過去、現在、未来 LINEの外
実を言うと私は嫉妬深い方ではない。ただ、好奇心を抱くというのは、恋愛にはつきものだと思うので、それを相手に伝えるのは愛情表現の一環として。言動には細心の注意を払う。
彼の過去に干渉しよういうつもりではなかったけれど、私のライバルが何人くらいいるものなのか聞いてみたかった。無駄な体力と時間を使えるほど、若くもないし、暇でもない。ちょっとゲーム感覚だった。
遠回しにどのくらいの女性と付き合っている、付き合っていたのか聞いてみた。いつものとおり、ストレートな答え。
ん、?それってデートしただけの人数?
いや、真面目に付き合って、最後まで、の人数。
古い映画のワンシーンを思い出した。フォーウェディング。立場が逆だったけれど。
私はいい出会いをしてきた。そして両思いのまま自然に恋を終わらせることが出来た。そう何人もの男性と関係を持ったわけではない。
そうか、モテるんだね。
いや、失恋ばかりだから。
そうでなければ、この出会いはなかった。とは彼は言わない。多くは語らないのに、コミュニケーションが取れる。そこに強く惹かれた。言葉に無駄がない。
初めて元彼とベッドを共にした夜、この人一体何人とこういう関係を持ったんだろうと、ふと思った。慣れてる、と既婚者の私が思うくらいだから、関係した女性は多いのだろう。
昔は悪かったから。ちょっと遊んだかな。
正確な数字は、何度か尋ねたけれど、分からずじまい。
元彼は嫉妬心を隠さなかった。君が他の人とするのは嫌だ、旦那さんも含めて。
私は少し笑った。夫とレスでなければ、ここにはいないのよ。私は夫には触れられない。近親相姦的嫌悪を抱いてしまう。いい人なのに。
彼とはいつかそうなると約束めいたものをしたけれど、今はまだプラトニックな関係だから、本当にそうなるのか、その前に終わってしまうのか分からないけれど、ゆっくり先に進みたい。
出来ない約束はしないつもりなのか、痛い思いをしすぎたせいなのか、彼の心の中はなかなか見せてもらえない。
彼と私の距離は、7時間の時差だけではなさそうだ。それを少しづつ埋めていけたら、彼の心の傷は癒えるのだろうか。
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