一緒にお昼ご飯を食べてもいいし、一人で食べたっていい。
一人で食べても美味しいお弁当は変わらず美味しい。

映画の中のコウキ君はパパの作るお弁当がきっかけで、友達ができる。
コウキ君は私と違って捻くれてない素直なところがいい。


今度実家に帰った時は、色々料理したり、色々家のことをしてあげたいな。
老いてすっかり食が細くなってしまった人もいるけど、みんなで一緒にご飯食べたい。

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