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エイハブの六分儀-西香織

【今月の星空案内】
 
すっかり真夏の暑さになってきましたね。体調は崩していませんか?
 
7月21日(日)の満月は、ネイティブアメリカン発祥の「バックムーン」。バックというのが牡鹿、生え変わった牡鹿の角が成長する時期の満月という意味だそうです。
冬に比べると南の空の低めの位置を通過していきます。
7月31日(水)未明に、月は火星と木星ならびます。細い月と木星が最接近しますので、明け方が楽しみです。

そろそろ、うしかい座おとめ座が西へ傾いてきました。うしかい座のアルクトゥールスとおとめ座のスピカ春の夫婦星が仲良くゆっくりと西へと歩んでいく様子を見ると、昔の人々がどのように二つの星を見上げていたのかその気持ちがわかるようです。
ハワイでは、アルクトゥールスはホクレア、幸せの星を意味します。あたたかみのある琥珀色の輝きは、私たちの幸せを見守ってくれているようです。

そして、いよいよ昇ってきたこと座ベガわし座アルタイル、そしてはくちょう座デネブでできる長細い三角が夏の大三角ですね。そのベガが織り姫星でアルタイルが彦星、そう、七夕の星です。二人の間を夏の天の川が流れています。
天の川を南下してその先の南の低い空には、カーブが魅力的な星のカーブが見えてくるでしょう。さそり座も見ごろを迎えようとしています。さそり座のアンタレスは、別名コル・スコーピオ、さそりの心臓の星です。

さて、さそり座が主役になる直前のこの時期だけのお楽しみ。青い龍を星空に捕まえましょうか。東方青龍、古代中国で生まれた四神の一つで、東方を守護する神獣は力強さと成長を象徴する存在です。

青龍は、中国神話や風水においてとても重要で、その姿はしばしば中国の寺院や建物の装飾にも見られます。東方の守護神として、平和と繁栄をもたらすと信じられています。

月の通り道、白道付近に描かれた古代中国の二十八宿(にじゅうはっしゅく)のうちの7つの星宿を結んで描かれています。
おとめ座スピカ角宿(かくしゅく)と呼ばれ、新しい始まりや生産を象徴し、青龍の角となる星宿です。
もう一方の角は、うしかい座のアルクトゥールス大角です。おとめ座の足元のあたりに位置する亢宿(こうしゅく)は、青龍の首に相当する星宿。
進展や拡大を象徴します。
安定や基盤を表す氐宿(ていしゅく)は、青龍の胸に位置する星宿。
房宿(ぼうしゅく)は、青龍の腹に位置する星宿で繁栄や成長を象徴します。
赤いアンタレスと両隣の二つの星で心宿(しんしゅく)、青龍のやはり心臓に位置し感情や直感を象徴します。
尾宿(びしゅく)とは、青龍の尾に位置する星宿で、完成や結論を象徴。
箕宿(きしゅく)が、青龍の尾の先に位置する星宿で、分散や収穫を象徴します。

東方青龍とその星宿は、中国の伝統文化、神話、占星術において非常に重要な役割を果たしているのだそうです。空いっぱいに広がる大きな星の龍をたどり、アジア全体、そして世界中の安定と平和を願いたいと思います。

今年も酷暑になりそうですね。水分をしっかりとってくれぐれも体調には気を付けてお過ごしください。楽しい夏を過ごされますように…。

西 香織
コスモプラネタリウム渋谷「星を詠む和みの解説員」。幼い頃からプラネタリウムに通う。宇宙メルマガTHEVOYAGE 「エイハブの六分儀」で毎月の星空案内を担当。そそっかしく、公私ともに自分で掘った穴に自分でハマり(ついでに周囲の人も巻き込んで)大騒ぎしながらも、地球だからこそ楽しめる眺めを満喫する日々。
コスモプラネタリウム渋谷 https://shibu-cul.jp/planetarium


 

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