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読書合宿「ボタニカ」朝井まかて

こんにちは。

読書合宿

先日、市内のホテルに【読書合宿】と称して本を読むために一泊してきた。
どうしても読みたい本がある時、頻度でいうと一年に一回くらいこういうことをしてる。
学生時代は比較的本を読む方の集団に属していたと思うけれど、社会人になってからはすっかり趣味の本は読まなくなってしまっている。それこそ、一年に2〜3冊くらい。

散らかった家の中、溜まった洗濯物、冷蔵庫の奥の方に追いやられている萎びた野菜たち、仕事関係の目を通さないといけない書類、読みたい漫画の最新刊、そういった目の前のものをぜーーーーんぶ一旦忘れるためにホテルに泊まる。

毎日数ページずつ本を読み進めるといったことがどうにも苦手で、決まって夜を徹して一気に読んでしまう、読んでしまいたいのだというわたしの性質もあるかもしれないね。

読書合宿の時はチェックイン開始時刻の15時めがけてホテルに入るようにする。
部屋に荷物を置いて持ってきたお気に入りのお茶など飲みながら、最初はまったり読み始める。
久しぶりの読書らしい読書だったこともあって、文字が情報として全く頭に入ってこないし情景のイメージも湧いてこない。
そんな時は音読するといい。自然と文字を追うスピードが黙読するよりゆっくりになって、音としても情報が脳に入ってくるから自然と集中できる。
1、2ページ読んでしまえば、もう音読なんてしていられなくって、黙読でスピードをあげて物語を進めていく。
その状態になってしまえばもうこっちのもんよ。

気がついたら3時間くらい経っていた。
そんなにお腹が空いてないのもあるし、早めにお風呂いこうか。
ここは温泉どころで恵まれているので、温泉街の中の宿でなかったとしてもそこら辺の銭湯が温泉のところも多い。
ぼーっと湯に浸かりながらさきほどまで読んでいた本の内容について考えたりする。

…ことが多いのだけれど、今日泊まったホテルの温泉は考え事をするにはあまりにも熱すぎた。ほんとに熱かった。
浴槽に足を踏み入れた人の「あっっっっつ!!」という声があちこちから聞こえてくる。
ママと一緒に入りにきた子ども、熱すぎて泣いちゃった。
あつかったね、びっくりしたね。

お風呂からあがるといつもならビールをごくごくいきたいところだけど、今日は我慢我慢。お酒をのんだらすぐに寝てしまうから。
今夜は寝落ちなんかしていられない。

さくっと夕飯も済ませてまた読書の続きをする。

ベッドの上に寝転んだり、壁にもたれたり、椅子に座ったり、ラウンジなんかが充実しているところであれば一度部屋から出てそこで読んだりする。
途中集中力が少し切れてきたので、またあのあっっっっついお湯に浸かりにいって気合いを入れ直し、読書に戻る。
そうして読書合宿の時は真夜中にお風呂に入ることも多いので、夜通し大浴場に入ることのできるホテルを選ぶのがだいじ。

そうしてついに読み終えた。

もう空も明るくなっていい時間。
朝風呂に行って、朝ごはんをゆっくり食べた。

いい時間だった。
本も読めたし、お風呂も何度も入ったし、いっぱい朝ごはん食べた。
まん、まん、まんぞく!一泊満足!!


「ボタニカ」 朝井まかて

お待たせしました。
ここからは読んだ感想です。

なぜ私がこの本をこのタイミングで読みたかったのかというと、来月より放送予定のNHK朝ドラ「らんまん」がこの本の主人公、植物学者の牧野富太郎(高知県出身)をモデルにした作品だから。
朝井まかてさんの作品を一度読みたいなあと思っていたこともある。

私は高知県に縁もゆかりもないですし植物に関することにもさほど明るくなく、失礼ながら「らんまん」制作決定の話が世に出るまで牧野富太郎というお名前も功績も存じ上げませんでした。
彼の半生をテーマにした作品を半年間追い続けるならば、彼のことを知っておきたいと思ったのです。
あ、私は朝ドラや大河ドラマ、毎作品欠かさず観ているわけでは全くないのですが、今回主演をつとめる神木くんのファンなのでとても意欲的です。

(以下ネタバレを含みます)

植物学者としての牧野富太郎

とにかく植物が大好き。愛がすごい。情熱。探究心。こだわり。
日本全国(ときには世界も)を駆けずり回ってとてつもない数の植物標本を作ったこと、この人にしかきっとできなかったと思う。
彼の熱意に胸打たれ、いろんな人たちが集まってくる。
彼が描いた植物絵を是非見てみたいと思いました。
そして長生きして多くのものを後世に残してくれてありがとう。

ひとりの人間としての牧野富太郎

なんでいうのかな、本当に植物以外のことには興味がなくて、家や家族が大変なことになっている状況でもひとたび興味が植物に向けばもう他のこと全てがどうでもよくなってしまうような、そんな人なのかな。
逆に言うとそういう人だから、偉業を成し遂げられたのかも。
奥さんと子どもたち、富太郎に支援した人、本当に苦労なさったのでしょう…
足向けてなんか寝られない。

奥さんは二人いて一人目が猶(なお)さん、二人目が壽衛(スエ)さんだけど、ドラマだと猶さん出てこない感じなのかな?
猶さんすごくかっこよかった。
タイプの全く違う立派な奥さんが二人いたおかげで、富太郎はここまでの植物学者になれたのだと思った。


ぱっと見けっこうページ数が多くて読み切れるか不安だったけれど、全体通してとっても読みやすい小説で良かった。
植物を前にした時の、富太郎のいきいきとした姿が文字から容易に感じ取れるような表現が素敵だった。


「ボタニカ」で出てくるのはあくまで朝井まかてさんの解釈による牧野富太郎像なので、ドラマでは神木くんがどんな風に演じてくれるのか楽しみです。
神木くん×植物といえば、私のなかでは風のガーデンが思い出されるね。

朝ドラと大河を最後まで見届けるのは本当に気合いのいることなので、気がゆるんできたらまたあのあっっっっっつい風呂に入って締め直そう。

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