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太陽の空より vol.4 河村聡人

連載タイトルの「太陽の空」を迫ってきて、太陽の大気までたどり着きました。 太陽から見上げたら、そして太陽表面にある黒点から見上げたら、その空はどの様なものなのか?というのが今回への宿題でした。

この写真は今から約10年前、僕が京都に移ってきて最初に真面目に解析した黒点12192のコロナを写しています。
ちょうどフレア(増光現象、一般向けには太陽爆発とも)を起こしているタイミングで、明るく光っています。 光っているのは何か塊というよりは線のようなものです。まるでネオンサインの束のような光り方をしています。
この線一本一本は太陽表面にあるN極とS極を結ぶ磁力線をなぞっていて、強く光っている線と暗い線とが混在し ています。

こちらはその磁力線を数理モデルにより再現したものです。
光球面の磁場のN極(赤、+)からS極(青、-)へ磁力線が伸びています。このような絵は10年前にも描けてはいたのですが、それを多方向的に、マウスでグリグリ 動かしながら見たり、光球から見上げたりするのは難しかったです。あくまで頭の中だけで眺めるだけでした。

この磁場をVR空間にて表現しようと5年以上前からトライはしていたのですが、自分の技術が足りず何度も断念していました。ですがこの1年でVRについての自分の知識が深まったのと、ChatGPTに慣れてきたおかげでようやく黒点の磁場をVR空間で下から眺めることに成功しました。
まだ光っている磁力線と暗い磁力線の描き分けは出来てませんので、(極紫外線で見る)実際の空には遠いですが、一歩近づけました。
clusterで体験できます。


と、ちょっと寄り道にそれてしまった感もありますが、太陽の大気を下から眺めたらどうなるかというお話でした。
じゃあこれが太陽の空かと言うと、僕の意見は異なります。次回はこの太陽大気の端を探していきましょう。

河村聡人(かわむら あきと)
アラバマ州立大学ハンツビル校卒(学士・修士)、京都大学大学院退学。太陽・太陽圏物理学が本来の専門。最近は地球観測も。天文教育普及研究会2023年度若手奨励賞受賞。ファインマンの誕生日にはブラック&ホワイトを飲む。


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