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RDJのMCU復帰が悪手である理由

初めに言っておくと私はMCUアンチなんかではなく、なんなら信者“だった”身です。また報道を聞いて感情のまま書いてる為、文章が一部破綻してるところがあるでしょうがご容赦願いたいです。

日本時間7/28(日)の朝、MARVELはMCUにおいてドクター・ドゥームの役者としてロバート・ダウニー・Jr(以下RDJ)を復帰させる事を報じました。

https://x.com/marvelstudios/status/1817385874554077285?s=46&t=JbMQA0GSphij77qN6oSUww

皆様ご存知の通り、彼自身トニー・スターク/アイアンマン役として2008年の「アイアンマン」から2019年の「アベンジャーズ/エンドゲーム」まで様々な名シーンを演じてきました。

そんなRDJが5年以上の時を経てMCUに戻ってくるわけですが、役は噂されていたアイアンマン役ではなく、ドクター・ドゥーム役。実は2005年の「ファンタスティック・フォー」にてドゥーム役のキャスティングに選ばれており、20年越しの実現になったわけですが、やはり違和感を覚えずにはいられません。

本人Instagramより

それは単に「ドゥームを見ていてアイアンマンの顔がチラつく」などの単純な理由だけではないと思います。

1.MCUの安易で軽薄な作戦

これは主に昨今のカメオ出演に言えることです。
フェーズ4のドラマ路線から露骨になったこのカメオ問題はMCUの“オワコン化”の起点にさえなった物と思えます。

ワンダ・ビジョン」の突然のクイックシルバー登場に始まったこのムーブメントは、ストーリーよりも誰がサプライズで出てくるのかが重要視され、MCU側も、話題作りの為の無理矢理なカメオ出演に思われ、正直嫌気が指します。

なんだったのこれ

実際「ドクター・ストレンジ/MOM」ではそれが顕著に現れており、上映前にSNSでストーリーどうこうよりも、カメオで誰が出て、そのキャラの俳優は誰で、それがワンダに殺されるのかの様な本筋から離れた所が主な話題となり、いざ上映されると勝手に期待して勝手に落胆するといったおかしな動きが見られ、製作陣もカメオに気が取られて、折角の良いアイデアをうまく調理できてない中途半端な映画になってしまいました。

今回のRDJ復帰に関してはそれの最たるもの、MCUの話題稼ぎのカメオ出演の集大成に見て取れます。

まず最初にカーン役のジョナサン・メジャースの逮捕により、カーンを大ボスとした世界線の構築が破綻したせいで、急遽代替案を出さないといけなくなり、ドゥーム採用になった背景は同情の余地があります。

ですがその役にRDJを起用するといったのはまた別問題。まずまず東欧の国の出身のドゥームにRDJもとい、トニー・スタークを演じた俳優を起用するのは完全に理にかなっておらず、視聴者からもトニーとして見られるのは不可避でしょう。

そのリスクを踏まえてもMCUが今回の決断に踏み切った理由はただ一つ。「話題作り」です。

先刻批判したカメオ出演ですが、確かに話題作りになるのは事実です。フェーズ4のサブキャラの様な立場のキャラですらSNSであそこまで話題になったのなら、そりゃ「RDJが悪役、それもラスボス級として帰ってくる」となれば話題は爆発。ネット内外もその話題で持ちきりになり、映画に足を運ぶ人も増えることでしょう。

ですがそれで話に厚みが出るのでしょうか?そりゃ最低限は出たとしても、MCU序盤のキャラの厚みに敵わないでしょうし、どうせ「マルチバースのトニーはドゥームで、それとピーターが戦って泣く😭」というネット上のオタク達ですら予想できる軽い薄っぺらい表面上だけ感動のストーリーになることがもう目に見えています。

MCUがあそこまで人気になった理由はやはりストーリー。アクション一辺倒ではなく、人外じみたヒーロー達が出す弱さに観客は共感し、彼らが自分の持つ弱さに打ち勝つ姿を応援し感情移入してきました。

ですが今のMCUはそれを軽んじて既存キャラは今までのキャラ像を破壊し、新キャラは表面上だけのキャラを生産してそれっぽい事を演じさせているだけ。

被害者の方

そのMCUの悪しき流れにRDJのドゥームが飲み込まれるのはもう避けられないでしょう。

2.トニー・スターク、ひいては観客への冒涜

先ほどのキャラの厚み云々の話と少し被る所も多々あると思います。

自分はRDJのMCUにおいての役割はエンドゲームで99.5%終わったものと考えています。MCUブームの火付け役であり大黒柱。作中でも大きな影響力を持ち、リーダーとしてもヒーローの先輩としても在り、それでいて本人のストーリーも厚い。そして最後は自分勝手な男が自己犠牲で死ぬといった一連の流れは、映画史上でも最も美しく完成されたものであると言っても過言ではないでしょう。

(そして残りの0.5%はピーターを始めとする残されたヒーロー達への道標としての存在と思ってましたが、もう今となっては出てこないかな)

その完成された流れを今回の起用は滅茶苦茶にしました。ドゥームをRDJが演じる度にトニーの顔がチラつき、最高の思い出となったトニーの半生はドゥームに塗り潰される。そしてその塗り潰すドゥームのストーリーはトニーの物ほど素晴らしいものではなく、製作陣の都合によって魅力の減った浅いものでしょう。

もしそうなれば、それは小見出しに書いた通りトニーや観客に対しての冒涜であり、思い出を汚す許されざる行為です。

残念ながら今のMCUにキャラを壊す力はあっても作る力はほぼ無いですし、活かす力もないです。
近年で唯一成し遂げたジェームズ・ガンはMCUから卒業し、「シャンチー」や「ムーンナイト」の成功したキャラは、他の薄っぺらいキャラと共にほぼ音沙汰無し。ありとあらゆる作品が次のアベンジャーズの前日譚で予告編でキャラ紹介となってしまった今のMCUに、果たして「RDJの別キャラ復帰」という珍味を調理できるのでしょうか。

もちろんアイアンマンがMCUブームを作った時の様に、ドゥームが再び火をつける可能性が無いと言えば嘘になりますし、もう一度その火を見たいのが本音です。ですがVFXやカメオ、ポリコレに撮り直しなど様々な向かい風となる問題を抱えた今のMCUにおいてそれは難しく悲観せざるを得ないものでしょうし、それを超える力が今あるかは疑問が残ります。

ただ1ファンとしては見守ることしか出来ないので、ドゥームサーガが成功したものになる事を祈りながら待とうと思います。

【引用元】
https://www.instagram.com/p/C9823RcpSfU/?igsh=ZHg4OXZvcnhmenh3

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